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日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ)

日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ)

とても良い / 口コミ件数 : 11


価格 : 1,680 円





クチコミReview一覧
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口コミ件数:11 1 2 3 次ページ
1.  とても良い 砂漠のデバネズミさん 書き込み日: 2007年07月19日

名前負けしない奥の深い本

 インテリジェンスについて、基本的な説明を加えながら、実例を元に結論を導き出すと言う方法を取っております。
 著者も後書きで、資料が少なくて思うように仕事が進まないとぼやいて、先輩に叱られるエピソードがありましたが、本書では、英米の外交暗号の入手や、ソ連における地道な情報収集活動、情報担当将校の立場など、それまでなかなか知ることができない事を知ることができ、著者の本作への力の入れようには脱帽します。
 この時代に興味がある人や、情報活動に関心がある方は是非読んでおいても良い本と言えるでしょう。



2.  とても良い Cogitoergosumさん 書き込み日: 2007年04月22日

歴史に学ぶ姿勢

タイトル通り、本書は日本軍のインテリジェンスについて、これまで知られていなかった日本軍の情報活動について詳細に調べ上げ、その問題点を指摘していますが、本書で一番読み応えがあるのは最後の章でしょう。筆者は、現在の日本のインテリジェンスの本質が戦前とほとんど変わっていないことを指摘し、その本質を変えない限り、現在の日本のインテリジェンスが絶望的であることを述べています。読みやすく、明快な内容でした。



3.  とても良い solaris1さん 書き込み日: 2008年05月04日

「歴史学とは現在に生かしてこそ意味がある」、まさにその通りの書籍

他の評では言及されていないが、日本軍が情報を有効活用し善戦した事例があるといっても、それは戦術面に限られていた点に問題があった、と著者は指摘している。第1次大戦で戦争は、「幾つかの戦闘で勝利->有利な講和」という(明治開国当時日本が参考にした当時のドイツがよく利用した)手法から総力戦に移行したが、参戦しなかった日本は、総力戦にあわせた変更ができなかった。この為、マレー・シンガポール作戦や真珠湾という「戦術」では勝利したが、国家レベルで戦略の検討ができなかった為、「真珠湾が成功すれば米国に厭世気分が広がり講和できるだろう」(山本長官)と主観的希望を戦略と履き違えてしまったことにある。衝撃的だったのは、内閣府の総力戦研究所で、1941年夏に軍と若手官僚が行った図上演習で、「開戦から2年程度は戦えるが、4年後には国力を使い果たし、最後にはソ連の日ソ中立条約破棄による満州侵入で日本は敗北する」との結論を出していたことである。この結論を、東条は「机上と実践は違う」とここでも主観的希望を述べて一蹴。

 また内閣・陸軍・海軍・公安などがそれぞれ情報機関を持った結果のセクショナリズムも問題ではあるが、それ以上に問題なのは、「コンセンサスを得ること」が優先され、その為に有利な情報が取捨選択されていく、という、現在の日本社会にも蔓延する風土であろう。あなたの職場でも目にしませんか?

 昨今の政治の迷走振りを見ていると、重要な政策議題も末節的な反対論議に時間を費やした挙句、葬られるか骨抜きにされていく。多少データを使う政治家も出てきているが、本書にある通り、政策ありきで利用されているだけの趣が強い。既に衆遇政治の段階に入っている様に思えるが、多極化が進み情報が飽和する世界の中、インテリジェンスに基づく判断は国家でも個人でも必須化しつつあると思えます。



4.  とても良い 革命人士さん 書き込み日: 2007年04月26日

現代的視点から評価した日本軍の「情報感度」

現代的視点から日本軍の情報調査分析能力を冷静に評価した。日本軍の個々の情報工作や関係者の伝記は山ほど残されているが、インテリジェンス活動を総括し現代的評価を下した本はいまだない。全体として「情報軽視」が敗戦の一因になったという捕らえられ方が一般的になっている。著者はここで、陸軍に関しては世界最高クラスのソ連と情報戦をして、それなりの成果を挙げ、米英に関しては、最高度の暗号解読にも成功し、国民党に関しては暗号解読し放題で、戦果を次々挙げたとしている。一方だめだったのは海軍で、暗号は米英にだだ漏れ状態。米軍艦への戦果調査もずさんで、天皇に「今度でサラトガの撃沈は4度目ではないか」とたしなめられている。

本書が面白くたらしめているのは、日本軍のインテリジェンス活動を初めて現代的視点から振り返っただけではない。1次資料から起こしたソ連との緊迫した情報のやり取りを読んでいるととこちらも胸かき立てられるものがある、。お互い全体主義で、自由に国内を歩くことなど夢のまた夢。厳重な防諜網をかいくぐり、資料を入手したり、まさに命を張っていた。

日本の敗戦は結局、都合のいい生情報を選んだために緒戦はうまくいったが、結局負けてしまったということらしい。著者は現代日本への教訓として情報部の地位の向上などを挙げている。結語もここまで一連の文を読んでくると、非常に納得のいくものだと思う。



5.  とても良い ホーシさん 書き込み日: 2007年04月17日

情報軽視は日本人の宿痾なのか?

昨今の自衛隊の情報流出や上海領事館員の自殺事件など、日本でもインテリジェンスに関する議論が高まっているが、これらの問題は防諜体制を確立し、対外情報部を作れば解決するというほど単純なものではない。筆者は戦前の日本には対外情報、防諜組織が整っていながら、それらが機能しなかった事例を見事に描き出しているのである。戦前日本のインテリジェンスに関しては、日本が米英などの暗号通信を解読していた事実など、初耳の事も多く興味深いが、やはり本書の白眉は7章と終章、戦前の事例から日本のインテリジェンスの本質を抽出し、それが今も変わらないままであることを指摘していることではないだろうか。本書を読めば、現在の日本のインテリジェンスの抱えている問題が、非常に深刻であることが伝わってくる。



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