とても良い / 口コミ件数 : 7件
価格 : 1,680 円
本が大好きなソーネチカの一生の物語。 ソーネチカは、すごく幸せな事があればその現実を 「なんて幸せなんでしょう」と感謝して、 他人から見れば不幸な事がおきても 「こんな自分だから仕方ない」と納得してしまう。 誰かを何かを悪く言う事はない。ある意味自分を良くわかっている? なかなか出来る事ではない。強い強い信念を持った女性なのかも。 普通なら不幸だと思えるエピソードは、普通の作家が書いたら そこを突き詰めてしまいそうだけど、この作者はあっさり流して しまっていて、 それがソーネチカその人の性格なんだろうなぁと 読んでいるこちら側もたんたんとその出来事を消化してしまう。 物語に入り込むというよりも、ソーネチカの家の窓から ソーネチカの一生を垣間見たような気分にさせる物語。 文章も綺麗、物語の中の描写も綺麗なので星5つ。
ソーネチカは「本の虫」です。あまり可愛いといえない女性として描かれています。一般的に言われている「女としての喜び」を諦めている女性です。 しかし、彼女ほど人生を幸せに生きている人はいないのでは?どんなに不幸が訪れようと、彼女は「幸せ」を見いだすのです。
我々現代人は、不満が多すぎます。一見、経済的にも、文化的にも技術的にも大いなる発展を遂げたかのようにみえますが、心はすさんでいます。十分すぎる贅沢をしながらも、まだ不満を・・・欲を求めています。 幸せはお金で買える物ではない。今の私たちが忘れた「本当のささやかな幸せ」をソーネチカが教えてくれます。ぜひ、機会があれば読んで欲しい一冊です。
昔、村上春樹がスコット・フィッツジェラルドの短編「レバノン再訪」を「読後しばらく経ってから、後ろ髪をつかまれるような小説」といって尊敬し、手本にしていたそうですが、このウリツカヤの「ソーネチカ」も読後しばらくしてから、背中から突然掴み掛られるような驚きと感動のおしよせる作品です。 読んだ直後はわからない何か、例えばこの小説はどうしてこんなにチェーホフに似ているんだろう?とか、どうしてソーネチカは、最愛の夫に裏切られても失望しないんだろう?とか、どうして彼女は一人娘の友達ヤーシャが夫の恋人であったにも拘らず、相変わらずご飯を食べさせてやったり、以前と変わらず優しくしてやれるんだろう?とか・・そういった謎が時間をおいてから突然、背後から殴られるように解ける。ああ、この爽やかな読後感はあのチェーホフの「可愛い女」を読んだ時と同じだ。ソーネチカの幸福はオーレンカの幸福と同じだったんだ。 底光りのするようなロシアの良心がひとりの平凡な女性の一生の中に100%描かれています。人生のあらゆる場面で読み直したくなる一冊。訳者のしっとりと女らしい日本語がこの翻訳作品を更に魅力的にしています。21世紀の「カワイイ女」必読の書。
ヒロインはロシアにお住まいの、読書がたまらなく大好きなソーネチカです。幸運にも図書館の地下にある書庫で働くことができました。ある日、一陣の風のようにひとりの男が図書館を訪ねてきます。たまたま館長がその日はお休みだったので、ソーネチカが地階で訪問者の応対をすることになりました。そこから寓話的でもあるソーネチカの人生ドラマがコトリとささやかな音を立てて動き始めます。結婚、出産、引越し、同居など、社会主義となった赤い国の特殊な状況下のなかで淡々と日々が過ぎていきます。「淡々」と過ごせるのはひとえにソーネチカの類稀で魅力的なパーソナリティの賜物のため。静かでやさしい物語にそっと耳を傾けてみてください。
読後の印象が、いわゆる「名作」で、登場人物の名前からしてトルストイやツルゲーネフ、あらすじがゾラやモーパッサンを彷彿とさせます。レヴューにあらすじはネタばらしの反則のような気がするので割愛しますが、やれエンタメだ、やれホラーだ、やれメタフィクションだ(はないかもしれませんが)の昨今の趨勢をお嘆きの諸兄には、昔、読み耽った「名作」の現代仕様として(昔、読んだ「名作」ほどこってりはしていないので)楽しめること請け合いです。