とても良い / 口コミ件数 : 9件
価格 : 1,890 円
私も産経新聞の一員でした。登場人物については、イニシアルでしか出てこない人を含めて馴染みの人ばかりです。それにしても筆者のフジサンケイグループをみつめる視線の確かさに感嘆しました。特に鹿内信隆、春雄の本質について正確にとらえているのに感嘆しました。さあ、これで産経やフジにどのような反応が出てくるか楽しみです。まさか、無視するなんてことは許されないでしょう。
〜 ライブドア問題で、ニッポン放送とフジテレビの資本関係が逆転していることが一般人の知るところとなった。では、どうしてそうなったのか、というフジサンケイグループの成り立ちに関しては、辻井喬の小説『風の生涯』や佐野眞一『あぶく銭師たちよ!』に書かれてはいるものの、体系的なものはなかったと言っていいのではないか。本書は豊富な取材と資料の〜〜裏付けで、それを明らかにしていく。第2章の鹿内宏明追放のクーデターのくだりもドラマチックだが、「初代」鹿内信隆がフジテレビや産經新聞を手中に収めていく後半の骨太の叙述には引き込まれる。読み進めれば進めるほど、筆者の力量に感心させられる。なぜ、第1章に「彫刻の森美術館」を持ってきているのかは、下巻を読むとわかる。 ライブドアのニッ〜〜ポン放送株買収事件があったので、本書の価値の高さはより多くの人に伝わるに違いない。絶妙な時期の出版である。〜
テレビだけでなくメディアに於ける軽薄短小の 代表であるフジテレビと、活字メディアに於ける 右系代表である産経新聞、それに民放ラジオの雄 であるニッポン放送。 そしてそれら(いわゆるフジサンケイグループ)を 一代で築き上げた鹿内信隆(と鹿内ファミリー)の 歴史を信隆氏誕生から、フジテレビによるニッポン 放送の子会社化までを上巻366p、下巻376p (巻末資料除く)という厚さに記した中身の濃い そして得るものが多い一級のドキュメントです。 上巻ではグループによる錬金術の端緒(箱根に ある「彫刻の森美術館」の誕生等)、92年の日枝 フジテレビ社長(現、同社会長)派による鹿内 宏明フジサンケイグループ議長(実質的なグループ トップ)の解任劇の内幕、そして創業者である 鹿内信隆氏の歩みとニッポン放送の誕生までを 描いています。 この本の特質は、何故一代でここまでのグループを 作り得たのかという社長一代記だけはなく、本来 「公器」と称されている(というよりメディア自身が 都合の良いときに使ってますが)報道機関を私物化 (鹿内家のものに)出来たのかというただその一点を それこそ数多くの資料から丹念に拾い上げている点です。 当事者の多くがまだ存命していることを考えると 「よくこの本が世に出たな」という感想を禁じ得ません。 日本の企業・メディア史の中でも特異なグループの 歴史を一気に俯瞰出来るこの本は貴重です。
2005年に起こったニッポン放送株事件。その背景と、このようなことを可能にしたそもそもの淵源としてフジ サンケイグループの成り立ちにその原因があるとし、フジサンケイグループの過去を問い直したノンフィクショ ン作品。話は過去へ飛び、鹿内宏明を追放したクーデター事件、更には鹿内信隆がフジサンケイグルー プを作り上げ、そして権力を春雄、宏明に継承するまでの経緯と、フジサンケイグループのいびつな構造に ついて余すことなく描写している。 この本を読んで思ったことは、日本の戦後史において、満州国や旧帝国陸軍とかかわりのあった人間が大き な役割を占めていることだ。代表的な存在として岸元首相や児玉誉士夫だが、フジサンケイグループもそう だった。GHQは、日本のアンダーグラウンドにいた勢力をクリーンにしたわけではない。戦前は裏に隠れてい たそれら諸勢力の背中を押し、戦後表舞台にたつようにさせたのではないだろうか、と思わずにいられない。
フジサンケイグループの経営私物化の歴史と実態が、これでもかとばかりに詳細に描かれている!フジテレビ・産経新聞の言うことなど信じていたら、酷い目にあうだけ、ということもよく分かる。これでは、右翼も、フジテレビ・産経新聞をばかにするだけだろう。フジサンケイグループ内部の著者(元フジサンケイグループ論説委員・松沢弘氏)による「フジサンケイ帝国の内乱」(社会評論社)とあわせて読むと、よりいっそう、この巨大メディアの正体が分かる。これと「日経新聞の黒い霧」(大塚将司氏著。講談社)とが、本年度のマスメディア批判の三大著作だ。