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1. とても良い |
さん |
書き込み日: 2005年05月03日 |
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サイバーパンクの最高傑作 |
SF作品は閉塞していた。70年代から続くSFの流れは、当時のテクノロジーと政治的な諸問題に(少数の例外を除いて)、まったくコミットしていなかった。粗製濫造、二番煎じ、毒にも薬にもならない政治的態度。サイバーパンク・ムーブメントは、それらすべてに「否」を突きつけた。 そして、サイバーパンク党「党首」であるスターリングが世に問うたのが、この本、『スキズマトリックス』である。 読みにくい、然り。話の筋がサッパリ、然り。魅力的な人物がいない、然り。 だが、この本はまぎれもなく傑作である。誰が何といおうと、個人的には『ニューロマンサー』よりも、この本はすばらしい。 グロテスクなまでに発達したテクノロジーは人間に何をもたらすのか。人間性はどう変容するのか? そして、変容した彼らはいったいどのような思想・信条を持つにいたり、どのような生活をするようになるのか? 「人間とは何か?」、始まりにして終わりである、この大いなる命題を、テクノロジーという側面からラジカルに描いた作品が本書だ。そしてそれは、サイバーパンク・ムーブメントが再びSFというジャンルに思い出させようとしたものに他ならない。 確かに、この本は何の予備知識もなく読み始めるのはつらいだろう。すんなりと入っていける背景設定となるような「お約束」がどこにもないからだ。うらぶれた街で首筋にジャックを刺したミラーシェードの男、なんかもここにはいない。だが裏を返せば、そこで描かれているものは、読者の予想を遙かに上回る、体験したことのない、想像だにしなかったような圧倒的なビジョンだ。そのビジョンは二十年以上を経た現代でもなお、その斬新さ(と、奇妙さ)を失ってはいない。 残念なのは、本書と世界観を共有している短編集『蝉の女王』が絶版になってしまっていることだ。本来なら、先に『蝉の女王』を読んで軽く脳をスターリング節に合わせたあと、『スキズマトリックス』に取りかかるのがベストである。早期の復刊を望みたい。 |
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