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結婚帝国 女の岐れ道

結婚帝国  女の岐れ道

良い / 口コミ件数 : 10


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1.  とても良い お気に召すままさん 書き込み日: 2004年06月19日

「もどかしさ」の語る深い真実

DVなどを専門とするカウンセラー信田と上野との対談。個々の症例と格闘する信田の「実感」に対して、上野がマクロな視点からそれを言語化しようとするが、いつもながら絶妙な感覚でクールに突き放す上野の議論が冴えわたる。他者に支配されることも他者を支配することも嫌う、上野の潔癖なシングル感覚はどこまでも一貫して爽やかだ。性器の独占使用権を他者に与えるというカントの結婚の定義に立ち戻り、こんな愚かな契約をする若者が「どうしても理解できない」と彼女は言う(p110)。森瑤子のような名声も地位もある女性が、DV被害者であることを隠し続けて夫と離婚しないことや、結婚非婚を問わず「本当の私」を求めて彷徨う三十台女の「甘さ」が、彼女にはもどかしくてたまらない。この「もどかしさ」が本書の主題である。

上野の潔癖さに深い共感を覚えつつも、一点だけ気になることがある。それは、個人へのアドバイスを課題とするカウンセリングの論理に引きずられて、彼女がマクロの視点を生かし切っていないことである。ベックやバウマン等の社会学者が明らかにしたように、現代の先進国における個人は、旧来の階級、階層、集団、親の職業、家族などへの帰属から自己のアイデンティティを自動的に与えられることはもはや困難であり、個人は「自分の人生をゼロから自分で設計する」ことを求められる。パラサイトはヨーロッパでも進展しており日本だけではない。「本当の私が分らない」という不全感は、上野の言うようにネオリベラリズムの陥穽なのではなく、もっと深い必然性のある現象である。その点を押さえないと、若者を「甘い!」と一喝する中年オヤジのお説教と似てしまう。それは上野の本意ではないだろう。



2.  とても良い コンタナトスさん 書き込み日: 2008年06月26日

恋愛・セックス・結婚に対するデタッチメントが女性には欠けていると主張している本。

 ロマンチックラブイデオロギーに安易に寄り添う近代女性を語りつつ、2人の著者の恋愛・セックス・結婚・老後についての考察と覚悟を対談形式にまとめている本。「この男に選ばれたワタシ」が、「この男性に必要なワタシ」と考え方を変える事で、相手男性との関係において「主体性」を持とうとすることこそが、非主体的ではないのではないか?‥と疑問を投げかける。

 どういう男に選ばれるかは、当該女性にとっては「ピア」における自分のポジションを決定づけるものだけに、非常に大きな関心ごとである。本当はそんな事でピア内でのポジションは決まりはしないのだが、決まる‥と感じる女性のなんと多い事かとも2人は嘆く。

 男性的な価値観と行動原理がマトリックスのように錯綜する会社的・学校的社会で、女性が生きるという事はどういう事なのかを考え、悩みぬいてきたお二人なのだな‥と素朴に納得できる内容の本。

 しかし、著者らが述べている場面場面の対応や考え方は、著者ら独特のものであるので、本書を読んだ人が感化されて、本書に書かれているように振舞うのは相当にキケンを伴うことは知っておくべき。



3.  良い とこさん 書き込み日: 2007年08月30日

怖い現実

タイトルも怖いが、中味も怖い。でも、これが現実なのだろう。
対談で語られる空洞化した家庭生活を送っている人や、やがて不良債権化しそうな
パラサイトシングルは私の回りにも確かにいる。
しかし、私が何よりもショックを受けたのは、上野氏、信田氏のふたりともが、
「家族は幻想であり、幸せな結婚はない」というのを当然の前提として語っている
ことだ。
傍からどう見えたかは別として、私自身は精神的に満たされた、幸せな家庭で育っ
たし、現在の自分の家庭についてもそう思っている。そして、私の回りにも、同じ
ように幸せな家庭生活を送っている人は何人もいる。私たちは少数派であるかも知
れないが、そういう人たちが存在していることも知って欲しい。
基本的には、両氏の考えに同意できるのだが、なんだか深くて暗い穴底を覗きこん
でしまったような読後感だ。



4.  良い 十姉妹さん 書き込み日: 2004年08月29日

まあ、相変わらず身もふたもないわねえ

 上野千鶴子氏ですから、もう、結婚制度も悩める女性も、すべて一刀両断です。気持ち良いぐらいにすっぱり言い切るんですが、だから、どうしたらいいかは自分で考えるしかないんですね。非正規雇用、非婚の30代女性は社会の中で不良債権化していくとか言ってるし。

 対談なので、分かりやすいし、けっこう信田氏と上野氏の考え方の違う部分は楽しいです。P58あたりのヴィトンのバッグを巡るやり取りなんか、笑えてしまう。同様に丈夫だからって一澤帆布のカバンにしろと言われてもねえ。

 「自立」という言葉は胡散くさい、とか、「『好きなこと』を仕事にする」は幻想であり、それを村上龍は「13歳のハローワーク」で煽っている、とかなかなか示唆に富む言葉が多いので、現在を生きる女性は必読です。特に30代未婚女性として、なかなか考えさせられる内容でした。真面目に人生設計考えないとなあ、と思わせられます。



5.  良い KAORUさん 書き込み日: 2007年09月05日

痛快かつ「気づき」を与えてくれる対話

 女性が生きていくことの難しさについて正面から向き合ってきた賢い女性同士の対話だけあって、大変読みやすく、自分も二人の会話に参加しているような感覚で読むことができた(弾丸のような会話で攻めてくる上野さんもものすごいけれど、それに怯まずにここまで率直に答える信田さんはもっとすごいと感心)。
 内容は、タイトルから想像できるようなテーマとはずれたものも多く、幼少時の性的虐待や家庭内暴力など、良く言えば守備範囲が広く悪く言えば散漫になっているようにも思える。30代未婚女性をとりまく情況にテーマをしぼった方がよかったのではないだろうか。
 全体に流れているのは、あらゆる通俗的な幻想から自由であれという力強いメッセージ。
 「自立」「本当の私」といったものの胡散臭さを痛快なトークで一刀両断にしてくれる。
 私にとっては、自分の中にあった「社会的評価への依存症」という病理を発見することができ、今後の自分の人生を歩んでいく上で大変参考になった一冊だった。
 



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