とても良い / 口コミ件数 : 20件
価格 : 460 円
杉浦日向子は江戸を愛したひとであった。なんで江戸に生まれなかったか、と彼女のために悔やみたくなるレベルで江戸的な人物であった。 芸術系漫画雑誌のガロで漫画を描いていたのが最初のキャリアだと思うが、そして彼女の本業はあくまで漫画家であったと思っているが、NHKの番組「コメディーお江戸でござる」だかで毎回江戸についての講釈をしたりと漫画以外での活動は幅広く、この著もそのような活動の一端、内容としては江戸シロウト向けの江戸ガイド本といったところであり、江戸の風俗文章とイラストを交えて面白おかしく紹介したものである。 これが異常なまでにリアルな語り口調で語られ、彼女の書いたもの全部に言えるのだが現代にいながらにして、常時リアルタイムでの江戸の情報が流入してくることとなる。あれスピード感をすら伴う読書体験は他のどの江戸ガイド本から得る知識体験とも異なるものであり、トリップ感はサイケデリックですらあり、上質なネタを提供する杉浦日向子という人物の持つ独特な空気感覚が明らかに創作家としての一面を通して色濃く滲み出たひとつの芸術作品的意味としての真空保存パック的のそれである。 いくらベタ褒めしても足らないくらい杉浦日向子は漫画も文章もどれ読んでも面白い。急逝が惜しまれる。
軽快な”語り口”とイラストが楽しめる素敵な本です。 筆者がこの著書に限らず、江戸の人々が現代と比べても、いろいろな意味で「豊か」だったことを紹介しています。 転じて、平成の世も心持で「豊か」になれることがよく伝わってきます。 それは筆者が江戸文化に対する深い愛情によるものだと感じます。 筆者はまさに平成の世の「江戸文化の語りべ」だと思いました。
江戸時代の風俗がよくわかる本です。江戸人の価値観などもうかがい知ることができます。そのお金に執着しないところ、その日暮らしで、働くことにあくせくしないこと、人生に対する楽観的態度など、我々現代人にはない、生き方には、考えさせられるものがあります。新鮮で、自由さを感じます。また、著者によるイラストが豊富で楽しいです。昔の学習雑誌の漫画の付録みたいで楽しい雰囲気です。杉浦日向子さんの江戸びいきの味がよく出ています。
著者は、江戸にねっから惚れ込んで、そのたのしさ、面白さ、そして身近さを、どうで現代の私たちに伝えたいと念じていました。それも学問とか、ウンチクとかの垣根はとっぱらって、ふつうに、現代感覚的に、「ほらほらっ、こんなにいいんだよ!」という感じで。 この本では、そんな著者のアイデアと工夫が、イラスト(ほんらい漫画家なので、お手のもの)と簡易な文章のに、よく結実していると思います。 他にも、著者のコラム本は何冊か読みましたが、時代の流行、風俗、料理、女性のプロポーションまで、誰でも興味ある題材がちょっとずつ幕の内弁当のように揃っている点でも、これが一番うまい本だと思いました。江戸雑学に興味あるひとのみならず、誰にでも気軽に楽しめる良書だと思います。 最近は、日本の歴史、伝統などとおくめんもなく口にする人が多いようですが、現代日本人から見て一番近い「ムカシの日本」である江戸のことすら、私たちは知っているようで全然知らないのだということがわかります。そういう意味でも、誰が読んでも、楽しさのなかに認識あらたな箇所がきっとあるはずです。 それにしても、コラム本が文庫になってずいぶん最近出てるようですが、著者の真髄はやはりマンガにありです。文庫でもマンガふたたび充実して欲しいなあ。
『この次生まれて来るなら、若旦那(ばかむすこ)、そう、決めているのです。』 と書いている作者は、今ごろ大好きな江戸で希望通りフワフワしていることでしょう。急逝が惜しまれます。 江戸についての著書の中でも自筆のイラストたっぷりの本書は、まさに江戸人の入門書。 時代を超えて江戸にいる気分にさせてくれます。 「正月縁起づくし」「決定版マジナイ集」など内容は細部にわたり奥深いです。 大根料理のレシピ集もあり実際に作ってみてもいいかも。 傍らにおいて何度も読み返してみたい、そんな本です。