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昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)

昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)

とても良い / 口コミ件数 : 7


価格 : 987 円





クチコミReview一覧
評価の高い順 評価の低い順 書き込み日の新しい順
口コミ件数:7 1 2 次ページ
1.  とても良い ロビンフッドさん 書き込み日: 2002年12月30日

怖い本

わかりやすく書いてあるので簡単に読めてしまうが、内容は深く、恐ろしい。ユング心理学でグリム童話を読み解いているがそれが単なる分析ではなく人間の本質を抉り出すものだからだ。童話はもちろん人間がつくったものであり、ユング心理学に基づいてつくっているわけではない。それが一つの学説でこうも見事に解読できるのだ。人間の本質はずっと変わっていないのだと思わされる。



2.  とても良い ピップさん 書き込み日: 2007年04月27日

ユング的解釈。

 ユング心理学派の日本の第一人者、河合隼雄さんのグリム童話の解釈です。もう、何度も読み返すくらいおもしろい著作だと思います。トリックスターとかグレートマザーとか父性母性とか、グリムのお話に沿ってわかりやすく説明してくれていて、昔話をこういう風に解釈することができるんだと知ると同時に、昔話の奥深さを実感させられました。ただ普通に読んでいても、うまく飲み込めないところがあっただろうし、そういう意味ではこういった解釈をしてもらえることでより昔話の狙いを把握することが出来ると思います。日本の昔話の解釈については、岩波現代文庫の『昔話と日本人の心』や朝日文庫の『おはなしの知恵』なんかもおすすめです。



3.  とても良い レバンネンさん 書き込み日: 2007年07月20日

ユング心理学による昔話の解釈

本書の最初に出てくる昔話は「トルーデさん」。たった2ページの話だが衝撃の結末に目を疑う。これを河合隼雄はユング心理学の元型の一つ『グレート・マザー』の暗黒面の現れと解釈している。
昔話もこういう見方をすれば、より深くそして怖ろしいものだと思い知る。
この本を読めばユング心理学が概観できるので何度も読み返したい。
著者のご冥福をお祈りしつつ、星5つ。



4.  とても良い 吉田真祐さん 書き込み日: 2001年09月27日

ユングにおける元型

 この本の中で話されている元型、特にグレート・マザーはおもしろい。著者である河合隼雄氏はユング派の心理学者だ。心理学について少し勉強をした事のあるものなら周知のようにまずフロイトが根底にあり、そしてユングやアドラーなどの心理学者が彼を慕ったのち、離れていくという図式が存在する。では、なぜユング及びにアドラーはフロイトから離れていったのだろうか。
 フロイトにおいて精神の構造をあらわすものはエゴ、スーパーエゴ、エス(イド)の3つの要素であり、エスを本能そのもととするなら、それに働きかけるブレーキをスーパーエゴ、そしこれらを外側から取り巻くものがエゴである。
 この3要素におけるエネルギーをリビドーと呼び、性的欲望とした。つまりフロイトの考えによると人間というものは性のエネルギーによって動いているとしたのである。
 これに対してユングやアドラーは自論を展開している。ユングは無意識内に存在するなにか先天的なものが人を動かすとし、そしてアドラーは権力への意志が人を動かしているとしたのである。
 ユング心理学においては無意識というものを個人的無意識、集団的無意識の二つに分ける。この集団的無意識とは、人類全てに存在する無意識の形象的なあらわれである。すなわちこれが元型である。
 元型にはいくつかの種類があり、その一つがグレート・マザーである。そこにはおよそのものを包み込む意味があり、相対立する二つの側面を同時に持っている。まず、一つは生命と成長を司って、懐胎し、出産するなどの「生命の与え手」の面である。そして、もう一つは、独立と自由を切望するもの達にしがみつき、彼らを束縛し、捕獲し、飲み込むという「死の与え手」としての面である。
 「トルーデさん」や「ヘンゼルとグレーテル」の魔女はこのグレート・マザーという元型の実体化したものではなかろうか。一瞬やさしそうに見えるものの、それに反動する殺意も兼ね備えている。
 しかし、これはあくまでユング派における考え方だ。元型という考え方自体がフロイトやアドラーに存在しないとすれば、いかにして上記の物語を理解できようか。心理学に興味のある人間は是非一度この本を読むべきである。自分の培ってきたものでいかに対処していけるか。さらなる考察と共に自己確認も可能だろう。



5.  とても良い nnfさん 書き込み日: 2003年11月13日

無意識と意識の架け橋

 本書の始まり、第1章・第1節のタイトルは「昔話には魂がこめられている」。なんでそんなことがいえるのか、と冒頭から疑問を感じたけれども、著者はユング派の立場から、人間の心の普遍性<普遍的無意識・元型>につながるものが、多くの人に受け入れられ、時代を超えて存在し続けるのだ、というふうに説明する。

 ここで読み解かれるのは、『ヘンデルとグレーテル』や『いばら姫』、『黄金の鳥』などグリム童話数篇。グレートマザーや、アニマ、トリックスターといった元型の概念を用いた読み解きのほか、物語に出てくる数字の意味なども説明されている。

 読み終わる頃には、例えば村上春樹の作品なんかも、バラバラになるまで解釈してみたくなってくるのだけれど、それを見越してか、著者は昔話の読み解きを始める前に、フォン・フランツの言葉を引用している。「いかなる昔話の解釈もその昔話以上に出ることはできないのである」。



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