とても良い / 口コミ件数 : 44件
価格 : 820 円
特定の主人公を置くわけではなく、アメリカのハゲタカファンドの日本人社長と、経営破綻したスーパーを再建するために友人に請われて邦銀からスピンアウトしたスーパーの社長と、これも経営に行き詰まっているホテルを建て直そうとしている女社長の三者の生き様をそれぞれ描く独特のスタイル。三者とも金融問題に直面している、そして日本に対する高い愛国心を持っているという共通点があり、同時並行でそれぞれのストーリーが進んでいく中で、相互に影響し合う。バブル前後の日本経済の状況を忠実に描写し、また、実在の企業をモデルにしているので、ノンフィクション性の高いフィクションであると言える。バブル期の金融機関の経営やコンプライアンスがどれほど緩んでいたのか、バブル後の金融機関の貸しはがし、貸し渋りでどれだけ地方の中小企業が影響を被ったのかなどといったことについて、アウトサイダーとしてはこれまで実感が湧かなかったのだが、本書を読むと、そのあたりがかなり生々しく描写されており、知的好奇心が刺激されてついつい引き込まれてしまう。かなりの長編小説であるが、中だるみもなく、興味深く読ませてもらった。
NHKのドラマを見て原作を購入…そしてただただ驚いた。全然原作と違う…。 良くこれで原作者がドラマ化許したなぁと…。 では、原作がドラマから劣っていたかというと、そんなことはなく、むしろ ドラマ版鷲津が引きずっている妙な暗さがなく、小気味よくストーリーが 展開していく様は圧巻。そして経済小説らしく、裏舞台を丁寧に描いていく様 は経済ニュースの裏舞台を覗いているようで非常に面白い。 上巻は三葉銀行(旧三和銀行?)のバルクセールを軸に、鷲津vs芝野の第一ラウンド や日光・ミカドホテルの話など、下巻そしてバイアウトへと続いていく伏線にも なっていてどんどん続きが読みたくなっていく。 私のようにドラマから入ったファンも、全くの別物として楽しめる一作である。
本書を原作に、NHKが作った同名のドラマが 面白かったので、読んでみました。 ドラマに比べて登場人物のキャラクターが立ちすぎていたり、 ストーリーも劇的な展開が多く、リアリティに欠けるのですが、 小説としてはこの方が読み進めやすくてよいです。 上下巻とも、一気に読めました。
新聞の内容を脚色しつなぎ合わせ、著者の経験と想像力を混ぜ合わせた、 いかにも元新聞記者が書いた小説、という感じ。 でも、だから現実とリンクしているように見えておもしろいし、 好奇心を刺激される。 でも、登場人物は紋切り型だなあ。 億単位の金を動かして債権を買ったり会社を買ったり。 そういった世界を私たちはよく知りません。 正確にいえば、知ろうと思えば知ることは出来ますが、 それにはそれなりの時間とコストを支払わなければなりません。 たとえば新聞各紙をよ〜く読み込んだり参考資料にあたったり。 でも普通の人はそんな面倒くさいことしない。 だから、みんな出来ればより安価なコストでそういう世界を知りたい、 もっと言えば、誰か教えて、って思ってるわけです。 外資だ「ハゲタカ」だっていうけど、結局何なの? 彼らは何をやってるの?どうやって儲けてるの? 彼らの目的は何なの? そういった期待にいかに応えるか。 本書が目指しているのはそこです。 そして本書は実に適格にそれに応えている。 それはまさに元新聞記者の嗅覚のなせる業と言えるでしょう。 でも、それ以上の期待はしちゃいけません。 私たちの知らない世界を、私たちの興味に応える形で、 実に分かりやすくおもしろく書いている。それだけです。
バブル崩壊後の日本社会で、次々と潰れていく企業。そしてそれに伴い増えていく不良債権。護送船団方式で保護されてきた日本の金融機関はその増え続ける不良資産を金に換える術を持たない。しかたなく二束三文で外資系金融機関に売りつけるのだが、そこはまさにハゲタカが死肉を漁る修羅場と化している。結局、それを金のなる木に変える数少ない錬金術を持つのが主人公の一人である鷲津が率いる外資系プライベートエクイティーファンドなのである。邦銀から買い取った債権を使って、安閑としていた放漫経営の企業を建て直し、あるいはばら売りし、邦銀では出来ないようなリターンを上げる。今でもしがらみの中に生きる邦銀ではどこまでやれるか分からない。 バブル崩壊後のこの10年余りの間にこの日本という国を舞台に起きた経済闘争を、小説を通じて如実にあらわしている傑作である。限りなく真実に近いと思われる筆者のプロットは非常に面白く、エキサイティングであると同時に金融関係者や企業経営者などの専門家の世界で起きている事象を分かり易く伝えてくれている。