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スカイ・クロラ (中公文庫)

スカイ・クロラ (中公文庫)

良い / 口コミ件数 : 39


価格 : 620 円





クチコミReview一覧
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1.  とても良い りりさん 書き込み日: 2008年05月21日

これは最終巻ではありません

これが最終巻だとレビューを書いている人がいますが、これは誤りです。
出版された順に並べると以下のようになります
『スカイ・クロラ』
『ナ・バ・テア』
『ダウン・ツ・ヘヴン』
『フラッタ・リンツ・ライフ』
『クレィドゥ・ザ・スカイ』
敢えてはじめから時系列順に読む必要性は無いでしょう。
これからスカイ・クロラシリーズを読もうと思っている方は参考にしてください

*追記
全体として読んだときのストーリの最終巻は確かに本巻なのですが、やはり出版順に読むのがベターです。
いきなり時系列順に読んでしまうと楽しめないトリックも多いからです。



2.  とても良い 点と線さん 書き込み日: 2008年09月05日

解説を少しだけ,小説を読んだだけですが

  航空機は、空気の中を滑りながら飛んでいる。車の走行とは明らかに異なる。トラクターやプッシャー。前者は翼の前にプロペラがあり機体を引く。後者は先尾翼となりプロペラが機体を押す。=散香の特性が分かるだろうか。かつて私も戦闘機の仕事をしていた。

 エルロン(主翼の外側にある舵)は機体を左右にひねる。=ロールを打つ。
 ラダー(垂直尾翼の舵)は機体を左右に振る。=ロールを打つ方向へラダーをあてれば急降下に入る。
 エレベータ(垂平尾翼の舵)は機体を上下に振る。=エレベータを引けば機体は上を向き、それまでの速度エネルギーが高度という位置エネルギーに置き換わる。そのままの姿勢で推力(速度エネルギー)がなくなれば失速となり、逆にこれを利用して滑りながらターンを打つ。
 フラップ(主翼内側の舵面)は、低速時の揚力を稼ぐ、もしくは高速時において速度エネルギーを揚力エネルギーに変えて、結果としてブレーキの役割をなす。
 これらの舵と重力や遠心力の立体的な組み合わせ。  
 こうしたハード面。普通の人に分かるわけがないのだが、本小説にはほとんど解説がない。

 また、キルドレ達の少し変わった内面。記憶がないか、まるで植えつけられたかのような記憶の断片。シリーズにおけるパラレルな記憶、そして生死感。クローンの暗示か。主人公の一人称は総て「僕」。こうしたソフトの面
 ハードとソフトの両面が分からないと、全くつまらない話。多分☆2つ以下の価値。

 しかし、その両面が理解できた瞬間、彼らが空戦することを「踊る」「美しく踊りたい」という「本当の意味」を知る。
 散香(サンカ)を飛ばす水素(スイト)は酸化水素、つまり水となり大空に溶け込む。
 そして、クレィドゥ・ザ・スカイのエンディング。ブーメランの意味。キルドレ達の連鎖。正に「メビウスの輪」が出来上がる。

追記 これが森氏のテーゼではないとするコメントがあったが、同氏の「トロイの木馬」は同様のテーゼが流れていると思う。



3.  とても良い kamomeguitarさん 書き込み日: 2004年11月20日

純度

時代は現代っぽいのだけど、社会は戦争をしていて、
しかし全市民が戦争をしているわけではなく、
企業が仕事として、戦争をしている。

そういう背景設定。

主人公はその企業の飛行機のり。
敵の死、同僚の死。
そういう中にあって、主人公は「キルドレ」。
最後には衝撃的だけどクールな結末が待っています。

僕はこの本を昼休みは就寝前に、こまぎれに読みましたが、
読んでいる間(1週間くらい?)は、とても幸せな気分でした。

小説を読んでいる間、空を飛ぶようにトリップした気分になれます。
なぜなら、この小説の訴える部分がとても純粋だから。
その純粋さゆえに、自分の中の汚れが浄化していくような気分です。

続編「ナバテア」も読んでみたいと思います。



4.  とても良い 有理化さん 書き込み日: 2007年11月12日

願わくば、空の上で

この作品の
言葉を追いかける度に
心が透明になっていくような気がする。

森博嗣の描く「孤独」は
どうしてこうも美しいんだろう。

 
まだS&Mシリーズしか読んでいない方にも是非手に取っていただきたいです。
スカイクロラには、森博嗣が凝縮されています。



5.  とても良い voodootalkさん 書き込み日: 2005年09月03日

僕らのどこかの部分としての『キルドレ』

2001年6月リリース。
森博嗣がミステリィの謎解きを捨て去り純文学に挑戦した最初の作品、と言うことができると思う。このように出来上がった作品を読むと森氏の文章は実に切れる。僕は今の文学界でこれほどの切れ味を持った作家をあと一人しか思いつかない。もう一人は村上春樹だ。

森ワールドからさして重要でも無かった『謎解き』と『おちゃらけな会話』を除く。そこには極めて純度が高まった純水のような新しい森ワールドが出来上がる。この高純度森ワールドの登場人物たちは、純化されつくした生死を語り、空を飛び回る。秒単位で自分の思考と視点を捉え、その時の感情を自分なりに表現する。そういった『刹那』がこの作品にはあると思う。

それは実は『僕ら』を高純化させれば奥の方に残るもの。僕らのどこかの部分としての『キルドレ』を読んでいるのかもしれない。それを描ききった本作こそ森博嗣の現時点の最高傑作だと思う。



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