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文章もいいけれど著者描くところのイラストが素晴らしい |
旅行記が成功するかどうかは、文章のよしあしも大きいが、それよりも何よりも著者の好奇心の度合いが問題である。好奇心が人並に過ぎず横着者であまり動こうとせず外をうろつき回るよりも寝ているほうがいいなんて人の旅行記が成功するわけがない。というより、こんな人はそもそも旅に出たりしないか。その点、著者は自他ともに許す異常な好奇心の持ち主で、あらゆる所に鼻をつっこみ、耳をかたむけ、人の迷惑も省みない詮索魔となって、我々旅行記ファンのために傑作をものしてくれたのである。インドと言う国はまあ誰が旅してもそこそこの旅行記が書けるような、魑魅魍魎の跋扈する面白おかしい国だけれど、そこに著者のような好奇心の病的にふくれあがった人が飛び込んだのだから、これは放っておいても傑作が誕生するというものだろう。そこにまた、著者描くところの懇切丁寧なイラストがおまけについて、唯一無二の素晴らしい旅行記となった。これは、宿泊したホテルを安いのから高いのまで一切差別をつけず、天井に住まう鼠の視点で描いたもので、そのデティールの美しさはこれだけでも一見の価値がある。従って、できることならこの本は、文庫本ではなく単行本で味わうべきものであろう。文庫になればイラストがちょっと小さ過ぎて何だか物足りないのである。 姉妹本に欧羅巴編があるけれどこれは………、まあインド編と比べるのは酷というものか。 |
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