良い / 口コミ件数 : 10件
価格 : 620 円
自分のすむ国ではどのような殺人事件があったのか? という疑問からこの本を読みました。 海外の事件はよく知っているけどみたいな、人にはお勧めです。 証言をもとに話が進みます。 犯人の年齢ごとに物語があり途中からとまりませんでした。 犯人の風景はいろいろな物語のモデルになっており、昭和という時代の光と影を強く感じました。 閉鎖的、集落、女、家族などが複雑に絡み合っていきます。 そして人として人間としての原点がありました。 殺人というよりは悲劇という感じを感じました。 自分としては「これでも人が殺せますか?」という思いです。 殺人が簡単に起きてしまう現代こそ読むべき本だと思いました。
岡山の30人殺しの犯罪を追った本です。横溝正史の八つ墓村のモデルにもなった事件です。結核の罹患、優秀なのに、進学の断念、軍国主義の足音、夜這いなどの村の習俗、阿部定事件など、当時の世相、風俗などのついて、記録や証言にもとづいて、細かく検証しています。事件について、知るためにはとても良い本だと思います。しかし、現象の記述にとどめているので、いま一つ、動機について、すっきり迫れていないところがあります。著者は、予断なく、読書に事実を示したかったようですが、著者として、推論だけでも欲しいところです。いづれにしても、この日本犯罪史上空前の事件について、その前後の事情について、詳しく予断なく書かれている本だと思います。犯罪学に興味のある人は必読だと思います。猟銃の所持の許可の問題など、当時と今とあまり変わっていないのがわかります。
昭和11年には、有名な事件の阿倍定事件が世をにぎわせ、軍国主義へと向かいつつある世相に笑いをもたらしたのだそうだ。 この本は、阿倍定事件に触発された、この事件の主人公の生い立ちや供述を緻密にたどったルポルタージュであると言える。 主犯者は、両親が他界した事を切欠に、姉とともに祖母の住む寒村に移り住む。 生来、体が弱く登校日数も少ないにもかかわらず成績優秀で、肺病を病む前は周囲の女性の人気もあった。 閉鎖的で、陰湿で、排他的な因習漂う寒村での唯一の楽しみと言えば、祭りと婚姻の有無にかかわらず行われる淫行しかなかったのだろう。 現に、私も習い事の先生から「農家じゃ女は村の男のものじゃけよ、男からアレを求められたら断ったらおえん。(マジっすか?怖いっ!)若い男は後家に物を持って行って、アレを教えてもらうのが習わしなんで。綺麗な後家やこ、村の男皆にやられよんで陰で馬鹿にしよったんで。」と言われた。 この県は、現代でも痴情に長けた当時の名残を残した様な人が多い。 又、閉鎖的な地域に住む人間は、実は自分たちの土地や人間関係が嫌いな場合が多い。それ故、どうしても結束力に欠けるので、結束を持たせる為には、絶対的強制力のある団体に属して特権を享受するか、自分たちの中で弱い立場の誰かを攻撃して、そこで団結を図る行動をとりがちだ。 排他的になるのも、よそ者が入り、自分たちの価値観や元々脆弱な団結力を崩されるのを極端に嫌うからではないかと思われる。 主犯者も肺病を病み、生活も貧窮となるにつれ、村の中での弱い立場の攻撃される対象となっていき、村の集団に入れず、そこから様々な不満や、強烈な性的衝動がからみ、 頼れる姉の嫁入り、村の共有物である筈の女達からも拒まれ、見捨てられ症候群の様になる。 陰湿で排他的な寒村で受ける陰湿な嘲笑や差別は相当なものであったと想像できる。 主犯者が、学校の先生の勧め通りに街中の中学校に進学していたら、この様な事にはならず、一廉の人物にはなっていただろう。 自殺する際の遺書の文章力には驚くばかりである。 この事件は、一人の人間が犯罪者になる過程に、様々な不運や偶然が重なる事や、人間の係る環境の影響の強さが分かる。 起こるべくして起こった事件だと思う。
津山三十人殺しの犯人の名である。たったの一夜の内に、しかも数時間で部落の村人三十人を 惨殺するという、ちょっと想像できる範囲を逸した凄まじい犯行(だが世の中は広いもので、 韓国でウ・ポムゴンが起こした57人殺しなどという更に恐ろしいモノもあるが、、)。 日本史、いや世界史にも残るこの残虐非道な殺戮に迫る背筋が凍るようなルポです。 僕もそうだが、大抵の人はこの事件を知るきっかけとして横溝正史の「八つ墓村」を読んだ 人が多いんじゃないだろうか?あるいは映画版の方でも物凄くインパクトに残るシーンだけに 一度観たら忘れられないだろう。。他にも松本清張や岩井志麻子をはじめとして数多くの 作家やルポライターがこの事件について迫っている。 筑波昭著の本作は取材した事柄や捜査資料などを淡々と書き連ねているので、物語を期待して いる人は多少物足りなさを感じると思う。ただ事件の概要を知らない人は淡々と進む筆致に 余計恐さを感じるでしょう。 第一部と第二部にわかれており、第一部は惨劇、事後、論評にわかれていて、まさに事件その もののについての視点で描かれて、第二部は犯人の都井睦雄(といむつお)の生い立ちから 犯行時の22歳までをほぼ一年ごとに分けて描いてます。微弱ながら犯行が行われた部落の写真 や都井の自宅の写真、都井自身の顔写真に凶行時の格好を再現した写真なども載ってます。 あとは殺害現場の家の見取り図などもいちいち載ってますが、まあこれは舞台が田舎なだけに どれも同じ絵みたいなもんですね。 それにしても最後何十頁かは、あまりの衝撃に読むコチラの感覚も麻痺してきますね。 彼の生い立ちを読んでいけば確かに偏執狂になる要素は多々あるが、それでもたぶん普通 の人間なら計画を立ていざ実行してみるものの2-3人も殺せば力が抜けてしまうじゃないかと 思う。だが、彼は最後の最後まで筋を通すがごとくに何の躊躇もみせず貪欲なまでに自らの 意志に従った・・・・・・。心の準備をしてからどうぞ。
内容に古さを感じるのは、事件が起きた昭和13年当時の記録や証言を多数引用しているためで、若い読者はそこに読みにくさを覚えるのかもしれないけれど、逆にそれがこの事件の舞台であり背景となった村とその時代とをリアルに想像させる。 横溝正史が『八つ墓村』のモデルにしたということとは別に、この事件は病気がちな体や不遇な家庭環境、閉鎖的な村と人間関係、あからさまな性への興味などなどが重なり、しだいに犯人の人格がむしばまれていくさまが記され、興味深い。 今で言えば、たぶん一種の人格障害とされたであろう犯人の被害妄想による犯行は、そこにいたるまでの重苦しい情熱を思わせ、舞台を現代の都会に置き換えてみるといっそう怖かったりもする。 人格がまっとうに育つことの難しさを考えさせるという意味では、近年多く出版される異常犯罪レポート本のさきがけともいえる。 ちなみに、本を読みなれている人なら、べつに読みにくくはありません。私はけっこう面白く読みました。