良い / 口コミ件数 : 11件
価格 : 620 円
自分のすむ国ではどのような殺人事件があったのか? という疑問からこの本を読みました。 海外の事件はよく知っているけどみたいな、人にはお勧めです。 証言をもとに話が進みます。 犯人の年齢ごとに物語があり途中からとまりませんでした。 犯人の風景はいろいろな物語のモデルになっており、昭和という時代の光と影を強く感じました。 閉鎖的、集落、女、家族などが複雑に絡み合っていきます。 そして人として人間としての原点がありました。 殺人というよりは悲劇という感じを感じました。 自分としては「これでも人が殺せますか?」という思いです。 殺人が簡単に起きてしまう現代こそ読むべき本だと思いました。
岡山の30人殺しの犯罪を追った本です。横溝正史の八つ墓村のモデルにもなった事件です。結核の罹患、優秀なのに、進学の断念、軍国主義の足音、夜這いなどの村の習俗、阿部定事件など、当時の世相、風俗などのついて、記録や証言にもとづいて、細かく検証しています。事件について、知るためにはとても良い本だと思います。しかし、現象の記述にとどめているので、いま一つ、動機について、すっきり迫れていないところがあります。著者は、予断なく、読書に事実を示したかったようですが、著者として、推論だけでも欲しいところです。いづれにしても、この日本犯罪史上空前の事件について、その前後の事情について、詳しく予断なく書かれている本だと思います。犯罪学に興味のある人は必読だと思います。猟銃の所持の許可の問題など、当時と今とあまり変わっていないのがわかります。
津山事件については様々なメディアで採り上げられてきたので多少知ってはいたが、その知識が実に断片的にすぎなかったことを教えてくれた。横溝正史によって後代まで広く知られつつも、そのフィクションの多大すぎる影響が故に、事件の真の態様が葬られつつある現在において、事件の全容を余す所なく伝え続ける意義深い1冊。第1部は冒頭から検事調書、被害者証言、果ては座談会の記録といった、客観的な公的資料がただ並べられているだけなので、何のことだか今ひとつ把握できず、随分読みにくいと感じる方も多いだろう。が、第2部に入り、睦雄の生い立ちを1歳ずつ陽気な時分から数えてゆき、陰鬱で凄惨な事件という形での悲劇的な破局まで付き合わされた時、客観的資料類を前置した構成が真に効果的だったのだと知る。漆黒の荒坂峠の急坂を、都井が猟銃担いで駆け上がって来る、その足音、息づかいまで感じられそうな錯覚に是非陥って欲しい。
あまりにも有名な昭和の大事件「津山三十人殺し」。犯人の都井睦雄は阿部定事件に深い関心を持っていて、「阿部定事件の上を行くすごいことをやっちゃる」と事件前親しい友人に語っていた。その結果、まさしくその通りのことをしでかしてしまった。私は岡山県の県北部の出身で、実家もこの事件の舞台である津山市加茂町行重貝尾部落とそう遠くない。読み終えた今、ものすごく後味の悪さを感じている。自分の生まれ故郷にもあったかもしれない古い因習…。吐きそうなほど気持ち悪い。この本から後世の人間は何を学ぶのか?しかし都井睦雄という特殊な人格がそこに存在したことが、この事件の主な原因だと思う。事件の動機に普遍性はなく、一人の人間がどんな理由があっても、三十人もの隣人を虐殺することなどありえない話しだ。 …いや、ありえない話しではない。まさしく「カレー事件」が現代の「三十人殺し」か…。
内容に古さを感じるのは、事件が起きた昭和13年当時の記録や証言を多数引用しているためで、若い読者はそこに読みにくさを覚えるのかもしれないけれど、逆にそれがこの事件の舞台であり背景となった村とその時代とをリアルに想像させる。 横溝正史が『八つ墓村』のモデルにしたということとは別に、この事件は病気がちな体や不遇な家庭環境、閉鎖的な村と人間関係、あからさまな性への興味などなどが重なり、しだいに犯人の人格がむしばまれていくさまが記され、興味深い。 今で言えば、たぶん一種の人格障害とされたであろう犯人の被害妄想による犯行は、そこにいたるまでの重苦しい情熱を思わせ、舞台を現代の都会に置き換えてみるといっそう怖かったりもする。 人格がまっとうに育つことの難しさを考えさせるという意味では、近年多く出版される異常犯罪レポート本のさきがけともいえる。 ちなみに、本を読みなれている人なら、べつに読みにくくはありません。私はけっこう面白く読みました。