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のぼうの城

のぼうの城

良い / 口コミ件数 : 61


価格 : 1,575 円





クチコミReview一覧
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1.  とても良い 今日は帰らないっすよさん 書き込み日: 2008年02月20日

信じるものに命を懸ける・・・。ドキドキそして最高に気持ちいい。

この本、面白いですよ〜!!!

『時は乱世。
天下統一を目指す秀吉の軍勢が
唯一、落とせない城があった。
武州・忍城。
周囲を湖で囲まれ、
【浮城】と呼ばれていた。
総大将・成田長親は、
領民から【のぼう様】と呼ばれ、
泰然としている男。
智も仁も勇もないが、
しかし、誰も及ばぬ
【人気】があった・・・。』

潔いと思うモノに、信じるモノに人生をかける男達(女性も)の話です。

大群に包囲され、降伏を迫る、態度の尊大な使者を前に、開城やむなしの空気が蔓延する場内で、【でくのぼう】から取った【のぼう様】と領民に呼ばれるの成田長親が初めて吠えます。


『強き者が強きを呼んで果てしなく強さを増していく一方で、弱き者は際限なく虐げられ、踏みつけにされ、一片の誇りを持つことさえも許されない。
小才のきく者だけがくるくると回る頭でうまく立ち回り、人がましい顔で幅をきかす。ならば無能で、人が良く、愚直なだけが取り柄の者は、踏み台となったまま死ねと言うのか!!』

この言葉で、少人数立てこもる忍城は、豊臣秀吉の大群相手に、歴史に残る一戦をしかけます。

最後まで一気に読んでしまいました。
スケールの大きい話ですが、やりすぎるコト無く、最後は爽やかささえ感じます。
時代物と言うよりは、「人間モノ」(!?)。
今だからこそ大事にしたい。
僕の嗜好にもピッタリ。
こんな大人になりたいな、こんな生き方したいな、と。

ドキドキしながら読めて、読み終えてからも気持ちいい。
皆さんに強く強くオススメです。






2.  とても良い 荒さん 書き込み日: 2008年07月15日

行田市出身者としては誠にありがたく

忍城のあった埼玉県行田市は、これという特徴のない田舎です。関東平野の真ん中で、市内の標高差はせいぜい2m、国内最高気温を記録した熊谷市とは隣りになります。ここで生まれ育った私にとって、郷土の自慢は次の3つくらいでした。

1.古墳時代から人が住んでおり、稲荷山古墳から出土した鉄剣は日本最古である。
 小説に出てくる「丸墓山」は、私が子供のころは「円墳で日本最大」との触れ込みでしたが、その後「前方後円墳の一部」というのが定説になったと思います。古墳群のある埼玉は埼玉県の名前の由来になりましたが、「さいたま」ではなくて「さきたま」なのです。どうして「ださいたま」になってしまったのか。

2.城下町であり、忍城は秀吉の水攻めにも落ちなかった。
 ですから「水攻め」という言葉は昔から知っていましたが、歴史をちゃんと調べたことはありませんでした。

3.明治時代、足袋の生産で日本一だった。
 「足袋御殿」と呼ばれる家屋はなくなりましたが、料理屋として一部残っていたりします。

本書は私にとって最も知らない2の物語であり、よくぞ注目してくれたと、出身者としてはそれだけでありがたい本です。まったく書評になっていなくて失礼しました。



3.  とても良い わかさん 書き込み日: 2007年12月11日

魅力的な戦い方

(私は歴史小説はあまり読まない…が、オノナツメさんのジャケットで買いました)…が!戦国時代の部将達の息吹にものすごく引き込まれます!もともと時代小説に縁のない方も戦国時代が大好きな方もいずれも楽しめるエンターテイメント小説です。

まず長親という一見でくのぼうという主人公のうちのうちに秘められたものが戦いの中で奇妙にじわじわ出てくる感じ、そして三成のキマジメな戦いへの美学、秀吉の素っ頓狂な描写それらを囲む戦国時代の部将の各々が効果的に描かれています。
細かな資料による裏付けもそこかしこに書かれてあってディープな歴史好きにもたまらないんじゃないかと思います。

