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太平洋戦争あるいは大東亜戦争における日本の敗因は様々に考察されているが、本書はその問題点の一つである「国防方針」の迷走に焦点を当てている。 本書のポイントは、陸軍・海軍それぞれが自分たちの組織的利益を追求するあまり、日本の国力を超える軍備と勢力圏の確保を指向していくことになる過程を暴いていることだ。そして、その過程において、陸・海軍の上位に立つ方針策定を行う主体も、陸・海軍間の方針対立を調整する機関も存在しなかったことが問題だと指摘する。 経済、外交、法制度、心理的傾向などの問題点を大きく捨象してしまっているが、それだけに「国防方針」の迷走とそのプロセスがクローズアップされ、よく理解できる。 戦前の日本の政府を一個のの組織としてみた場合、陸軍も海軍も、その一つの下位組織でしかない。しかし、下位組織が自己利益を追い求めた挙句、それらをコントロールするべきリーダーシップが不在であったらどうなるか。組織全体が迷走してしまう。明確で妥当な目標を掲げ、組織間の利害を調整し、優先順位をつける。この当たり前のこと(難しいことではあるが)が、適切なリーダーシップの下で行われなかったことこそ、戦前の日本の大きな失敗の一つなのである。 これは何も、戦前の日本の政府の問題に留まらない。ともすれば、自分が所属している会社などにだってありえない話ではない。 歴史を紐解く論文というだけでなく、自分たちも直面する可能性がある問題に対する教訓も提示してくれている好著だろう。
長州・薩摩の藩閥と、政党なり議会なりの対立が 明治国家のパワー構造だったとすると、 その後も同様の並立なり、鼎立がもちこされた。 本書の冒頭を読んでいて、そうした感想をもった。 帝国国防方針をめぐって、 山本権兵衛と山県有朋の対立。 そして西園寺首相はカヤの外。 けっきょくそうした構造が 太平洋戦争に負けるまで解消されなかったのか。 では、戦後日本の構造は? 現代は??? 実に面白い本だ!!
日本の国防の一番のものが国防方針なのだそうです。 戦前、各自ばらばらで国防方針というものがなくなっていたそうです。 そして戦争になったそうです。 元老がいなくなって統率が取れなかったのが原因だそうです。 でもそれで敗戦を体験した方々は納得できないと思いました。
この本は日本の国家戦略の策定における、国内の対立について書かれています。
陸軍と海軍の対立、参謀本部と陸軍省=現状維持派と軍制改革派≒皇道派と統制派の対立、艦隊派と条約派の対立
が主な内容ですが、対立した意見のどちらが採用されたのか、もしくは問題解決的な意見がその後どうなったのか、について明確に書かれていない事例もあるので、他の本を参考にする必要があります。
著者のいう国防方針は戦前の「戦略」(政略に対する言葉で、戦争のための長期計画。今使われる用語としての戦略ではない)に相当する。日本は一体、戦前張りの仮想敵国をもちそれに備える戦備を保有する必要があるだろうか? 著者は戦前の戦略が失敗したとするが、そもそも戦略をもつことが誤りだったのではないか?国防に携わる者は、自分が自分に命じて戦争を開始するのではなく、政治家・外交官に命じられて動くべきなのである。開戦とは政治であろう。著者は自衛隊員であったが、自衛官に政治に係われと要求しているかのようだ。