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完訳フロイス日本史〈1〉将軍義輝の最期および自由都市堺―織田信長篇(1) (中公文庫)

完訳フロイス日本史〈1〉将軍義輝の最期および自由都市堺―織田信長篇(1) (中公文庫)

とても良い / 口コミ件数 : 5


価格 : 1,200 円





クチコミReview一覧
評価の高い順 評価の低い順 書き込み日の新しい順
口コミ件数:5 1
1.  とても良い toyacさん 書き込み日: 2007年06月01日

総タイトルが問題だが、きわめて貴重な資料。

たいへんな労作で、同時代の資料として貴重であるのは間違いない。
ただ、これに『日本史』というタイトルが付いているのが問題だ。
いかなる歴史書も、書き手の主観を排除することなどできないが、
それでもここまであからさまな主観(異教徒から見れば偏見)で徹底されているならば、「日本史」という看板は下ろすべきだろう。
実態は、一人の宣教師の滞日数十年間を綴った「手記」であって、
たとえば同時代の日本人のものでは山科言継『言継卿記』や、吉田兼見『兼見卿記』、勧修寺晴豊『晴豊公記』などと同列の「日記」である。
フロイスの上司にあたるバリニャーノから「冗長すぎる」として公的記録としては評価されなかったようだが、
個人の「日記」としてとらえれば、むしろそこにこそおもしろさがある。
一宣教師にすぎないフロイスが、気負いに気負って、信長を始めとする名だたる武将や堂上公卿と交流し、彼らを評するくだりなどは、他の資料では見えない面が浮かび上がってなんとも興味深い。
好意も悪意も、ここでは隠す必要がないから実にあからさまで、だからかえって事実関係に嘘はないと逆に判断できる。
本書の値打ちは、この「偏見」にこそあるだろう。



2.  とても良い 美乳(微乳?)好きさん 書き込み日: 2006年02月25日

年よりの暇つぶし

 カソリック宣教師の、優越感蔓延の本です。いかに、フロイスが、「日本人は勤勉で知的な民族である。」と書こうとも、言葉の端々から、「このサルどもめ!」という匂いがプンプンと漂ってきます。
 ただ、日本人が知っている(と思っている)室町安土桃山時代を、別の視点から見させてくれます。この時代の風俗を、西洋のの視点から説明してくれているので、おもしろいし、興味深いものです。我々日本人が当たり前として見過ごしていた室町安土桃山時代の風俗を改めて認識させてくれます。
 問題は、これを歴史書としていいかどうかなのです。歴史の資料としてはかまいませんが、これを歴史書とするには問題があると思います。
 私のような、年よりが暇つぶしにこれを読むのはかまいません(私は、実際暇つぶしの時に読んでいるので全12巻読み終えるのはいつかわかりません。)が、若い勉学中の方は、よりまともな歴史書を読むことをお勧めします。(はっきりいいますと、全体の基調は、「異教徒は非業の死を遂げて当たり前」、「クリスチャンは神に守られ、たとえ死んでも、それは神に嘉せられてゼウスの意志によって恩寵を受け天国に参らせられる。」という論調です。)まともに、読む本ではありません。くれぐれもこの本で歴史の勉強をしようなどとは思われませんように。
 ただ、この本を完訳された翻訳者の方々の努力は刮目すべきものです。この訳業によって、我々のような、語学に稚拙な者でも、中世の西洋人の考え方がわかるのですから。まともな、原稿がない状況で、それを、丹念に収集し、かつ、まとめ上げて翻訳するということは、尋常な努力ではなせなかったと思います。その点はすばらしいと思いますし、このような本は滅多に出てこないと思います。絶版にならないうちに買っておくこと(たとえ今すぐ読まないとしても)をお勧めします。



3.  とても良い 蛍火さん 書き込み日: 2009年07月03日

力強く甦る「中世日本のキリスト教布教活動、歴史的人物、庶民性」

著者ルイス・フロイスがポルトガル人宣教師であるが故に宗教的(キリスト教的)違和感なり異臭が伴うが、「中世日本のキリスト教布教活動、歴史的人物、庶民性」を鋭く甦らせ、映像化させる面白さは否めない。また、この時期に「外の目(非日本人の目)」で日本を見、日本の特質を述べたものとして特長があると思われる。中世日本におけるキリスト教布教活動は、歴史教育において表面的に触れられるのみであるが、この著書を読むと草の根の活動であり、徳川時代に鎖国政策とキリスト教の禁教政策が採られなければ、その後の日本の歴史展開が大きく異なったものとなっていたであろうと想像される。いくつか、この著書に特徴的な点を挙げてみよう。

・天皇、室町幕府の足利将軍、戦国大名がこの時期の日本をどう統治していたか権力構造が垣間見れる

・足利義輝、三好長慶、松永久秀、毛利元就、高山右近といった歴史的な人物が、見聞を含め「外の目」からリアルに描写される

・「日本では、いかなる君候を訪ねる際にも、かならず贈物をせねばならない習わしがある」といった文化や、「その道中では、若者たちや出会った賤しい民衆が一行(司祭)に向って叫んだり、爆笑し誹謗したりした。また、子供たちは街路に走り出て、同じことをし、一行を嘲り笑った」という描写に庶民の反応が窺い知れる。



4.  良い 山瀬暢士さん 書き込み日: 2001年07月10日

戦国時代を知るための必需資料

ポルトガル人が書いた日本の戦国時代を知る超一級の資料。外国人の目から見た日本は、時として偏見に支配されているものの、人々の生活や信長との会見とその人ざまを生き生きと描いている。比較的無味乾燥になりがちな日本側の資料を補い、戦国ロマンを書きたてる書である。

原資料の順序を変え、トピックごとにまとめたことにより読みやすくなっている。

残念なのはこの文庫版が作られるにあたって、ハードカバーにあった訳注などが削られてしまったことであるが、それでも十分な歴史資料であるし、この手の一次資料として破格の安値となっているのがうれしい。



5.  良い おいこたんさん 書き込み日: 2007年11月15日

フロイス氏の旅行記?

一読して宣教師ルイス・フロイス氏の旅行記のような印象を受けました。
「○○殿に面会した。」「○○という船に乗って、そこでは・・・」という記述の中には
重複するような部分もあり(フロイス氏は何度もいろいろな殿に会って、キリスト教の布教の許可を頼んでいる)少し眠くなるかもしれません。
仏僧との宗教談義では、初めてキリスト教の西洋の世界観の説明を聴いたこともない僧侶たちが戸惑う様子が伺えます。当然キリスト教徒から見れば異教徒ですから「邪悪な」などの相手を見下した文章でもあります。改宗した大名には好意的です。実体験と伝聞情報、そのなかには「彼が聞いた当時の民衆が○○殿、足利将軍などをどう見ていたか」が、彼の主観でありますが書かれて残っているのが貴重な資料でしょうか。冒頭の解説では一部発見されていない、または消失した章があるのとのことですが、残念でなりません。松永霜台の軍勢に立ち向かって剣を振るった足利将軍の勇敢さと、戦国の世とは云え、身ごもった足利将軍の正室を斬首する行為には特に印象を受けました。



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