とても良い / 口コミ件数 : 3件
価格 : 680 円
永井先生の王朝三部作の最後を飾るこの作品は、「この世をば」の続編とも言うべき位置づけ と言える。王朝序曲で藤原冬嗣が作り出した「平安時代」そして藤原北家、中でも道長がその 権力を固め謳歌した直後から物語が始まる。 歴史の教科書では後三条天皇の荘園整理令から一気に白河天皇による院政期に進んでしまうが、 本書ではその舞台裏を道長の息子でありながら、冷遇された藤原能信の視点から明らかにし、 幾つかの偶然(頼通・教通兄弟の確執と彼らの娘が男子を授からなかった)と能信の意地が 院政時代の扉を開き、王朝時代を周辺へと導く事となる課程を解き明かしている。 本書では白河天皇の母となる禎子内親王を三条帝・妍子の「不運の種」として、そして物語の 軸として紹介しているが、実は能信こそが「藤原摂関家」への「不運の種」であったのだ。 とは言え、「この世をば」の終わりに示された様に、既に朝廷の政治が限界を迎えつつあった この時、歴史という舞台を廻す役目を担った能信の生き様が実に良く描かれている。 この分かりにくい時代を丁寧に書き起こした本書は、平安時代史そして平家物語にて描かれる 院政期に興味がある全てのひとが一度は読むべき良書と言えよう。 なお、永井先生の描く藤原道長像は、通常のそれと少し趣を事とする。是非「この世をば」を 一読の上、本書を読まれることをお勧めする。
優雅にして華麗なはずの平安王朝絵巻の末期→院政への移行期を描いた歴史小説。摂政だ、関白だ、大臣だ、とふんぞりかえったところで、帝に差し出した娘の受胎と産む赤ん坊の性別が運命の分かれ道。国のトップ皆が固唾を飲んで妊娠・出産を見守る事態の滑稽さと言ったら無い。 この時代、何かと装飾過剰だが、一言で言ってエグい。
永井路子の「王朝序曲」「この世をば」の完結篇。同じ道長の子でありながら、母が違うがためにあまりにも出世の違いがあった。倫子の産んだ子は、男は年若くして出世、女は帝のきさき。それに比べ明子の産んだ子は、世を捨て出家、いつも倫子の子から一歩も二歩も遅れをとっての政界進出、女は誰一人帝のきさきにはなれなかった。
しかし道長が死ぬと、倫子系にもかげりが生じてくる。そして最後に勝利するのは・・・