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デミアン (新潮文庫)

デミアン (新潮文庫)

とても良い / 口コミ件数 : 19


価格 : 420 円





クチコミReview一覧
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1.  とても良い さん 書き込み日: 2005年08月02日

この本が在ってよかった

ヘッセといえば?
と日本で道行く人に聞いてみたら、特別ヘッセが好きだという人はともかく、多くの人は「車輪の下」と答えるのではないでしょうか。

だけど私の中では、間違いなくこの「デミアン」がヘッセの代表作です。この本をヘルマン・ヘッセが書いてくれたことを、本当に感謝しています。これまえでに何度も読み、またこれからも読むでしょう。
もし一個の人間として独立しようとして、かつその困難に喘いでいる友人がいたなら、私は迷わずこの本をすすめたいと思います。

しかしそうでない人にとってはピンとこない話かもしれません。

―私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。

冒頭にあるこの言葉に感じるものがあった人は、ぜひ「デミアン」を読んでみてください。深い、深い共感が待っていることでしょう。

ヘッセの全作品を見渡した時、この作品が前期から後期への橋となっていることは確かです。これはヘッセの作品の過渡期であり、ヘッセの人生の過渡期でもあったのではないでしょうか。
「デミアン」を読んでいると、これを執筆しているヘッセの姿が見えます。名のある文豪が書いた、というよりは悩める一個の人間が懸命に書き上げたという気がするのです。そういう切実な美しさと素晴らしさが「デミアン」にはあります。

万人に参考になるかはわかりませんが、私にとっての「デミアン」はそういう存在で、この作品と著者を敬愛しています。



2.  とても良い 013さん 書き込み日: 2005年11月11日

アウトサイダーの卵達へ

キリスト教の善悪二元論の支配する世界、ドイツの清廉潔白かつ厳格な家庭に、違和感を感じ上手く収まることのできないシンクレール少年は、自分が誤っていると感じ、身のやり場のなさに苦しみます。そこで出会う、年上の転校生デミアンに、その感覚は間違いではなく、自分達はケインの印を持つ者であり、神は悪魔をも内包するもので、卵は世界であり、卵から孵って飛び立つためには、まずその世界を破壊しなければならない、と教えられます。目を開かれるような思い、体験をしながら、シンクレールは徐々にデミアンの言葉を理解し、昔はことある毎に、デミアンに答えを求めた少年も、最後には、デミアンは自分の一部になっており、答えは自分の中にあることを知るのです。

単なる思春期の少年の葛藤の物語ではなく、既存の世界観にコリン・ウィルソンの言うアウトサイダーとして真剣に対峙したヘッセの葛藤の発露の始まりであり、だからこそ、既に著名な作家であったヘッセが匿名で発表した、この「デミアン」は、第一次大戦後のドイツで若者を中心に圧倒的な支持を得たのでしょう。世界で読みつがれている作品ですが、この本に共感した若者はその後は、元の世界に戻り普通の大人になってしまったのでしょうか。閉塞状況にある世界を徐々にでも変える鍵は、この本に共鳴するアウトサイダーの卵にあるような気がします。



3.  とても良い ニランさん 書き込み日: 2003年01月25日

自己って

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4.  とても良い ビイハヴさん 書き込み日: 2007年12月11日

これもひとつの青春

「私は、自分の中からひとりでに出てこようとしたことろのものを、生きてみようとしたにすぎない。
なぜそれがそんなに困難であったのか。」(本文より)

この世には、ふたつの世界がある。明るい世界とそうでない世界。
明るい世界に生きていた者が、ふとした瞬間にもうひとつの世界に気づいてしまう。
主人公は、幸せで敬虔なキリスト教の家族の中に生まれたが、ふとついた嘘で、自分の中にある「ずれ」をはっきりと認識していく。

聖書を違ったように解釈し、暗い部分を含めた神にもとづいて生きるなど、かなりキリスト教を批判している。
選択の余地はないと、運命を受け入れているあたり、どことなく東洋的、神秘主義のにおいを感じる。
キリスト教社会にとって、この本はかなり問題だったのではないだろうかと思う。

はっきりいって、驚いた。
ヘッセといえばまず「車輪の下」が思い浮かべられる。
どちらも青春時代であることは一緒だが、「車輪の下」がノスタルジックな青春だったのに対して、「デミアン」はもっと闇の色が濃い。
しかし、こちらの方が深みがあって、断然おもしろい、と個人的には思う。

他者と自分はちがうという自尊心。
闇の部分に踏み入れ、焦がれて生きること。
これもまた、ひとつの青春の物語である。



5.  とても良い 天と地を行き交う男さん 書き込み日: 2007年03月01日

鳥は卵の殻を破ろうと戦う、ヘッセとともに

ヘッセの作風が大きく変わる最初の問題作。第2次世界大戦直前の不穏な時代1919年に書かれている。
気弱故の、ちょっとしたうそから不幸に陥るシンクレールという少年が、デミアンという、謎めいた年長の友人の手引きによって、真の自我に目覚めていく過程を描いている。冒頭の序文に、ヘッセはこう記している。
 
 「すべての人間の生活は、自己自身への道である。なぜなら、どんな人も、
  かって完全には彼自身ではなかったから。」

この小説の最大の魅力は、謎の少年(?)デミアンの存在である。彼の言葉をいくつか拾ってみよう。

  「ぼくは君を驚かした。ということは、君は驚きやすい人間ということになる。」

  「もし、ぼくたちがだれかを恐れているとしたら、それはそのだれかにぼくたちを
   支配する力を握られているからだ。」

  「われわれがだれかを憎むとしたら、その人間の形を借りて、われわれ自身の中に
   宿っているものを憎んでいるのだ。自分の中にないものは、われわれを興奮させ
   はしない。」

ここに紹介したのはほんの1部だが、話の要所に、警句や格言めいた言葉が散りばめられており、にきびを気にするのと同じくらいに、「自分って何?」「自分がいや」と常に思うことが習しの青春時代には、大きく励まされ、勇気づけられる、そんな青春の書の代表が、ヘッセだったと思う。



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