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悪意 (講談社文庫)

悪意 (講談社文庫)

良い / 口コミ件数 : 96


価格 : 660 円





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1.  とても良い tn581jpさん 書き込み日: 2008年04月06日

悪意の意味

 一人称の形で物語は進行する。ある作家が殺される。犯人は案外あっさりと分かる。しかし、その犯人はなぜか動機を語ろうとはしない。次々と動機に関係ありそうな事柄が浮かび上がってくるが、決め手となるものはない。謎はますます深まってゆく。そして、犯人自身によって真相が語られる。それは込み入っており、われわれ読者が想像できる範疇を超えている。作家というもののエゴを感じずにはいられない。しかし、犯人が動機を語らなかったのは、愛する人を守るためだった。そこからは、人間の本質が見えてくる。悪意というタイトルがついているが、事件の真相からは犯人の悪意は見えてこない。むしろ、自分ではどうしようもない感情に流される人間の弱さ、哀しさ…そういったものが浮かび上がってくる。このストーリーは決して特別なものではなく、われわれがともすれば陥りかねないわなを描き出している。どこにでもある、私たちみんなが持っている悪意。それが時には、殺人事件を引き起こすこともあるのだ。私たちは、彼ら(殺人犯)を特別な人間と考えるのではなく、同じ人間としてとらえるべきであろう。
 …と思っていたら、最後に大どんでん返しが待ち受けていた。これまでの出来事がすべて覆されてしまうほどの。さすが東野圭吾、と思わせる作品である。ミステリー好きを満足させるに足る好著。
 悪意―。このタイトルの持つ本当の意味を知ったとき、読者は人間の不可思議さ、その心理の微妙さに思いを致さずにはいられないだろう。人間の持つ業が見事に表現されている小説である。



2.  とても良い rag-masaさん 書き込み日: 2008年10月19日

加賀恭一郎シリーズ

東野圭吾の大得意であるミスリードを最大限に生かした作品かと思います。
最初から最後まで騙され続けました。
まさかこんな所で著者の術中にハマっていたのか!!?という感じです。

発端の殺人事件は割とあっけなく解決してしまうのですが、それこそがこの物語の序章だったとは終盤に入ってやっと分かりました。
その捕まった犯人が決して語らない「殺人の動機」。

この作品は、
人が殺人を犯す動機はなんなのか?
この事に焦点を当てて加賀刑事が推理していく事で進んでいきます。

あらすじの説明をもう少ししたいと思ったのですが・・・難しいですね。特にこの作品は。
とにかく、東野圭吾の読者の意表をつく作風が好きな人は読んでみましょう!!
とんでもない結末に驚くことかと思います。



3.  とても良い ごまふあざらしさん 書き込み日: 2005年12月16日

ミスリードが巧み。見事にやられました。

いきなり捕まる犯人。彼の書いた手記により明らかになる動機に成程と納得。
が、甘いのです。読者を一旦納得させておいてから見事にそれを裏切る東野氏の十八番が待ち構えていました。
東野作品なので多少のミスリードはある程度は覚悟していましたがこの作品は特に手が込んでいます。
2転3転していくアクロバティックな話の展開に完全にしてやられました。
正直少なすぎですが星5つ!



4.  とても良い ほのさん 書き込み日: 2008年03月19日

後味は悪いですが

全く救いがない。でもここまで畳み掛けられると違った意味で気持ちいい。悪意の本当の意味は最後にわかります。途中、勘違いして読んでた自分に気が付いた時に、さすが!と、うならされました。かなりのボリュームで内容もHeavyですが、飽きさせずに引き込まさせられ、あっという間に読めました。



5.  とても良い TKMTさん 書き込み日: 2008年06月07日

犯行動機を徹底的に解明する加賀恭一郎の執念―そこまで追い詰める動機とは何か?

 著者によれば、デビュー作第2弾である『卒業』で初登場させた加賀恭一郎をシリーズ化する予定は全くなかったそうである。現時点で彼が刑事として腕を振るう作品は全7冊。本書はそれらのなかでも「異色」であり、目次を眺めれば一目瞭然だが、「手記」・「記録」・「独白」・「回想」そして「解明」といった表現が列挙され、それゆえ本書は、野々口修と加賀恭一郎との時間を通じて展開される「対談形式」の様相を呈している。「記録」や「手記」のなかに隠された犯行の真の「動機」を探り出すホワイダニットの決定版とでもいうべき作品だ(著者いわく当初は全く売れなかったそうだ)。

 読者によっては、「犯人当て」や「犯行手段」に比重を置いた作品を好む人も多いだろうが、動機の真相を暴きだすことは、それらよりも困難をきわめる作業ではないかと推察される。実際のところ、加賀は「過去の章その二」で、犯罪者の交友・家族関係を丹念に調査することで、最終的に「真相の解明」なるものに到達しえた。それは当初の目的実現にとって必要不可欠な任務であった。そのような意味でも、本書『悪意』は、加賀恭一郎の刑事としての慧眼・手腕そして執念(バイタリティ)のすべてを盛り込んだ最高傑作と称しても過言ではないだろう。なお本書の構成は、横山秀夫氏の有名な『半落ち』と似通っている印象を抱いた。

 最終章「真実の章」では、加賀が「記録」や「手記」に隠された疑問や矛盾を、犯罪者の過去の交友関係に関する綿密な調査を踏まえながら、論理的に解き明かしてゆく、まさに「詰め将棋」の世界であり、ある種の「駆け引き」すら感じさせる。読者は加賀の静かな語り口に黙って耳を傾ける。醍醐味は十分に秘めている。人間に潜在的に潜む悪意(の根源)に真っ向から立ち向かうその徹底さぶりを、さりげなく披露する加賀の姿勢にこそ私は震撼した。加賀恭一郎は人間さを増しつつ「進化」するのだ。



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