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硫黄島の闘いに身を挺した人たちは、 今のボクには理解も及ばない、 想像もし尽くせない極限状況にいた 極限を越えた巨大で逃げ場のない現実に 生身で立ち向かわざるを得なかった男たちは あの地獄の中でも確かに生き、 やがて銃弾と火炎に倒れていった… 1200キロ離れた故国に待つ 家族のことを想いながら生き、亡くなっていった 硫黄島に眠る人たちに、今初めて想いを向け、 一読者として敬意を捧げます。
「お前らだけには殺られてたまるか」 硫黄島ではそれが合言葉であったのだろうか。 戦中の日本ではそれが合言葉であったのだろうか。 硫黄島に派遣せられたある部隊の中で、一人生き残った若い少尉が、仲間を殺していった米軍への憎悪だけで出来るだけ多くの敵を確実に殺していく場面があります。 「お前らだけには殺られてたまるか」 とずっとつぶやきながら激闘を繰り返し、いよいよ追い詰められた蛸壺の中で自らの顎に銃口を当て、地下足袋を脱いで足の指で引き金を引いて自決する。 自分ではわかったつもりで「戦争で亡くなった多くの若者の犠牲の上に今の日本とわたしたちがある」などと軽く口にしてしまうけれど、本当に私自身が戦争をわかっているのか疑わしくなりました。 私たちは本当の意味で幸せにならねば彼らに申し訳が立たないと思うのです。更にはそのこと以上にたくさんの惨い死に方を強いられた日本人、アメリカ人の魂を慰める必要があるということ、それは国を問わずに行われ続けるべきものでもあること、平和を祈ることなど、たくさんの課題を向けられ、戦死したものの魂を鎮めるにはどうすべきなのか、重くのしかかってくる作品です。結局鎮魂のためには、それぞれが自分にしかできない方法で模索していくよりほかに、現代日本においては術がない。 現在に直結する歴史を綿密につづった、非常に読み応えのある作品です。硫黄島の激闘を忘れるべきではない。
硫黄島の戦いは、文字通り地獄絵だった。 著者は、この戦いにおいて、誰よりも兵隊ひとりひとりが敢闘したことをよく理解して書いている。 そのことに共感を得て、私も読み進めることができた。 小説という形式を借りて、硫黄島の悲惨な戦いをきちんと記録した本だと思う。
数ある太平洋戦争の局地戦の中で、ややマイナーな感もある硫黄島での激戦に焦点を当て、その当事者達の言葉や史実を基に記した歴史的大作。 筆舌に尽くし難い日本軍と米軍の激戦だけでなく、その激戦に至るまでの硫黄島の兵隊の苦悩を、実に生々しく描写している。 飲み水さえ満足に確保できない過酷な環境下での、日本兵達の想像を絶する米軍上陸前の下準備(地下防空壕の建設)。歴史上類を見ないほどの米軍上陸後の激戦と日本兵の必死の抵抗。一人一人の家族を持ち、故郷を持つ兵隊たちの苦悩。などが、実にリアルに生々しく描かれ、読む人の心を大きく打つ。 私は戦争を一切知らない世代であるが、この本を読んでいて、二度ほど涙が零れ落ちるのを我慢することが出来なかった。 一切の援軍を期待できず、ただ可能な限りの抵抗を繰り広げようとする兵隊一人一人の生き様は、まさに『名をこそ惜しめ』の精神を体現している。 このタイトルにこそ、激戦を戦い散っていった無数の兵士の思いが凝縮されているのだろう。 戦後60年。忘れ去られてはならない歴史の事実がこの書にある。感涙必至の名作と断言したい。
東西8キロ、南北4キロしかない小さな硫黄島で、日本兵2万米兵約3万人の戦死者を出した、太平洋戦争最大の激戦であった戦闘を当時数少ない生存者の証言の基に書かれた価値ある作品。 人が住むに到底適さぬあの小島に、二万もの日本人がどのように死んでいったのか、同胞として必ず知る必要がある事柄でしょう。日本人の無念の死を活字に残そうとする著者の姿勢を本書には強く感じます。 そういった必要性を感じることの出来る人には、必ず読むべき作品と考えます。 本書を読み終え、涙が頬を濡らすとともに、魂安らかにならんことを心より祈るばかりです。