とても良い / 口コミ件数 : 3件
価格 : 980 円
この本には「黒い虹」「黒蜥蜴」「人間豹」「石榴」の4編が収録されている。「黒蜥蜴」「人間豹」は有名な作品なので、読まれた方も多いだろうし、私も読んだ事があった。今回「石榴」は初めて読んだのだが、4作品の中で一番面白かった。トリックの見事さに脱帽。
乱歩の作品は実は短編の方が面白い。こうした隠れた名作を発見できるのも、この全集が出たおかげだ。「石榴」を未読の方は是非。
『黒い虹』『黒蜥蜴』『人間豹』『石榴』を収録。 リレー小説の一部の『黒い虹』はともかく 硫酸による殺人を核とした『石榴』 妖異な怪人が跋扈する『人間豹』 妖艶な婦人が残虐なる犯罪を行う『黒蜥蜴』は 乱歩が得意とする通俗的ホラーが満載で 今をもって乱歩の耽美なる世界に圧倒されます
三島由紀夫が戯曲を書いた、美輪明宏のハマリ役となった・・・という外部情報によって未読ではあったけれど「黒蜥蜴」という本の存在は知っており、気にもなっていたので光文社文庫版の全集が発売された機会に買っておいた。戦前に発表されたこの作品を現在読むと月日の流れに耐えられない部分が散見し、それほど面白いものではない。古典になりうるような普遍性、完成度もない。ただこれが江戸川乱歩なのだという気がする。「えっ、そんなバカな!」と絶句する展開、描写もひっくるめて楽しんでしまったほうが勝ちだろう。「芋虫」や「人間椅子」等の初期短篇は時代を超越するグロテスクなアイディアに満ちていて今でも充分楽しめると思う。三島の戯曲がとても気になった。