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大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

とても良い / 口コミ件数 : 29


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1.  とても良い FreshAirさん 書き込み日: 2007年08月18日

戦争と情報-現代にも通じる必読の書

「情報は常に作戦に先行しなければばらない」。この書は数ある太平洋戦争の著書の中でも他にはない貴重な記録となっている。なぜなら、「作戦課は情報部の判断を歯牙にもかけていなかった」「作戦と情報が隔離していた」という当時の日本軍の中枢には情報収集と分析を担う立場の参謀が他にほとんどいなかったからである。新任の参謀が手探りの中で情報に対するノウハウを蓄積して駆け抜けた戦争の貴重な体験や教訓がここにはつづられている。印象的なのは、堀が得ていた情報というのは特殊なものは実はあまりないということ。この方面では数少ない先人からの心構えについての教えを胸に、それこそ、それまでの米軍の攻撃パターンの情報、米国のマスコミに発表されている情報、米軍機の簡単なコールサインといったありきたりの情報をコツコツと丁寧に集めて蓄積して分析し、敵になったつもりで考え、いつしか「マッカーサー参謀」とよばれるようになっていく。「ますます複雑化する国際社会の中で、日本が安全かつ確固として生きてゆくためには、なまじっかな軍事力より情報力をこそ高めるべきではないか」。現代にもつながる貴重な教訓を多数含んだ書である。



2.  とても良い rickさん 書き込み日: 2001年12月20日

ビジネスマンが読むべき一冊

この本は、何度も読み返しているが、その価値のある一冊だろう。旧陸軍海軍での事柄という概念ではなく、現代においても”情報音痴”といわれる日本人の江戸時代以降の伝統的(明治維新から日露戦争の時代を除く?)な意識と思考形態が、どれだけ国家や組織に損失を招くか、ということを明瞭に語っている。今のインターネット時代、情報戦といわれるが、情報とは何なのか、この著書の中でも「形を見てはいけない、本質を見よ。」と述べられ、「情報は、常に作戦に先行すべき」とか、「戦略的失敗は、戦術的成功で、回復できない」など、多くの示唆に富む言葉がある。情報関係に携わる人間はもちろん、企画やマーケティングなどのビジネス担当者にも、必読の書と信じる。



3.  とても良い pineさん 書き込み日: 2002年11月22日

これでいいのか、日本のリーダー.

大本営の情報参謀が、戦後40年近くの沈黙を守って、戦中情報がどう扱われたか、の体験を語る貴重な本.さぞ酷いものだったか、という話かと思えば、著者自身を始め、個々には諜報・情報の重要性を認識し、分析に長けた参謀もいなかった訳ではない.だが、システムとしては全く戦争国とは思えないものだった.行間から伝わる著者の嘆き・静かな怒りは、時に心を打つ.著者は引揚げ後、山下兵団の記録を書き綴り、父親から「負けた戦を書いて銭をもらうな」との叱りを受け、何十万もの声なき戦没者を慮り、沈黙を守ることになる.個々は別として、全体としては未だまともな諜報・情報機関を持たない戦略なき国家は、いつになれば著者の警告を受けとめることができるのだろうか.戦没者の無念を思う時、現状はあまりに悲しい.



4.  とても良い 狂夫さん 書き込み日: 2002年04月18日

堀情報参謀、あるいは「マッカーサーの参謀」

敵を知ることは重要であるが、ことが戦争となると、国家の存亡がかかってくるのでその重要性は一段と増す。本書の筆者はこの難しい仕事に挑み、「マッカーサーの参謀」という異名をとるまでになる。なぜそこまで正確にマッカーサーの意図を知ることができるようになったのか。このあたり本書の白眉といえる。地理・地勢、それまでの米軍の作戦行動など、あらゆる情報を集め、分析することで「飛び石作戦」の本質を掴んだのである。この本質を掴んだ上で、現在米軍がとっている偵察行動などを地道に分析するので、次の行動が予測できるというわけである。これほど正確な情勢判断が作戦に活かされなかったのは、返す返すも残念で仕方がない。



5.  とても良い さつまいものニョッキさん 書き込み日: 2004年09月28日

大変な良書、しかしまだその奥には

本書は、太平洋戦争中、新任の情報参謀として大本営に赴任し、過去の蓄積が何もない中でアメリカ担当の情報参謀として大本営及びフィリピン戦線で次々とアメリカの「次の一手」を読み当て「マッカーサー参謀」とあだ名された元陸軍軍人がその頃のことを当時のメモをもとに振り返って記述した書である。

本書においては、いくつか警句的に気の利いた文章が記されており、これが情報の本質であるかのように考える読者も多かろうと思う。しかしながら私思うに、これは著者の言うところの「しぐさ」「枝葉末節」であって、本質の一片の現れに過ぎない。著者の論ずるところ、情報は、これを用いて判断する人の認識に大きく依存するし、また情報は、これを分析する人の迷いと洞察によって飲みその深奥を現すものであって自らの視野にあった形でしか立ち現れぬものである。仮に情報の重要性に気づいたとしても、その感想が「スパイを出すことが何より肝要」「知識を集めれば何でもわかる」というような態度であるとすれば、それはやはり戦前の大本営作戦課の態度を越えるものではないし、むしろこれは本書の著者が批判してやまない、大本営作戦課的な、情報に疎い態度であるといえるのではないか。

本書が批判する大本営作戦課のごとき態度について、さらに深い思索を試みたい方には、山本七平著「日本はなぜ敗れるのか」、戸部良一ほか「失敗の本質」を併読することをお勧めする(逆に言えば、本書はこれらの書と対抗しうる良書であるということである。)。本書は日本的組織の情報(及びその活用)に対する感度に関し思いを致すときに深い示唆を与える良書であるのは間違いないが、著者の立場、またその経験から一定の限界があるのも確かであり、上記の2冊と合わせることで、さらに奥深いものが見えてくるのではないかと思われる。



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