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貧困の終焉―2025年までに世界を変える

貧困の終焉―2025年までに世界を変える

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1.  とても良い 本格派さん 書き込み日: 2006年09月22日

貧困根絶へ向けての道をはっきりと指し示す全人類希望の書

帯に書かれた賛辞「おそらく世界で最も重要なエコノミスト」「世界で最も重要な100人の指導者の一人」という言葉は嘘ではない。
この本は、客観的なデータに基づいて冷静に導き出された、世界中の貧困をなくすための処方箋が書かれた、非常に内容の濃いすばらしい本である。

本の前半では、貧困に関するあらゆるデータが提示されている。データからいろいろなことが見えてくる。
「経済開発の梯子の一番下の段にさえ足を掛けることができれば、少しずつではあっても開発の梯子を上ることができる。しかし、最貧国ではそれさえする余裕がないため、いつまで経っても開発の梯子を上ることができない」ということ。
「ここ200年における世界の経済発展を見てみると、富裕国と最貧国ともに経済成長を遂げている。程度の差こそあれ。富裕国が富んだ分だけ最貧国が貧しくなった訳ではない。つまり、富裕国は搾取をやめても充分に豊かであり続けることが可能だ。」ということなどである。

さらに著者は、最貧国を貧困から抜け出させるために、臨床医学ならぬ「臨床経済学」というものを提唱している。医者が患者をみるときのように、患者に関する出来る限りのデータを集め、最適な処方を行なうための学問である。

その後は、実際に著者が経済顧問として関わって来たボリビアやポーランドなどの国々での経験が語られるが、これらの実体験から前述の処方箋を導き出しているのである。

この本に書かれていることは単なる理論ではなく、現実のあらゆる条件を考慮した上で対策は講じられるべき、という考え方からも分かるように非常に現実的で効果のあるものである。
2000年に行なわれたミレニアム会議で、国連の全加盟国の賛成で採択された、2015年までに極度の貧困を半分にするというミレニアム開発目標は決して不可能なものではない、ということを感じさせてくれる、希望に満ちた、我々人類が捜し求めていた本である。



2.  とても良い シリウスのヘルダーリン hölderlin on siriusさん 書き込み日: 2006年04月29日

問題は世界が見て見ぬふりをしていること

 貧困とは、特に飢餓とは人間が生態学上の限界をもった生物であることを示しているに過ぎない。爆発的に増え続ける世界人口の約6分の1が経済発展の切っ掛けすら掴めないで居る。
 では、何故貧困は無くならないか?それは人間の生存条件が他の生物と同様にまたそれ以上に複雑だからだ。単なる援助が貧困からの脱却どころか貧困への引き金となることすらある。著者は、世界全体の貧困からの脱却のために、家族・世帯・インフラ・ジェンダー・民族・人口・環境・気候・経済・財政・地勢・政治等々のさまざまな水準で互いに連関する条件を大項目7、小項目38のチェックリストにして示している。
 経済発展を既に終えた先進国では今急速に高齢化少子化が進む。直接の言及はないが、経済発展と少子化(人口抑制)がセットにできることが経済学的に十分普遍的なら、経済発展は地球環境の視点からも寧ろ普遍的な目標となるだろう。経済発展=人口抑制が地球の許容値を超えない進度で実現できるかという課題である。
 貧困の克服がいずれにせよ物の交換を世界大に隈無く実現することに他ならない以上、そこにはよりよい言葉の交換が無条件に含まれているわけでも神の問題の解決が前提とされているわけでもない。発展のために非民主的な聞きづらい言葉を聞き続けねばならないというのかもしれない。貧困の克服が民主主義ともセットであるという視野の広さを持っておく必要がある。少なくともこの問題の解決は人類の名誉と自尊にとって成し遂げられるべき第一の課題であること、そのための勇気を与えてくれる書である。



