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価格 : 840 円
人は時として心から愛しているものでさえ見失うことがありますよね。 それはしょうがないことのようにも思えますが、このような小説に出会うことによって、そのようなことを未然にふせげるんでないかとも思えます。 この小説の時代背景としては、ちょうどアメリカの社会が資本主義社会に移り変わった時期であり、また人々も以前の人格主義的考えから、物質主義的な考えにとって変わろうとしていたまさにその時期であります。 主人公のビルは、人間を大切に商売をする誠実なセールスマンであったのだけれど、時代の変化とともにその性格も徐々に変化し、お金やモノに左右される人間になっていきます。 そんな中、自分ではきずかないうちに愛する息子や妻との距離は広がり、ついにはわかりあえないまま最後をむかえます。 この作品を20そこそこで書き上げたアーサー・ミラーは早熟な天才だなと素直に思いました。 以前にどこかでみつけたのですが、作者が70才位の時に残した言葉で、「現代、人々はいつ爆発するかしれない時限爆弾の上で生活している。 そして冷蔵庫の上にたって月をつかみとろうとするなんて、本当にばかげたことだ。」 かってに僕が訳しているのでみなさんにつたわらなかったらすいません。 でも、この本を一度読んでもらえれば、少し僕がみなさんにいいたかったことをわかってもらえると思います。 現代、資本主義社会に生きる僕達にとって、読むべき本であるように思います。 そして、それを60年以上前に書いたアーサー・ミラーを心から尊敬します。
今の時代、戯曲が売れるとは思えないが・・・「ハヤカワ演劇文庫」とは、また思い切ったものだ。 名作の誉れ高い「セールスマンの死」だが、このような体裁でなければ読むことはなかったろう。そういう意味では、この文庫シリーズ、貴重である。 フラッシュバックによる回想シーンや、幻の人物と交わす会話などが、何度となく挿入されており、よほど慣れた読み手でないと話の筋が分からなくなりそうだが、演劇特有の熱を帯びた収斂度でもって、ラストに向かい突き進んでいく。 読み終えたものは、小説でも映画でもない、ましてや薄っぺらなテレビドラマなどではけして体験できない想像の世界を、初めて体験したことを知るだろう。
資本主義がもたらした問題を描いています。 もとをたどれば近代西欧の価値が現代にもたらしたニヒリズムを 社会という大きな枠組みの中ではなく、1つの家庭の中の問題にまで還元した傑作である。 是非、英語が苦手な方も原書でも読んでいただきたい。 そしてリー・J・コッブによる熱演も圧巻です。
桜庭一樹さんがある新聞で、「こ、これはとても他人事(ひとごと)とは思えない」とあったので、久しぶりに戯曲を読んでみようかと購入しました。 舞台は、アメリカの地方都市の、セールスマン・ウイリーの話。頑張ればよい暮らしがと信じて働いている親父とその妻リンダ。そして、30過ぎになっても、自分探しを続ける不甲斐ない兄ビフとその弟ハッピー。その家族の物語であるが。。。 笑えない喜劇か、はたして、現代に通じる悲劇か。 現代でも真実をついている。サラリーマンには必読か? 1915年〜2005年。ニューヨーク生まれ。女優マリリン・モンローと結婚。同作(1949年)は、トニー賞、ピュリッツァー賞を受賞。 <本文から> ビフ お父さん!ぼくはね、ひと山十セントのつまらない人間なんだよ、あんただってそうだ! ウイリー (もう感情を抑えることができなくなって、くってかかる)おれはひと山十セントなんかじゃない!おれはウイリー・ロマンだ、おまえはビフ・ローマンだ! ビフはウイリーのほうへ行こうとするが、ハッピーにさえぎられる。激怒のあまり、ビフは今にも父親に襲いかかりそうな気配である。 ビフ おれは人の頭に立つような人間じゃないんだ、あんただってそうだ。足を棒にして歩く注文とりにすぎないんだ。とどのつまりは、ごみ箱にほうりこまれるのがおちさ!おれは一時間一ドルの人間だ! <中略> どだい、おほめにあずかるような物を持って帰れる人間じゃないんだ、そんなことを期待するのはやめることだな! ウイリー (ビフに面と向かって)まだ執念深く、恨んでいやがるな!