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ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

とても良い / 口コミ件数 : 7


価格 : 720 円





クチコミReview一覧
評価の高い順 評価の低い順 書き込み日の新しい順
口コミ件数:7 1 2 次ページ
1.  とても良い サボサボさん 書き込み日: 2004年06月12日

読みやすい、おすすめ

他の訳では何度と無く途中で投げ出して完読していなかったが、池内訳は読みやすかった。
読みやすさの理由は訳者の以下の考え方による。

「韻律が乏しく、まるきり別の構造をもった日本語にあって、詩句を踏襲しても、はたしてどのような再現ができるだろう。詩句をなぞるかわりに、ゲーテが詩体を通して伝えようとしたことを、より柔軟な散文でとらえることはできないか。いまの私たちの日本語で受けとめてみてはどうだろう」

さらに訳者の解説が楽しみを倍増させる。『ファウスト』をゲーテが20代半ばから82歳にかけて書き上げた背景やその間の変遷についての解説、ゲーテと同じ頃にフランクフルトに生まれたロスチャイルド(マイヤー・アムシェル)との対比も面白い。



2.  とても良い ちょろさん 書き込み日: 2005年06月30日

新たなファウストの誕生

 あらすじはご存知、ファウストとメフィストの賭けの顛末であるが、訳と注によって、これほど読後感の違う作品に初めて出会った。
 例えば、第一部ではファウストが悪魔に魂を売ってでも究めたかったこと、この重要な部分で訳語から受ける印象が違う。つまり、ファウストの性格設定が違ってくる。

 また、順序が前後するが、冒頭の「捧げる言葉」は瑞々しい口語体で心に響く。「あるのは思い出そうとする意思だけだ。」という、アメリカ人人気作家の手に成る連作の切ない一節が浮かぶ。豊饒かつ長大なことで名高い作品で、フランス人作家が生涯かけて「求め」たのも、そうした「時」である。
 ゲーテがこの部分を書いた時、彼は既に五十路に近い。なぜ過去は輝くのか。まだ、私にはわからない。しかし、その輝きが第一部のテーマであるように思われた。

 明快でリズミカルな池内訳は特に年少の読者におすすめしたい。一方、『ファウスト』は一生に何度も楽しめる作品として、つとに知られる。先行する鴎外、相良、高橋各訳で読まれた方には、池内訳の結ぶ新たなファウスト像を、頭の体操を兼ねて楽しんで頂きたい。



3.  とても良い t-grandmaさん 書き込み日: 2006年02月19日

積ん読だったけど、読み終わった。読んでみるべきです。

 “ファウスト”積ん読の一冊だったのに、読んでしまった。
池内訳の散文は一気に読めたし、山本容子の銅版画のイラストもぴったりだと思った。
 前半は、戯曲という形式と、神や悪魔などを受け入れるのにちょっと戸惑ったが、霊液で若返り、マルガレーテにいいより思いを遂げるファウスト。そのためにマルガレーテは、ファウストに兄を殺害され、母は死に、妊娠。産まれた赤子を殺し、獄に繋がれる。彼女に救いはあるのだろうか。最後の場面には、感動した。
 読むきっかけとなったのは、北村薫「スキップ」のなかに「時よ、とまれ、おまえは美しい」の「ファウスト」の詩句を読んだことにある。
 古典とは、さまざまなものに影響を与えているのだ。人間は何時の時代も変わらない。読み返すほどに奥が深いと思う。
 



4.  とても良い くまさん 書き込み日: 2004年07月28日

さわりだけ紹介いたしまする

本来全編にわたり詩編からなる『ファウスト』ではあるが、日本語で韻律を再現する事は難しい。ならば「詩句をなぞる代わりに、ゲーテが詩体を通じてて伝えようとしたことを、より柔軟な散文でとらえることはできないか。今の私たちの日本語で受けとめてみてはどうだろう。」という事で生まれた新訳。確かに読みやすい。しかも、私には旧訳よりも物語の構造が非常によく分かる。

韻律等の約束事を気にせず、ストレートに言葉の持つ主張、比喩あるいは諧謔が伝わってくるために、読んでいて楽しい。「開幕前」の座付き作家、座長、道化の3者会話はまるで現代の映画プロデューサー、監督、コメディアン俳優の会話そのもの。あるいは三人問答によって明かにされる映画製作の問題点だ。いずれにせよ、古典を読めばいろんな発見がある。

その次ぎの「天上の序曲」。主と三大天使とメフィストとの会話。今回主(神?)の度量の広さというか、ずいぶんといたずら好きな部分に気が付いた。だって悪魔にファウストの堕落をけしかけたのは実は主であったとしか思えないのだもの。

さて、ファウスト博士の独白から物語は始まる。私ずっと勘違いしていました。ファウスト氏は当時の知識人の代表だと思っていました。だって主があんなに目を掛けているのだから。でもどうやらゲーテ以前に知られていたファウスト伝説では錬金術師だったみたいですね。いわばマッドサイエンティストに近い人みたいです。

おっと、もう字数が一杯。まだ本文に至っていないのに。皆さんはまずはこの分かりやすい新訳を読んでもやってくださいね。お楽しみはこれから。人間の本性というやつは…。私は第二部に取り掛かるとしよう。



5.  とても良い 051089さん 書き込み日: 2005年01月31日

本を読む歓び

旧来までの訳は難解とのことですが、この池内訳は読みやすいく、お正月休みに一気に読みました。山本容子さんの挿し絵もステキ。
読書の歓びをたっぷりと堪能させてくれました。来年のお正月休みにでももう一度読みたい。
また私はこれを機会に原文の韻文に忠実な旧訳も読んでみようと考えてます。



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