とても良い / 口コミ件数 : 15件
価格 : 2,400 円
ロシア語通訳の第一人者にして、大傑作小説『オリガ・モリソヴナの反語法』、最高のノンフィクション『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』、大爆笑エッセイ『ロシアは今日も荒れ模様』などの書き手、米原万里が06年5月に亡くなった。本書は米原の遺作ということになるのだろうか。 とにかく書評家としても鹿島茂や山内昌之に比肩する最強・最高の手練である。95年から05年までの全書評を収めた本書は、誠に嬉しい贈り物のようなものだ。 取り上げられた本は全部読みたくなる。そして、1冊の本についての文章からこちらの思考が促されるのだ。なんという強靭でしなやかな文章であることか。これでしばらくは本書に紹介された数々の書物を買いまくることになるであろう。読書界は、この人をもって最高の導き手としてきたのである。 それにしても、あまりに早い逝去は痛恨の極みだ。合掌。
2006/5に癌で他界した米原万里の書評集。週刊文春に連載されていた「私の読書日記」を完全収録している。 特に印象に残るのが「私の読書日記」の最終三回に連載された癌闘病日記。様々ながん治療に対する冷徹な批評、分析を行ないながらも、著者の生きたいという強い願いが行間からひしひしと滲み出てくる様に感涙。
TV「ブロードキャスター」で見て、見た目もしゃべり方も濃い人だなーと思っていたのだが、エッセイを読んで好きになった。知性も知識欲も生き方も動物の可愛がり方も濃い人で、早世されたことが本当に残念だ。会ったことのない人に対してリアルに悲しむ自分に驚いている。 とにかく圧倒的なエネルギーで本の世界を渉猟し、その感想、批評を綴った文章を集めたのが本書で、書評を読むことには、読みたい本、読むべき本を探すという楽しみがあるが、まずその点で実に優れた内容をもっている。本書を読み終えたのち、読みたい本が数十冊にもなって、楽しみな一方、どれから読むべきか悩む。 1つだけ欠点をあげると、米原さんはあまりの本好きなので、のめり込みも強く、ちょっと褒めすぎじゃないかと思えるものがある。 タイトルの「打ちのめされるようなすごい本」も1冊特定されるのだが、それは本書を手にとってからのお楽しみ。 読書日記は亡くなる直前まで書かれている。最後の本が死因となったガンの治療に関するものであることが本当につらい。うまくまとまらないけど、本好きはぜひご一読を。本全体から米原さんのパワーが溢れている。
昨年、私的に最もショックだったニュースの一つが米原さんの死である。米原さんは超第一級の通訳、翻訳、小説家、エッセイスト、動物愛護家、皮肉屋と卓越した才能で人生を豊かにしてくれた方である。 このニュースに「打ちのめされている」間に彼女の生前の筆が数冊出版された。 2005年の書評総括を12月25日に新聞に発表し、その5ケ月後になくなられた。 1995年から2005年にわたる米原さんの読書記。仕事でご多忙の中、一体いつこれだけの本を読み込んだ(そうお手軽には読めそうにない本ばかりである)のだろう。そして2003年にガンを告知されてから、絶望する事なく逍遥と病気と向き合ってきた彼女の静かな闘争心と、あくなき知識欲に感服する。 読書日記というのはその人を知る非常に有効な手段であり、米原さんが読んだ本を見ていると彼女が真剣に(死期を感じながら)日本を憂い、世界を憂い(政治家を名指しで非常に辛らつに批判しているが、それは決して感情論ではなく確たる信念の基づいた指摘である)、辛い闘病の中も絶望することなく未来を描いていたと考える。 そしてその反面決して人にはみせなかった「いのち」への執着―数々の医学関連の書物の批評からーも垣間見ることができる。そこで胸と目頭が熱くなった。 あとがきを米原さんの義弟である井上ひさし氏が書いている。「すぐれた書評かというものは、今まで読み進めている書物と自分の思想や知識をたえず混ぜ合わせ爆発させて、その末にこれまでになかった知恵を産み出す勤勉な創作家である」 彼女は絶えず好奇心のアンテナを張り巡らせ、その卓越した才能を持ったまま旅立った。それが惜しくて仕方ない・・・
タイトルは大風呂敷でワクワクする筈ですがこれで遺稿となれば言葉も出ません。最初から読み進めてもいいし気紛れに捲ったページから読んでもいい。一気に読むより毎日少しずつ読む方がいい。通勤時でも休み時間でも寝しなでもいいけれどこの本を読むために時間を割きたい。最初で最後の書評集は闘病記が収められています。いつもの彼女であるし、そうでないような気がしてしまうのは読み手のせいだけではないはずです。