とても良い / 口コミ件数 : 19件
価格 : 1,785 円
小室直樹の本を読むときには襟を正す。彼の著作を初めて読んだ頃は、独特の紋切り型の文章に対する抵抗が強く、その凄さが胸に沁みてこなかったのだが、文体に慣れてくると内容の深さと広さが恐ろしいまでに伝わってくる。そうした凄さに敬意を表し、今、私は背筋を伸ばして小室直樹の本を開く。 本書は、ホッブズ、ジョン・ロックから始まり、アダム・スミス、リカード、マルクスを経て、ケインズ、サムエルソンまで、経済学の巨人たちの基本思想と学説のエッセンスを、実に見事に解説した大著である。300ページほどの本を大著と呼ぶのは、その中に詰め込まれた濃密で的確な内容の所以である。 経済学の父と呼ばれ「レッセフェール(自由放任)」を唱えたアダム・スミス、その思想に理論的な礎を与えたリカードなどの古典派には「失業」という概念はなかった。放っておけば失業状態は終息すると考えられていたが、世界恐慌はそれが誤りであることを示した。彼らを中心とする古典派理論に本質的な批判をなしえたのは、マルクスとケインズだけだったと著者は言う。 アダム・スミス対ケインズという軸にマルクスを絡ませ、さらには、マックス・ウェーバー、サムエルソン、森嶋通夫などを配し、古今の経済理論の大枠を切れ味鋭く提示したのが本書である。小室直樹の卓越した力量に改めて唸らざるを得ない。
経済学の知識約ゼロの私が、 偉大なる小室先生の本に挑戦。 経済の専門本ではなく、 シロートにも分かりやすく、 雑学チョッピリ入って、楽しく読めました。 「資本主義ってそもそも何?」 って確認したい方、オススメです。 たまたま出会った本でしたが、 すんごい良かったっす!
著者は「難解な概念を簡明に表現する」ことに非常に巧みで、そのため、経済学のほぼ素人にも腑に落ちるように経済学の潮流を説明している。 この本は学術書や教科書ではなく、一般の人向けに「経済学とは‥」を説明する本であるが、しかしこういう本に記されているような潮流を、実は専門分野に拘る研究者には見えていない、あるいは忘れてしまっている事がよくある。 どの学問もそうであるが、数多の英才俊才天才の残した思索や業績によって構築され、洗練され続けた知識体系は、なんとも言えない凄さがある。著者の言うとおり、あまり長い歴史を持たない経済学であるが、短時間で社会科学の女王とまで呼ばれるようになった、その経済学というもの凄さを、この本は教えてくれる。
政治経済学者で著名な小室先生の最新刊。今回は小室節で経済学の巨匠を斬るという内容である。?古典派等の用語が経済学の一般的な議論から外れ独自の見解を持っている,?森嶋以降の著名経済学者を扱っていない(自分的には青木昌彦,小宮隆太郎,根岸隆なども十分日本の第一線学者だと思う),?経済学以上に雑学が混じりすぎている,というクセがあるものの,決して本書の魅力を損ねるわけでなく,巨匠の偉業を伝えることに成功している。 ダイヤモンド社の編集者の力量だと思うが,常日頃クセのある文を書く小室先生を一般にも読みやすい形で編集してあるし,古典の原典や小室先生が当事者と話したこと,またその裏話なども今まで聴いたことのない話として加わり,初めて知ったことも多かった。 これを読んで「経済学ができる」ようにはなりませんが,経済学に挑戦したい人がロマンを感じるにはいい本だと思います。
経済学シロウトの私でも知的に楽しめました。 経済学をめぐる歴史的な大きな流れやその中で成立してきた古典派とケインズ学派の2大派閥の立脚点や論争の争点といったものについて非常に簡潔に学べる。 正直言ってこんなに経済学が面白いと思ったのは初めてである。 基礎的な知識は最低限でも楽しめると思いますが、中谷巌先生の「痛快!経済学」レベルぐらいは理解していた方がより楽しめると思います。