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そうか、もう君はいないのか

そうか、もう君はいないのか

とても良い / 口コミ件数 : 29


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クチコミReview一覧
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1.  とても良い 街道を行くさん 書き込み日: 2008年10月16日

夫婦とは、この世で一番尊い存在かもしれない、と思いました。

妻を失う、ということの辛さ、と語るには余りにも大きな喪失感を城山三郎さんの文面から間接的に体験させていただくことが出来ました。きっと自分もそうなるに違いないだろうと思いました。男にとって、それほどまでに妻の存在は大きい。妻は一歩下がって夫を立てているようにみえるも、夫ほど妻に何もかも頼りきっている存在はちょっと他に探せないように思う。「そうか、君はもういないのか」取り残された夫は誰もがそうつぶやいて虚空を眺めることでしょう。城山さんの、率直な語り口が、妻と生きる人生の醍醐味を描いてらっしゃるように受け止められました。いつかやってくる日なのですね。その時、悔いの残るようなことだけはしておきたくない、と考えました。城山さんご夫婦が如何に愛情を持ってお互いが接していたかが良く伝わってまいります。せめて、夫婦でいられる間は、いつも愛を持って暮らしてゆこうと思いました。



2.  とても良い yonda3さん 書き込み日: 2008年06月22日

読んでよかった

戦前生まれらしく、堅くて古風な文体。
その文体をもってしても、抑えきれない出会いと新婚時代のフワフワしたときめき。
「おかしなやつだ」と苦笑いしつつ、優しい目で描写される奥さんの日々の言葉や暮らしぶり。
何十年もの間の、特に劇的とは言えない夫婦の平凡で平和な日々。

この作品は、2007年に亡くなった城山さんの遺稿とのこと。
書き終わっていたわけではなかったようで、抜けている箇所もあるのを、編集者が構成し、第一部としています。
かなり説得力のある構成と、城山さんの抑制された語り口のお陰か、
抜けている部分も「センチメンタルになりすぎるのを恐れて、城山さんはあえて書かなかったのだろう」と思わされます。
しかし、城山さんの娘さんによる第二部を読むと、ああ、城山さんは「書かなかった」んじゃなくて、辛くて書けなかったんだ、
だから後回しになって、書かないままに奥さんのもとに行ってしまったんだ、と思わされます。
第一部の飄々とした城山さん、第二部の慟哭の中、ボロボロになって生きていた城山さん。
その対比が痛ましく、そのためさらに鮮やかに、平凡な夫婦の日々が輝いて感じられます。
そしてそれは私たちに、平凡な日々のかけがえのなさを痛切に思い出させてくれます。
城山さんが、あの世で奥さんと美しい日々を重ねていますように。



3.  とても良い しゃらさん 書き込み日: 2008年07月17日

痛いほどの愛の回想

愛するってこうゆうことなんだなぁと…。

まっすぐで
でも
落ち着いた文体が妻への思いを痛いほどに表現している


途中に出てくる『妻』と『愛』の二編の詩は
人が人を愛せることの喜びを感じさせてくれた

このような愛をそそぎこむ人生を送りたいと思う



4.  とても良い みぅさん 書き込み日: 2008年08月10日

ありがとうございました

城山三郎氏の本を読むのはこれが初めてでした。
どこかのブログで紹介されていて、その記憶を辿って購入に到ったわけですが、
未婚の私が結婚生活の苦労が分かるはずもなく、
1冊読んだくらいでこのような事を言うのは既婚者の方々に対して失礼なのかもしれないですが、
この本を通じて私は何物にも耐え難い‘夫婦の絆’を学ばせて頂きました。
淡々と語られた結婚生活の端々にお二人が築かれた絆が垣間見え、
また、あとがきで紀子さん視点で語られる生前のお二人の絆の深さも感慨深く拝見いたしました。
‘絆’と漢字にしてしまえば一文字で終わるこの文字の意味を重さを始めて感じた気が致します。
実際、このような強い絆で結ばれる夫婦はどれほどいるのでしょうか。
永遠の別れが来るその日まで、お互いを尊重し助け合い、慈しみ合う夫婦はどれほどいるのでしょうか。
未婚の私には到底想像もつかない結婚生活ですが、この本を読んで学ばせて頂いた事が
いつか私の糧となって、お二人に負けない‘夫婦の形’を築いていきたい、
と切に思いました。
気付けば涙を流し、読んだ後には安堵にも似た溜息を思わず零しました。
そして閉じた本を前に自然と零れた言葉をもう一度言います。

「ありがとうございました」



5.  とても良い kawaskiさん 書き込み日: 2008年03月06日

「おくりびと」城山三郎

 映画「おくりびと」がアカデミー賞の外国語映画賞を受賞したのは、日本的な死生観が欧米でも評価されたからでしょうか。

 本書は「五十億の中でただ一人『おい』と呼べる妻へ」の愛惜の回想記、ラブストーリーです。二人は「喧嘩らしい喧嘩をした覚えがない」(87ページ)そうで
す。

2000年2月に妻、杉浦容子さんは癌で亡くなりました。その直前にニュー
ヨーク在住の息子さんが見舞いに帰国されます。そして城山三郎さんと息子さ
んが病室を出る瞬間、以下のような記述があります。(135ページ)

−−−−
突然、容子がベッドに身を起こしたかと思うと、降りるというより、滑り落ちた。
何事かと驚くまでもなかった。
次の瞬間、容子は息子に向って、直立して挙手の礼。
息子は驚きながらも、容子に向い、直立して挙手の礼を返す。
私はひさしぶりに笑い声をあげた。もちろん、容子も息子も笑顔。
三人が笑っての最後の別れとなった。
−−−−

私の父が胃がんで亡くなる数日前、突然立ち上がって何歩か歩こうとしたこと
を思いだしました。そして父は「今歩いておかないと歩く時がない」と言った
のです。

死ぬ直前までの人間の強烈な生命力を感じさせられました。

下は本書に出て来る城山三郎さんの好きな箴言です。 

「静かに行く者は健やかに行く 健やかに行く者は遠くまで行く」(イタリア
の経済学者パレート)

2時間ほどで読めるおすすめの一冊です。涙をふくティシューを用意してお読
み下さい。



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