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サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)


良い / 口コミ件数 : 12


価格 : 462 円





クチコミReview一覧
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1.  とても良い Mへいさん 書き込み日: 2005年03月09日

キッチュな作品。

言葉が綺麗です。
日本語っていいなぁ。ひらがなのやわらかさ、カタカナの現代感。

詩集ですが、物語風になっていて、本の世界に入り込みやすいです。表現がライトなので、文芸作品にありがちな硬さ・重厚感といったものが、大変いい形で感じることなく最後まで読みきれます。

恋愛だけでなく、家族・生活・故郷についても詠んでいますが、その場その場の情景を三十一文が映し出すのは絶品です。
この本が出版されてから17年後に読んだわけですが、いい作品だなと思いました。いいものは普遍でございます。



2.  とても良い bun514さん 書き込み日: 2006年08月15日

意外に古典的で保守的な歌集。美しい日本語を堪能して。

現代語を用いていることや「カンチューハイの歌」などが収録されていたこともあって発刊当時は革新的歌集のように言われていた。しかし、それは正しくない。本書はとても古典的な歌集なのである。
俵万智の短歌はほぼすべて五七五七七という規則に従う。別の本で著者自身が語っているように、1980年代の現代歌は破調に対して寛容すぎであり、センセーショナルな単語のパワーに頼りすぎるきらいがあった。「使っている言葉は現代語だが、形式やコンセプトは厳格なまでに古典的でありたい。」という、著者の理想のもとで作られた短歌を集めた本書は、当時の歌壇に対する強烈なアンチテーゼでもある。
したがって、軽やかで現代的なことばつかいとは裏腹に、音韻の使い方や言葉遊びには万葉集の影響が見られる。タイトルにもなった「サラダ記念日」の歌がそうである(サ行の繰り返しによる野菜の歯ざわりの表現が絶妙)。また、歌われる内容は四季折々の風景や人間の心情といった身近なものであり、全部を描写せず読者に想像の余地を残すなど表現バランスもすぐれている。そして、言葉の選択に対するセンスの鋭さは特筆ものである。一見したところキッチュでポップな表面にカモフラージュされているが、実際には「真似できるものなら真似してごらん」とでも言っているような強烈な自信、自意識なども封じ込められており、強くしたたかな女性像を感じさせてもくれる。
本書が世に出て以降、現代語を使う歌人が続々とあらわれたが、このレベルに到達した人はいないのではないか。本書に記された文字だけを読んでも十分楽しめるが、じっくり読み込むといろいろなものが見えてくる歌集である。



3.  とても良い うすかげよういちろうさん 書き込み日: 2004年01月14日

まるで、雪の朝、窓を開けたときにとびこんでくる空気のように

はずかしいことに、この本を読むまで、短歌って、もう、だれもやっていない文学だと思っていた。

たしかに、高校の教科書には、昔の歌人の歌が載っていた。
でも、まさか、この現代でも、現代のことばを使って、現代の感覚を短歌で詠っている人がいるなんて、思いもしなかった。

それに、短歌をするために、安定した教師という職を辞めてしまうなんて。
そんなことって、ほんとうに、あるんだ、と思った。
信じられないが、ほんとうだ、ということはあったのである。

ぱらっと、ページを開けると、そこは、あたり一面、才能のきらめきの世界だった。

まるで、雪の朝、窓を開けた瞬間のように、それは、新鮮な空気を、ぼくに送ってくれた。才能のきらめきが発する光に、目がまぶしかった。頭も、くらくらした。

ぼくは、まねして、いくつか、歌ってみた。
読むのと、つくるのとは、大きく違うということに気づいた。
自分に手の届かない世界が、また、ひとつ見つかって、ぼくは、悲しくなった。

努力では補えない、短歌のむずかしさを知らなかった、自分が、今でもはずかしい。



4.  とても良い 白月さん 書き込み日: 2003年06月11日

少女のような心を歌う

短歌ってこんなに自由でいいのかぁと納得してしまう作品



5.  とても良い 大前紀正さん 書き込み日: 2005年07月09日

五七五七七という魔法の杖

 私は滅多に文学を読まない人間である。であるからこそ短歌は読みやすい。
であるが、いざ読むと、作者が何を思ったかを考える。
『サラダ記念日』はベストセラーである。初版は1987年5月河出書房新社から
刊行されたが、約2年で369刷を数え、河出文庫に収められるも、尚も2001年
まで33刷を数えている。
本書のタイトルはこの短歌による。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
 文学論の専門家たちには、きっと鉤括弧や口語のこの作品を短歌の範疇に入
れることを批判する人もいるやもしれない。『万葉集』以来の伝統に照らし、
これは破調である、日本文化の破壊である等々。しかし、「伝統」とは何かと
改めて問うと、捉え方によれば、本書は極めて「伝統」的なスタイルの書であ
る。作者の師である佐佐木幸綱が跋文で自由律を批判しつつ指摘している定型
詩としての短歌の擁護、これは捉え方によれば「伝統」と言える。作者の言葉
を借りれば「一三〇〇年間受けつがれてきた、五七五七七という魔法の杖」
これこそが短歌なのである。



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