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秘境駅へ行こう! (小学館文庫)

秘境駅へ行こう! (小学館文庫)

良い / 口コミ件数 : 11


価格 : 500 円





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1.  とても良い canberraactさん 書き込み日: 2005年10月02日

「自然と文明の接点」としての「秘境駅」

本書は、ほとんど人の利用がなく、自然の中にある駅を「秘境駅」と名づけ、その現地訪問記が多数掲載されたものである。

本書で著者が、さまざまな興味深い訪問記によって明らかにするように、こうした秘境駅では、ほとんど手付かずといっていい自然に接することができる。さらに、著者も指摘するように、これらの「秘境駅」の多くが、当時の鉄道事情のために、信号所などの設備として設置されたものであることから、その存在が単なる「自然の中にある」というだけではなく、鉄道という近代文明の象徴のひとつと密接に結びついていることが示されている。

こうしたことから、「秘境駅」を「自然と文明の接点」として考えることが可能ではないか。すなわち、秘境駅が存在している空間そのものが、まさにアクセスが非常に困難な自然の中にあり、著者も野犬に襲われかけた経験が示すように、恐るべき「自然の力」を見せ付けている。それと同時に、こうした自然の中に鉄道という手段で比較的容易にアクセスできること、それそのものが「文明の力」とでもいうべきものであり、こうした「自然の力」と「文明の力」のぎりぎりの接点にあるのが、「秘境駅」といえるのではないか。

すなわち、秘境駅旅行は、都会では絶対に触れることのできない、むき出しの自然に接することができると同時に、それそのものが可能となり、また容易に、その都会へと戻ることを可能たらしめる文明の存在の両者を実感することができるだろう。

さらに、こうした「秘境駅訪問」それ自体が、さほど多くの資金を要せず、自然に接することが可能になることからも、量的拡大ではなく質的充実が経済活動の基本となる「質の経済」の一側面がここに表れているともいえる。事実JR東日本は、本書でも紹介されていた押角駅訪問のための「秘境駅号」という臨時列車を企画しており、このことの事例といえるのではなかろうか。



2.  とても良い ノリィさん 書き込み日: 2004年10月01日

鉄道の栄枯盛衰

北海道には無人駅が多いが、この本を読むと無人駅はまだまだ恵まれているほうだと感じてしまう。一日の乗客が数名しかいない駅や、駅の周りが私有地の駅など、まさに昔のおおらかな時代を感じさせる一冊。同時に、昔は賑わっていた地域が産業の衰退などによって寂れていく姿も、作者の思ったままに描かれている。鉄道マニアだけの本にしてしまうのはもったいない。



3.  とても良い さん 書き込み日: 2005年02月18日

日陰の存在にスポットライトが

 秘境駅という言葉すら知らなかった私でしたが,この新しい光の当て方で,これまで日陰の存在だった駅にスポットライトが当たる思いで,うれしくなりました.

 作者の文章も軽妙洒脱で読みやすく,一気に引き込まれて,気がつけば秘境駅探訪の旅の追体験ができていました.テレビ番組化されたのもうなづける名作です.



4.  良い としあきさん 書き込み日: 2002年01月08日

「秘境駅訪問」という鉄道マニアの新ジャンルかも

「こんなところになんで駅が」という秘境駅を通り過ぎることなく、
ひとつひとつ制覇してゆく・・・。時には遭難しかかったり、そん
な駅に宿泊したりする。以外なことに日本にはそんな駅がけっこう
多いようで、北から順に紹介されている。駅を旅する本は、何冊か
出ているが、それらに比較すると刺激的な体験記で面白い。ここま

でやると鉄道マニアの活動というよりアウトドア的内容が強いよう
な気がしてしまった。この本の出版によって「秘境駅」という言葉
が定着し、「秘境駅訪問」という鉄道マニアの新しいジャンルがで
きるのかもしれない。巻末にある秘境駅リストも付いていて、値段
もお手ごろなので列車旅のお供にもどうぞ。



5.  良い nekorisuさん 書き込み日: 2002年02月08日

駅のホームが特別だった頃

子供の頃、駅のホームは特別な場所でした。
そこは自分が知り得る世界の最端で、線路の先に広がっているだろう未知の
世界は、まるで容易なものではなかったし、駅は常に何かと決別しなくては
ならない、儀式めいた場所でもありました。

やがて自分自身がそんな駅から外へと追い立てられ、違う世界を自分の拠点

にし始めてからは、駅はすっかり特別なものではなくなり、単なる交通手段
の一部になり果てました。猥雑な日常のそこかしこに立つフラグの一部でし
かなくなってしまったのです。

もし、もう一度あの時の感覚で、あの駅のホームに戻れるのだとしても、自
分はもはや来訪者でしかなく、降り立ったその時から立ち去る事を覚悟しな

くてはならないのだと思います。しかも、あの時の駅も風景も、この世にも
はや存在しません。戻る事は出来ないのです。

この「秘境駅へ行こう!」は、そんな失ってしまった「駅」というものを、
自分の中に再び思い出させてくれる一冊でした。そして、、、

駅を離れて行く列車を見送りながら、この世にただひとり取り残されてしま

ったような絶望感を味わう・・・・・・私達の日常からは本当の「旅」すら消失し、
既に見知っている情報を辿るだけの「観光」がそれに取って代わって久しい
ですが、この一冊はそんな失ってしまった「旅」さえ感じさせてくれる、特
別な本だと私は思います。



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