とても良い / 口コミ件数 : 31件
この作品はSFか否か? という議論が以前某所で交わされた。まあ普通はそういう扱いはせず、幻想文学、風刺小説といった括りになるのだと思う。だがSFとは別物かというとそうでもない。目まぐるしく改変される過去、洗脳、言語統制、永久戦争・・・このダークなセンスオブワンダーは紛れも無く一級のSF作品と呼んで支障ない。冷戦が終わった今日ではやや迫真性に欠けて見えるかも知れないが、私にとっては変わらず傑作だ。
なお、この作品には少なくとも二つの映画化作品が存在する。「1984」(John Hurt主演)は原作に比較的忠実であり、国内では買えないが、米国アマゾンでは検索でき、これも傑作と言える。「未来世紀ブラジル」は一見本作品と何の関係も無いのだが、観た人は異口同音に「これはモンティ・パイソン版『1984』だ!」と何でだか言い切った。無論私も何でだか言い切った。映画の出来は素晴らしかった。
これは恐ろしい話である。恐ろしいほどまでに絶望的な話である。政府が思想の弾圧を 行うのに、言葉を統制して人民を骨抜きにするためのあらゆる策略が詰まっている話である。 今は2000年で本書が示した世界は無いが、世界の様々な国では大なり小なり危険な統制が芽を 潜めている。平和な世界を維持するためにも必読の書であると思う。
1984年、世界は3つの巨大な社会主義国によって分けられていた。オセアニアとユーラシアとイースタシアに。いずれも凶暴なまでに人間の自由を抑圧する、全体主義国家であった。 その1つ、オセアニアでは<偉大な兄弟>という絶対的指導者が君臨し、個人の生活はスパイ行為の奨励、監視体制、報道・娯楽の統制などによって完全に統制されていた。思想までも「思想犯罪」の名のもとに思想警察によって取り締まられ、「新語法」による言語統制によって反社会的な考えを持つことそのものが不可能となっていた。真実は歪曲され、隠蔽され、抹殺される。党の発表だけが真実なのだ。 この暴力と恐怖が支配する暗黒の世界にあって、外部党の党員ウィンストン・スミスは密かに体制への反発を感じ始める。そして同志を得て徐々に反逆心を強めていくが・・・? スターリン体制をはじめとする共産主義政権の特徴を極端に誇張し、共産主義の本質を白日の下にさらした問題作。しかも、単にスターリニズム批判、全体主義体制批判に留まらず、無意識のうちに権力の危険性と権力者の本質をも突いている。オーウェルの慧眼には感嘆するほかない。 たしかに開高健が「悲愴な失敗作」と評しているように、物語としては必ずしも成功しているとは言い難い。あまりにも誇張がすぎて白ける部分もあるし、物語の構成もさしてうまくない。しかし物語全篇を覆う圧倒的な絶望感と狂気は私たちに危機感を与えるに充分である。その意味でオーウェルは成功したといえる。 なお、出来映えに関して言えば、1944年に書かれた『動物農場』の方が優れている。ソ連共産主義政権を徹底的に諷刺した傑作寓話で、20世紀の『ガリバー旅行記』といっても過言ではない。なまじ陽気でのどかな雰囲気が流れている分、凄みが増している。
今流行の国際関係学を学ぼうと思っている方にはとりあえず読んでみてほしいものでしょう。
今を支配してしまえば、未来はもちろん過去すらも思い通りにしてしまえる。
この描写にはぞっとします。
全く姿の見えない為政者に、世界がいつの間にか動かされている。そこには個人という存在はなく、ただの機械の部品。いつの間にか人は現れ、また消えていく。空虚な世界観をひしひしと感じます。
42歳になって初めて読み通した。こんなつらい話を誰が読むのかと思っていたが、非常に有名なSFだったので意地になって読んでみた。構成がしっかりしているし、全然古いと感じさせない、まさに星5つの小説だった。(良い小説を読んだという充実感がすごい)。1984年から25年も経ったし、本来1948年に書かれた本なので60年以上経過したSFなのだが、描かれている情景が伝え聞く現在の北朝鮮の体制とまったく変わりなく、正に悪夢だ。