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ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

ファウスト〈第1部〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

とても良い / 口コミ件数 : 6


価格 : 720 円





クチコミReview一覧
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口コミ件数:6 1 2 次ページ
1.  とても良い ちょろさん 書き込み日: 2005年06月30日

新たなファウストの誕生

 あらすじはご存知、ファウストとメフィストの賭けの顛末であるが、訳と注によって、これほど読後感の違う作品に初めて出会った。
 例えば、第一部ではファウストが悪魔に魂を売ってでも究めたかったこと、この重要な部分で訳語から受ける印象が違う。つまり、ファウストの性格設定が違ってくる。

 また、順序が前後するが、冒頭の「捧げる言葉」は瑞々しい口語体で心に響く。「あるのは思い出そうとする意思だけだ。」という、アメリカ人人気作家の手に成る連作の切ない一節が浮かぶ。豊饒かつ長大なことで名高い作品で、フランス人作家が生涯かけて「求め」たのも、そうした「時」である。
 ゲーテがこの部分を書いた時、彼は既に五十路に近い。なぜ過去は輝くのか。まだ、私にはわからない。しかし、その輝きが第一部のテーマであるように思われた。

 明快でリズミカルな池内訳は特に年少の読者におすすめしたい。一方、『ファウスト』は一生に何度も楽しめる作品として、つとに知られる。先行する鴎外、相良、高橋各訳で読まれた方には、池内訳の結ぶ新たなファウスト像を、頭の体操を兼ねて楽しんで頂きたい。



2.  とても良い t-grandmaさん 書き込み日: 2006年02月19日

積ん読だったけど、読み終わった。読んでみるべきです。

 “ファウスト”積ん読の一冊だったのに、読んでしまった。
池内訳の散文は一気に読めたし、山本容子の銅版画のイラストもぴったりだと思った。
 前半は、戯曲という形式と、神や悪魔などを受け入れるのにちょっと戸惑ったが、霊液で若返り、マルガレーテにいいより思いを遂げるファウスト。そのためにマルガレーテは、ファウストに兄を殺害され、母は死に、妊娠。産まれた赤子を殺し、獄に繋がれる。彼女に救いはあるのだろうか。最後の場面には、感動した。
 読むきっかけとなったのは、北村薫「スキップ」のなかに「時よ、とまれ、おまえは美しい」の「ファウスト」の詩句を読んだことにある。
 古典とは、さまざまなものに影響を与えているのだ。人間は何時の時代も変わらない。読み返すほどに奥が深いと思う。
 



3.  とても良い くまさん 書き込み日: 2004年07月28日

さわりだけ紹介いたしまする

本来全編にわたり詩編からなる『ファウスト』ではあるが、日本語で韻律を再現する事は難しい。ならば「詩句をなぞる代わりに、ゲーテが詩体を通じてて伝えようとしたことを、より柔軟な散文でとらえることはできないか。今の私たちの日本語で受けとめてみてはどうだろう。」という事で生まれた新訳。確かに読みやすい。しかも、私には旧訳よりも物語の構造が非常によく分かる。

韻律等の約束事を気にせず、ストレートに言葉の持つ主張、比喩あるいは諧謔が伝わってくるために、読んでいて楽しい。「開幕前」の座付き作家、座長、道化の3者会話はまるで現代の映画プロデューサー、監督、コメディアン俳優の会話そのもの。あるいは三人問答によって明かにされる映画製作の問題点だ。いずれにせよ、古典を読めばいろんな発見がある。

その次ぎの「天上の序曲」。主と三大天使とメフィストとの会話。今回主(神?)の度量の広さというか、ずいぶんといたずら好きな部分に気が付いた。だって悪魔にファウストの堕落をけしかけたのは実は主であったとしか思えないのだもの。

さて、ファウスト博士の独白から物語は始まる。私ずっと勘違いしていました。ファウスト氏は当時の知識人の代表だと思っていました。だって主があんなに目を掛けているのだから。でもどうやらゲーテ以前に知られていたファウスト伝説では錬金術師だったみたいですね。いわばマッドサイエンティストに近い人みたいです。

おっと、もう字数が一杯。まだ本文に至っていないのに。皆さんはまずはこの分かりやすい新訳を読んでもやってくださいね。お楽しみはこれから。人間の本性というやつは…。私は第二部に取り掛かるとしよう。



4.  とても良い 051089さん 書き込み日: 2005年01月31日

本を読む歓び

旧来までの訳は難解とのことですが、この池内訳は読みやすいく、お正月休みに一気に読みました。山本容子さんの挿し絵もステキ。
読書の歓びをたっぷりと堪能させてくれました。来年のお正月休みにでももう一度読みたい。
また私はこれを機会に原文の韻文に忠実な旧訳も読んでみようと考えてます。



5.  良い PK_PKさん 書き込み日: 2007年12月28日

読みやすさ抜群、だがもう一歩奥を!

鴎外の名訳があるというので、高校生時代にファウストに初挑戦したが、なにが面白いのかわからなかった。先生に話すと、受験とは関係ないなと言われた。大学生時代だったかに相良訳のファウストが岩波文庫で出たというので読んだ。内容を掘り下げるのに苦労した。自分でも読み方が不十分と思ったし、ゲーテに対する一般的評価とは違いすぎるなと思った。その後、中央公論から手塚訳(手塚富雄訳のことで、池内訳2巻の末尾に出ている手塚治虫の漫画とは別物)が出た。これは面白かった。たしかにファウストは(そういわれるからかもしれないが)、特に第2部が奥が深いなと思った。そして、別の契機から「新訳」というのに興味がわいて、池内訳を読んだ。今までのものとの違いに驚いた。わかりやすさは格段上だ。ただし、この訳を最初に読んだとすると、ゲーテの深みが出ない感じもする。一語一語を理解するのに考えながら読んだ過去のファウストに比較すると、池内訳は「斜め読み」さえ可能である。これは、過去とは違って、時間にゆとりも出来て、ゲーテの「イタリア紀行」を携えながらナポリからパレルモへ船で渡ったり、ヴェネチアを楽しんだり、ギリシャ神話の母国やトロイ遺跡へ行ったりした後で読んだから、よけいにわかりやすかったのかもしれない。ちなみに、シチリア島のパレルモを歩くと、ゲーテの時代を感じることが出来るから面白いものだ。この池内訳は、活字離れの進む今の若者にはいいだろう。ファウストの粗筋を知って、手塚訳か相良訳に挑戦してもらうとよけいにいいと思う。特に、全てを「金銭」で判断したり、片づけようとしている今の日本の社会を見ると、多くの人(若者も高級官僚も政治家も)にファウストを読んで、考えて欲しい(特に第2部)。なお、池内訳では解説が素晴らしい。挿絵は断然、文庫ではない手塚訳のものだ。★4の理由は、新しさ(読みやすさ)と豊富な内容の解説への高い評価に、これだけではゲーテを理解するには不十分であることと挿絵のまずさのマイナス点を加えたものである。



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