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今こそ読むべき、日本人を越えて、人間の知に対する自信を与える本 |
日露戦争と第一次世界大戦の間に著された、日本外交に対する警醒の書。その内容は世界の歴史と時代状況の客観的把握に基づいたもので、その後の歴史を鑑みると著者の慧眼が証明されているように思える。当時の日本人にこのような人がいたことは、何か日本の知に対して誇りを感じるが、それ以上に人間の知そのものに対する自信さえ与えてくれる。 著者の主張のポイントは、大体次のようになる。東アジアを巡る当時の世界情勢に二つの外交方針が存在した。一つは列強が支那を苦しめつつ相争いて自利を計る政策(旧外交と称す)、もう一つは支那の主権を尊重しつつ諸国民の経済的競争の機会を均等なるべくを謀る政策(新外交と称す)。日本は新外交を方針とし、世界の輿論を背景に日露戦争に勝利したが、満州等において更なる利権を手中にした後には、現存する新・旧外交の矛盾を解消するのではなく、政府は私曲(著者のキーワードの一つ)により旧外交へと逆行し、国民もそれを支持していると批判している。そして、このまま進めば清国を巡り米国と争いになると予言している。 |
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