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中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)

中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)

とても良い / 口コミ件数 : 11


価格 : 840 円





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口コミ件数:11 1 2 3 次ページ
1.  とても良い nob-ohさん 書き込み日: 2004年12月14日

痛快無比!中国歴代王朝滅多切りの「盗賊皇帝史観」

 15年前に「完全版」ではない最初の版を読んだ時、こりゃ凄い本だと感心したものですが、今回の毛沢東パート充実バージョンにも大満足です。「20世紀の盗賊」の実例から入る所なんぞ、つかみのうまさにうなってしまいます。最初っから体裁を整えた王朝なぞなく、盗賊が勢力を拡大していく過程で知識人を取り込んで儀式などを整備していくという主張は極めて説得力に富んでいます。
 毛沢東についての分析は、まさにこれが言いたかったという結論の部分と思われます。私も文革当時、ハルピンで5万人殺されたなんて話を帰国者から聞いていて、大新聞が文革礼賛の記事を平気で載せているのを胸くそ悪く思っていた口ですので、ふむふむ、そうそうという調子で気持ちよく読ませて貰いました。「不完全版」出版当時では恐らくかなり刺激的な内容と取られたことでしょう。
 惜しいのはその後「毛沢東の私生活」などの暴露本が出たり「毛は皇帝であった」という評価が中国でも定着するなど相当に状況が変化しており、著者の主張が革新的とは言えなくなっている点です。15年前にこの本が出ていたら、「凄い」の二乗だったでしょう。しかしそれでも毛の人となり、周恩来や江青等についての評価、林彪事件の原因についての分析などは見事ですし、中国現代史が30分足らずでわかる本になっているのも大したもんです。よくも大量の資料を読み込んだものだと思います。
 そして何より歴代皇帝をばったばったとぶった切っていく痛快な語り口が極めて魅力的です。中国の歴史に関心のある人は必読の本です。「不完全版」が書棚のどこかに眠っているはずなので、探し出して読み比べてみようと思っています。



2.  とても良い enuyonさん 書き込み日: 2005年12月16日

リアル戸川万吉達の物語

この本で竹林で文人が文物を愛でながら漢詩を詠んでる中国のイメージが、万民の万民に対する闘争を長年繰り返し続けたすれっ枯らしの成れの果てに変わりました。
男一匹ガキ大将の戸川万吉のホンモノたちが徐々に勢力を広げ、ついには天下を掠め取ってしまう。中国史の一方の主役は間違いなく盗賊たちだ。こんな奴らに2000年も引っ掻き回された中国人がすれっ枯らしになるのはそりゃ当然だよ。

陳勝・呉広、劉邦、朱元璋、李自成、洪秀全のエピソードも面白いが、完全版で復活した毛沢東編はまさに傑作。
"毛沢東はマルクス主義者なんだからマルクスの本は読んだろうと思ったら大まちがいである。せいぜい中国人の書いた「マルクス主義早わかり」といったたぐいのパンフレットをのぞいたことがあるくらいのものだろう。(後略)"このくだりをもしクメールルージュとかセンデロ・ルミノソみたいな毛沢東主義者が目にしたらどんなことになるのか、想像しただけで腹がよじれるくらい笑える。
かといって、毛沢東を罵倒しているわけではない。毛沢東の古典的知識人としての優秀性を披露したり、彼の古典知識が総動員されたからこそ革命が成功したと指摘するといった具合で、マルクス主義の色眼鏡を外して毛沢東を評価している。



3.  とても良い やじうまさん 書き込み日: 2006年02月13日

毛沢東は共産主義者ではなかった!?