とにかく現代においても戦国時代においても部将の器について思いを馳せたい方は読む価値ありです。



4.  とても良い パルティータさん 書き込み日: 2008年06月18日

新しい器に古い酒

”漫画”のような、とこの作品を評する方がいらっしゃるが、まさにその通り。漫画世代に影響を受けた次世代の歴史小説であろう。司馬遼太郎や、宮城谷昌光のようなものこそ、歴史小説と考える方には、チト受けいれられ難いかもしれない。私は、むしろ歴史小説でこのスタイルをとったことを高く評価している。史実に基づいてないという反論もあるようだが、これは小説です。過去に起こった本当の史実など、誰にも分からぬ中、”史実”を求めるのなら、歴史の学術論文を読まれるとよいでしょう。

物語の展開こそ、ハリウッド映画ばりのテンポで読者を飽きさせず読ませるスタイルだが、訴えたいことは実に、いい意味でオーセンティックで真摯。「強いものが弱いものをなぶるのが道理として通る世の中は許せない」今の社会で痛切に響くテーマだからこそ、売れたのだと思う。テンポの良さだけであったら、同じようなものはいくらでもあろう。凡百のものと比して、当書が際立っているのは、筆者の強い思いがあるからではなかろうか。

閑話休題。実は、この本の主人公はのぼう様ではないのでは、とも思っています。脇役として描かれている正木丹波こそが真の主人公ではないかと。のぼう様が、ある種、神格化された人物として描かれている中、等身大の悩める人間像として非常に魅力のあるキャラクターとして光っているとも思います。

次作が楽しみです。



5.  とても良い MAISELS WEISSEさん 書き込み日: 2008年04月25日

関東VS上方の文化戦争

テレビで紹介されたという帯で、ミーハー嫌いの私としては食わず嫌いに終わった可能性も
あったのだが。
たまたま、先日、箱根の山中城跡を訪れたところ、関西の城が石造りであるのに対して、
関東の城、特に北条家の城は天然の地形をそのまま生かして、黒沢明の「七人の侍」の
砦のように、堀を泥だらけにして、泥にはまった外敵を弓や鉄砲で攻める戦法を取っていた
ことに興味を持った。個人的には、そこにドラマの可能性を感じていたのだが、カモネギの
ように出現したのが本書である。
日本の西半分を制覇した豊臣秀吉は物量で上述の山中城を軽々と突破し、石垣造りの一夜城に
入城すると関東最大の小田原城の包囲を進める。そこで、秀吉は能吏だが軍事に滅法弱い
石田三成、長束正家、に大谷刑部をつけて、小城にすぎない忍城の攻略を任せる。
忍城を守るは対照的に古い関東武士の気風をまとった個性豊かな成田家の武将たち。彼らを
束ねるのは、三成と対照的な愚か者の「のぼう様」。普段は冷静な能吏ではあるが秀吉への
憧れと武力へのコンプレックスが人一倍強く、思いもしない大軍を任され理性を失ってしま
った三成は、関東平野のド真ん中で秀吉得意の壮大な水攻めを決行してしまう。(*)
とにかく、脚本が先行しているだけあって、上方軍と関東軍のカルチャーの対立構図を演劇
的なドラマトゥルギーに則って処理していく手際の良さに乗せられて、両方の陣営に肩入れ
しながら(個人的には関ヶ原では三成ファンだったのだが)、どんどん読み進んでいってし
まう。全盛期の黒沢映画をほうふつとさせる面白さだ。
(*)本来水攻めは中国地方のような山がちの城で行うものだ。しかも敵は城の周りの水田に
水を引き込んで泥沼作戦を決行中である。なお、同様の素材を扱った先著として風野真知雄「水の城 いまだ落城せず」を挙げておく。



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