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世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃

世界を不幸にするアメリカの戦争経済  イラク戦費3兆ドルの衝撃

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1.  とても良い 至高の豚さん 書き込み日: 2008年05月26日

怒りと悲しみの経済学

2001年にノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツのイラク戦争批判の書。

アメリカ政府はいったいどれだけイラク戦争に資金を投入したのか。
緊急資金、裏資金(国防省予算の別の名目で払われている資金)、兵士・退役軍人などへの
医療資金、その他いろいろな名目で隠されて払われている資金を一つ一つ検証していき、
戦争に使われた資金の全体像を明らかにしていく。
イラク戦争に使われた資金は、堅く見積もって3兆ドルというのが著者の結論。

そして、さらに、アフガニスタンや、イラクの国民に与えた金銭に換算できない苦しみ、
アメリカが世界から受けていた、民主主義と人権擁護の国というイメージが消しとんだこと
等々コスト換算できない、社会的なマイナス面も次々と指摘していく。

この本は、世界を不幸にしたイラク戦争を、冷静な口調ながら怒りと悲しみをもって
厳しく批判したものだ。
著者は、イラク戦争の敗者はイラクとアメリカだったという。
イラク戦争とは何だったのかを振り返るには絶好の本だと思い推薦いたします。



2.  とても良い 根無し草さん 書き込み日: 2008年05月22日

イラク戦争の欺瞞を暴く

著者二人が2006年1月に発表した、イラク戦争の真の戦費とアメリカ経済・世界経済に与える影響を分析した論文をもとにしている。

控えめに見積もっても3兆ドルと計算されており、ブッシュ政権の呆れるほどの欺瞞の過程が明らかにされる。粉飾会計で隠蔽されているコストを何としても暴いてやろうという執念を感じた。原油高・財政逼迫・経済不況・サブプライムを計上せずとも莫大な金額になっているのには衝撃を覚えるだろう。兵士たちの犠牲と医療にかかるコスト、グローバル経済に加えるコスト(難民や感染症)、アメリカの敵の増加など、如何にイラク戦争が暴挙であったかがわかる。

最終章ではいくつかの改革案が載せられる。学者兼実務家として精力的に活動をしてきた著者ならではの視点と言えそうだ。軍事費が明らかにされることはないのは同じであり、自衛隊を保有する日本人にとっても参考になるところは大きいだろう。



3.  とても良い 佐藤弘弥さん 書き込み日: 2008年08月06日

昨今の原油高はイラク戦争にありという視点は超ユニーク・現代人必読の書

スティグリッツ教授(2001年「情報の経済学」によりノーベル経済学賞を受賞)の最新作。今回は財政のエキスパートのリンダ・ビルムズ女史との共著だ。原題は”The Three Trillion dollar war"(三兆ドルの戦争)となっている。

スティグリッツ教授は、ブッシュ政権当初から、首尾一貫してその経済政策と世界戦略に警鐘を鳴らしてきた。この著では、イラク戦争で、アメリカのみの戦費として3兆ドルの戦費がかかる見通しだという。そしてイラク戦争が、アメリカ経済に未曾有の混乱を招き、それのみならずグローバル経済全体に混乱を生じさせたとズバリ指摘する。その上で、日米欧の相対的な力は落ち、結局、原油高を招く直接の元凶になったことを経済学の手法で綿密に分析してみせる。

私たちは、これまで原油高の主な原因を、第一に新興国の経済発展で需給がひっ迫したこと、第二に投機マネーの暴走と単純に図式化してきた。しかしスティグリッツ教授は、私たちの常識的判断をひっくり返して「石油価格の上昇は、開戦とほぼ同時期に始まった。・・・ざっくりとした計算だが、イラク戦争以降の価格上昇分のうち、ちょうど半分をイラク戦争の影響とみなし」と仮定しているとあっさり指摘する。漠然とブッシュ政権が始めたイラク戦争にいち早く支持を表明したのは日本の小泉首相ではなかったか。 

現在サブプライムローン問題とイラク戦争の影響は、アメリカの国際的な地位を低下させ、その結果ドルまで暴落の危機の途上にある。小泉政権以降、特にブッシュ政権一辺倒で進めてきた外交方針が、ここに来て日本そのものの国際的地位と信用の失墜に繋がっている今こそ、私たちは現在の世界経済の動向をもっとも鮮烈に分析するスティグリッツ教授の言葉に耳を傾けるべきだ。まさに日本の政治家、ビジネスマン必読の書だ。私はこの書を読みアメリカ社会の奥深さに触れる気がした。



4.  とても良い 毒ギョウザさん 書き込み日: 2008年07月19日

アメリカ版特別会計

 イラク・アフガン戦争によるアメリカ経済のコストが3兆ドルに上るという事実を詳細に検証した本書。単純な駐留費に加え、帰還兵への各種ケア、累計で100万人近い若者が経済活動を離れることによるGDPへの影響、そして膨大な戦費によって抑制されるその他の公共投資の影響も含めた数字だ。当然、最初からこんな数字を出していたら開戦なんて支持されるわけがない。武器装備のストックを消尽し、正規兵から外部業者委託へシフトし、そして期間後のサポートを削り、それでも足りない分は緊急支出予算として議会を経ずに処理される。その詳細な配分は誰にも分からず、まるで日本の特別会計のよう。
 巻末の提案にはしっかりとアカウンタビリティの確保がうたわれ、費用対効果の検証が提起されているが、これは日本の小泉・竹中改革で打ち出されたものと同じだ。やはり、外部からのチェックなくして、暴走は止められないということだろう。
 



5.  良い calmさん 書き込み日: 2008年09月26日

経済学者だからこその視点

 世界を不幸にしたイラク戦争を、あえて経済的な損失から論じる。
当然やや数字の話に偏っているので、イラク戦争についてよく知りたい方は
他本との併読をお勧めする。

 読み進めて感じたことは、イラク戦争で失われた機会損失はきわめて大きかった
ということだ。「イラク戦争に宛てられた資金は、学校や道路や研究に回されても
よかった資金であり、そうすれば将来にはリターンがもたらされた」と著者も書く。

 日本は単にイラクに自衛隊を派遣しただけでなく、アメリカの戦争を支持した。
自衛隊はアメリカと一緒に武力行使をしたわけではないので、そちらの是非はなか
なか難しい。しかし、国際法違反の戦争を支持したのは明らかな誤りだと認めなけ
ればならない。著者が言うように「国際法によって他国の野心を封じたいなら、常
日ごろから国際法に敬意を払っておく必要がある」からだ。

 戦争を起こすのは簡単だが、終わらせるのは本当に難しいと感じさせられる。し
たがって日本政府がアメリカ追従のままでは、現在の「平和憲法」もそれなりに有
効な歯止めなのかと感じてしまう。
 本来、日本の理念や国益を明確に主張できる指導者が望ましいのだが。

 ある人が日本を「総括をしない民主主義」だと言っていた。この問題多きイラク戦
争を総括しなければ、将来も同じ過ちを繰り返すのではないか。非常に心配だ。



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