3.  とても良い antibushさん 書き込み日: 2006年06月17日

ほっとけない、世界の貧しさ

  2005年1月のダヴォス会議で最も感動を呼んだのは世界企業の経営者や各国首脳の演説ではなく女優シャロン(氷の微笑)ストーンのスピーチー「今、(タンザニアの)人々が日々死んでいっています。そして私はそれを見過ごすことができません。さあ立ち上がって。“今すぐ”寄付を募りたいのです」この感動的スピーチによって彼女は立った5分間に100万ドルを集めた。このスピーチで言及されたマラリアによって、アフリカでは月に15万人の子どもが亡くなっている。そしてそれはわずか数ドルの蚊帳によって防ぐことが可能だ。
 本書の著者サックス教授(20代でハーバードの終身在職権を得た俊秀)は、開発経済学の立場から途上国政府や国際機関にアドヴァイスしてきた経済学の“国境なき医師”。教授によれば現代は世界中の最貧困の人々を救うことができる人類史上初の時代なのだ。そしてそれは先進22ヶ国のGDPのわずか0.7%を拠出することで可能となる。
 本書では教授の豊富な経験と統計数値を用いて「途上国は政情不安定なので援助してもムダ」「既に金額的には充分な援助をしている」などという先進国の誤解を喝破し、冷静に援助の必要性を説く。論理はあくまでクール(例えばキリスト教的人道主義などを持ち出したりするわけでもない)だがそのハートはシャロン・ストーンのように熱い。
 本国アメリカでは理想主義者などと揶揄する向きもあるが、偉業を成し遂げた人は皆そのような中傷を受けるものなのだ。



4.  とても良い 緑の森と図書館さん 書き込み日: 2007年07月29日

地球上の貧困をなくすためには、われわれ一人一人が意識して行動していくことが、何よりも大切であると感じさせてくれる

 本書は、ハーバード大学で、わずか29歳で博士号を取得した著者が、ボリビアのハイパーインフレに立ち向かって、それを見事に解決したことをきっかけに、貧困問題に関わっていく物語である。本書を通じて、地球上の貧困をなくすためには、われわれ一人一人が意識して行動していくことが、何よりも大切であると感じさせてくれる。さらに著者は、様々な現場を歩いてきた体験から、通説とは異なる対処法をいくつも示してくれる。
 例えば、貧困は、大国や多国籍企業が発展途上国の人々から経済的に搾取してきたことが原因とされている通説に異論を挟む。たとえば、バングラデシュの衣料工場の現場の労働環境は劣悪ではあるが、それでも女性たちの意識の変化や経済成長のきっかけになりつつあるのだとしている。

 また、長い歴史からみて人類の経済発展の度合いが異なっていたために、相対的に貧しい国が生まれたのだとも言う。つまり、貧困な国も経済成長はしているのだが、先進国に比べての成長度合いが異なっていたために相対的に貧困になったのだとする。

 とはいえ、著者は911以降のアメリカには徹底的に反対し、第二次世界大戦後の第一次大戦の反省から行われたマーシャルプランこそ、結果的に世界に平和と安定をもたらすものと主張する。
 そして、今のODAをGNPのわずかだけ増やすだけで、貧困問題も、人口問題も解決するのだと結論づけている。

 著者の体験に裏打ちされた提言がなされているだけに、実に説得力がある。
 副題にもあるように、われわれが力を合わせて行動すれば、2025年までに必ず貧困は終焉するのではないかと感じた。



5.  とても良い 聴けば聴くほどさん 書き込み日: 2007年05月20日

iPod nano (PRODUCT) RED Special Editionのとりもつ本

iPod nano (PRODUCT) RED Special Editionで、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」を知った。そこから、ボノ(U2)の名前が記憶に残り、彼が序文を書いていることに注意を引かれて、本書を手にした。
たいへんまっとうな内容である。ボリビア、ポーランド、ロシア、中国、インド、アフリカ、それぞれの国の激変をサックスと一緒に体験し、2025年の貧困終焉が不可能ではないという気持ちになる。



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