 週刊文春で連載コラムをお持ちの高島俊夫氏の本来のご専門分野のどちらかと言えば軽い読み物だ。
 中国4千年の歴史の中で数多くの王朝交代がなされたが、その多くは盗賊から成り上がった王朝だ、
とした上で、漢の劉邦、明の朱元璋などを取り上げている。
 希代の英雄もかたなしだが、もっとも面白いのは、毛沢東も同様の盗賊手法でのし上がり、
中国を牛耳ったというところだ。
 この第5章にあたる部分は当時の日中関係を鑑み、ページ数の関係からも出版にいたらなかった
内容であったとのこと。
 検閲はなくとも「進歩的文化人」やらが幅をきかせていた時代、そのような理由をつけて
出版社が自粛したのだろうか。
 ともかく、死蔵されていた原稿が日の目を見ることができたのは喜ばしい。

 ベストセラーとなっている「マオ−誰も知らなかった毛沢東」でも、毛沢東は数千万の人々を
殺したと言われているが、それが中国の歴史上繰り返されてきたことであり、搾取する国民党に
対抗する農民の味方「人民軍」という図式を取り払ってみれば、確かに理解に苦しむほどの
ことでもない。
 もともと流亡の盗賊集団だから、土地のしがらみもなく、財物や食料など平気で奪いもするし、
残忍な殺戮も平気で行う。
 著者のいうとおり、毛沢東は共産主義に学ぶより多くのことを中国の歴史に学び、それに忠実で
あっただけのことだったのだ。
 現在また、中国では多くの暴動が起こっているようだ。
 その鎮圧の様子も恐らく天安門事件にまさる厳しい武力行使が行われているだろう事は想像に難くない。 
 中国の本質を語る一冊だといえよう。



4.  とても良い Jia-(shao)-yeさん 書き込み日: 2005年10月15日

洒脱に語る中国史の隠れた本質論

 この本の旧版が出版されたのは1989年のこと。社会人一年生で中国のこともよく分かっていなかった小生ですが、「なんて面白い本なのだろう」とただ素直に感心したことを覚えています。あれから16年、今改めて「完全版」を読んでみて、その視点と切り口の鋭さに思わず唸ってしまう思いです。
 本書は、漢や明や太平天国、そして更には共産党政権などの成立過程や社会的背景を解説し、これらの政権が何れも社会的なアウトロー集団を中核としていたことを説き明かすものです。大盗賊列伝としても面白く、気軽に手にする歴史読み物としても十分に楽しめる出来栄えです。
 さらに本書は、そうした面白さの領域を超えて、「何故そうしたアウトロー運動が本格政権に発展できたのか」という観点から、中国史を通じる社会的な特性に迫っています。今日の共産党政権の捕らえ方という点でも歯に衣着せぬ問題提起を行っており、中国ないし中国人というものの本質を鋭く抉り出しているように思います。
 著者はエッセイストとしても高名な方だそうで、その語り口の洒脱さにも特筆すべきものがあります。登場する人物の数や解説の程度など、詳しすぎず少なすぎず、一般向けの本としての塩梅は絶妙です。これほど楽しく中国史の本質を垣間見られる本というのは、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。およそ中国に関心をお持ちの向きには、是非一読をおススメしたい一冊です。



5.  とても良い もうすぐ年金がもらえるおじさんさん 書き込み日: 2005年10月14日

中国史を「盗賊」の観点から解明

 ここでいう「盗賊」とは、武装した人々が集ってできた農村・都市を略奪する一団のことである。山に巣窟を構えれば山賊、沿岸や島で仕事をすれば海賊、騎馬隊形式なら馬賊と呼ばれる。失業者や、食いつめ者はいくらでもいたので、すぐに人が集まって大人数になる。それにPR係のインテリが加わると、一つの地方を支配することもある。さらに中国全土を統一するまで大きくなったのが漢の劉邦、明の朱元璋である。成功するのは一握りで、李自成、洪秀全(太平天国)は中途で挫折する。

 さて、きわめつけが毛沢東だ。彼は師範学校出のインテリだが、中国伝統の盗賊の手法で見事に中国全土を平定したのだ。しかも盗賊らしく、その後は功臣・知識人を追放し、自分の妻(江青夫人)に好き勝手をさせている。

 本書を読んで、中国の正史のいいかげんさも良くわかった。小説を素材にしたりするからだ。
 
 著者の文体は、とぼけた皮肉があって親しみが持てる。例えば、「盗賊が人気を取るのは比較的楽である。モトデがかからない。悪いことさえしなければ「盗賊だのに金も女も取らない」と人気があがる。」といった調子である。



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