良い / 口コミ件数 : 15件
価格 : 1,313 円
長らく再版が止まっていた本書が、このたび復刊されました。装丁等を除けば、中身に違いはありません。著者のルース・ベネディクトは本書において、日本文化や日本人の行動をいくつかの「型」あてはめて考察しています。彼女の指摘は鋭く、現在においても通用するものもあります。本書は日本人自身の自己認識形成に少なからず影響を及ぼしたといわれており、それゆえに第一級の日本人論と見なされてきました。本書に対する代表的な批判は、同じ米国人のダグラス・ラミスによって行われています。(彼はベネディクトの「文化の型」にあてはめるというやり方を「日本文化への墓碑銘」だといって批判しています。詳しくは、ダグラス・ラミス『内なる外国』をご参照ください。併せて読めば、きっと理解が深まるはずです。)やはり、ベネディクトが一度の来日経験もなくしてこれだけのものを著した事実は驚嘆に値します。とにかく、復刊により本書が再び求めやすくなったのは喜ぶべきことでしょう。
対日戦勝に続く占領政策を成功させるために アメリカの文化人類学者兼詩人である壮年女性が 日系人へのインタビューや多数の文献を調査し、 日本人をアメリカ人(ヨーロッパ文化圏人)に 理解させることを目的とした著書である。 対照範囲は日米間に留まらず、 ヨーロッパ、中国、ポリネシア等にも広がっており、 その洞察力は秀逸で理解はリベラルである。 私はある時には強く日本的であり、 別の時には著しく西洋的である己に気づいた。 また、周りの人に思いを巡らすと、 その側面はそれぞれ異なっていた。 本書は異文化理解のみならず、 現代日本を生きる上でも役に立つ、 色あせることのない名著である。
アメリカ人の文化人類学者が戦時中に書いた日本人分析の報告書。 一本、一筋、すがすがしい清冽な論理がこの本を貫いている。 日本人の書くものとは異なる著者の「論理」。 あるものにとっては侮辱されたようにも感じるかもしれない。しかし、私には目を開かせる、明解さを持って感じた。 戦時中の報告書として書かれたため、虚飾は廃されている。 そして、アメリカ文化(西欧文化)に身を置く著者が”全く異なる”日本文化を分析するにあたり、証拠による論理思考を積み上げ構造を描き出すまでがとても見事。 著者の語彙に、違和感とも取れる一定のバイアスといえるものを感じる。しかし、これは、落ち着いて考えてみれば、両文化の差異による論理の言葉の違いなのかもと感じられた。 この語彙に侮辱を感じる日本人読者もいるかもしれないが、私は、そうは感じずに両文化の構造の差異として感じたい。 この点は、再度この本を読み分析する必要を感じた。 何度も読み返す必要のある「古典」だと思う。
この本は太平洋戦争に勝ったアメリカが日本を統治する際に、まず日本文化と文化に潜む精神を知る必要があるということで、文化人類学者である筆者の行った日本研究の報告書である。 内容としては簡潔に言ってしまえば、倫理の観点から見ると日本文化は恥の文化である、ということが様々な論理的根拠や例をもとにして述べられている。改めてわれわれの価値観の根本原理を暴かれたような気持ちになった。 個人的にはっとさせられたのは、日本人の人生観は、トランプゲームに参加するプレーヤーのごときものであるというくだりである。そして、あまりに(日本流の)人生におけるプレーが型にはまりすぎているので、異文化に放り込まれたときに中々対応ができないのである。 総じて自分はやはり日本文化の影響を当然だがかなり受けていることを実感させられる本である。評者が薦めているように、全ての日本人に自分の従っている価値観を見つめなおす機会として一度読むことをお勧めしたい。
「第一級の日本人論」とされているだけのことはあり、執筆後半世紀以上経た現在でも生々しいものがある。時代が変わっていることは文章を読んでも明らかなのに、不思議と古さを感じさせない。また日本人を多角的に分析しつつも、それらを「菊」と「刀」に集約することにより非常にわかりやすい内容となっている。文章も論理的で読みやすい。 ちなみに本書によれば、何か問題が発生した時に「想定内」という語を口にするのは、極めて日本人的だということになるらしい。近年の流行語に至ってもなお、彼女の言う日本人像が映し出されているのはなかなか面白いものがある。またその発起人を考えてみると、さらに考えさせられるものがあるのではなかろうか。 もちろん本書の全てに納得できるわけではないが、「恥の文化」の発端の書、一読して損はないだろう。少なくとも、その言葉の持つ意味以上のことは書かれているように思う。