 |
「静かに行く者は健やかに行く 健やかに行く者は遠くまで行く」 |
「五十億の中でただ一人『おい』と呼べる妻へ」の愛惜の回想記、ラブストー
リーです。二人は「喧嘩らしい喧嘩をした覚えがない」(87ページ)そうで
す。
2000年2月に妻、杉浦容子さんは癌で亡くなりました。その直前にニュー
ヨーク在住の息子さんが見舞いに帰国されます。そして城山三郎さんと息子さ
んが病室を出る瞬間、以下のような記述があります。(135ページ)
−−−−
突然、容子がベッドに身を起こしたかと思うと、降りるというより、滑り落ちた。
何事かと驚くまでもなかった。
次の瞬間、容子は息子に向って、直立して挙手の礼。
息子は驚きながらも、容子に向い、直立して挙手の礼を返す。
私はひさしぶりに笑い声をあげた。もちろん、容子も息子も笑顔。
三人が笑っての最後の別れとなった。
−−−−
私の父が胃がんで亡くなる数日前、突然立ち上がって何歩か歩こうとしたこと
を思いだしました。そして父は「今歩いておかないと歩く時がない」と言った
のです。
死ぬ直前までの人間の強烈な生命力を感じさせられました。
下は本書に出て来る城山三郎さんの好きな箴言です。
「静かに行く者は健やかに行く 健やかに行く者は遠くまで行く」(イタリア
の経済学者パレート)
2時間ほどで読めるおすすめの一冊です。涙をふくティシューを用意してお読
み下さい。
|
 |