良い / 口コミ件数 : 8件
価格 : 780 円
山下淳司の文章は、いつもぎりぎりだ。これ以上説明を削ると素っ気なくなる。これ以上感傷的になるとくどくなる。いっそ芸術的なまでの完成度と言っていい。題材を選ぶセンスも素晴らしい。今回のそれは山に生き、山に死んだ男達。スポーツを描く彼とはまた違った味わいがある。―つまり、この本は佳いということだ。
私はアルピニストではない特に山登りもしない(たまに近所の低山にハイキングに行く程度) が、山には憧れをもっている。 これ程までに我々を魅了して止まない山の魅力とは何だろう。 山際の文章を私はドライな淡々とした印象に感じた(印象は人それぞれだ)。 この本にでてくるアルピニスト達は皆 山で死んでいる。幸せな死だと思いたい。いかに山が好きか良く書かれていると思う。良い本である。 山に興味がない人もぜひ手に取って欲しい一冊である。
先鋭アルピニスト達の山に懸けた思い、思想、美学を山際淳司さんが検証。 凍傷により足を半分以上失ってもまた山へ向かった人、11歳から山へ登り始め、わずか19歳で消息を絶った人の話をはじめとしてあっけないほどに淡々と描かれる死。 生きるという事、自分を取り戻すという事について考えさせられる作品です。
本人が明日からあとがきを書くと予定して、人事不省となり亡くなる。奥様の談話があとがき になっている、読むと山際さんの人となり、この本が書かれた時期の様子などもわかり、 彼の引締まった文章に漂う気品の背景の一端にふれることができる。 対象となった人達が文章や行動で残した生き方を、書かれた本人の思い以上にそして正確に伝える。 スポーツノンフィクションで、例えばD・ハルバースタムなどの欧米の作家の乾いた熱っぽさ につながる筆者をなくしたのは本当に残念だし、本人があとがきをどう書くつもりだったのか。 この本は、彼の他の文章とは微妙に違って「生きる(逆の死)」に神経が集中している。 結果として生前最後の本人監修の文庫になるが、何か感じることがあったのかもしれない。
1983年にKKベストセラーズから出た『山男たちの死に方−雪煙の彼方に何があるか』の改題・文庫化。 登山家は山で死ぬことが多い。しかし、それは「幸福な死」なのだという主張のもとに書かれたノンフィクション。 取り上げられているのは、加藤保夫、森田勝、長谷川恒男、ロジェ・デュプラ、ヘルマン・ブールなど。みんな、山で死んでいる。 彼らの遭難の様子を描きつつ、山の魅力が示される。まあ、それは正しいのだろうと思う。しかし、どこか山や登山家について誤解しているような気がしてならない。読んでいて違和感が消えないのである。 文章が投げっぱなしで、結局、何を訴えたいのかハッキリしないのも欠点。 本書刊行の直前に山際氏は亡くなっており、夫人の犬塚幸子さんによる「山際さん、ありがとう」が併録されている。