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聖書vs.世界史―キリスト教的歴史観とは何か (講談社現代新書)

聖書vs.世界史―キリスト教的歴史観とは何か (講談社現代新書)

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1.  とても良い さん 書き込み日: 2001年02月23日

タイトルだけ見ると、誤解されそうだけど…

タイトルだけ見ると、「現代科学 VS 宗教」なんて風にとられがちだと思いますが、内容はいたって理知的、学問的です。 「歴史の教科書の歴史」は実は聖書である、というお話を資料なんかを踏まえてとてもわかりやすく解説してくださっています。

私なんかは、学校でも頭が良いほうではなかったのですが、それでも興味深く読めました。歴史、教科書、教育、世界史、宗教が社会に与える影響に興味がある方は、見て損が無いと思います。



2.  とても良い solaris1さん 書き込み日: 2004年02月22日

ミステリーを読むような知的興奮!

 聖書対世界史という題名であるが、この書物は西洋における「世界史観の変遷」を追った書物であり、新たな事実の発見で世界観が覆ってゆく様には、ミステリー小説を読むような知的興奮がある。  古代ギリシャ・ローマの時代、世界史とは、アッシリア、メディア、ペルシャ、ローマという世界帝国の興亡史として認知されていた、という冒頭の記述から、おもわずへぇ〜 と感心。それがキリスト教の登場で紀元前4000〜5000年程度に世界創世が置かれた結果、事実と合致しないエジプト史の扱いが古代神学者の間で大きな問題となりこれを神学者達がどう解決していったのか? 大航海時代にもたらされた中国の歴史の深さに関する知識は再び古代末の論争を興起し、ついにはキリスト教的世界史観が崩壊に至る様から、「古代、中世、近代」という近代的世界史観成立の流れを追う記述はスリリングである。あまり類を見ないアプローチの内容かつ高額な書籍として出版してもよかったのではないかと思える程の内容の充実。買って損はありません! 最近同著作者による世界史対ヨーロッパという続編的新書が出ましたが、個人的には本書の方がコストパフォーマンスは圧倒的と思う。



3.  とても良い maha-raoさん 書き込み日: 2003年04月09日

普遍史から世界史へ

普段なにげなく使っている「世界史」が、実は「普遍史」(簡単にいえば聖書に出てくる記述の年代を確定しようとする試み)に取って代わったものだ、ということがよくわかる。逆から言えば「世界史」には普遍史という前史があり、世界史は普遍史のしっぽを引きずっている、ということだ。

 世界といえば本来地球上のすべての土地を意味するはずだが、世界史の場合はそうでない。「世界史」を形成するものは歴史認識者の視野に入ったものだけである。(ヘロドトスや司馬遷が書いたのも世界史である)

 今日「世界史」と銘打って出版されているものは歴史がシュメールに始まることを承認している。これは、世界史に幾多の修正がほどこされようとも、基本的には聖書の地に起点を置く「普遍史」の枠組みを踏襲していることを意味している。小著ながら世界史の認識枠組み自体を反省し、意識化することを迫るものだ。

 そんな理屈を捏ねなくても、ニュートンがアリウス派であったことなど、興味深い記述が随所に鏤められている。



4.  とても良い モチヅキさん 書き込み日: 2007年06月16日

普遍史を焦点とした西洋の聖書解釈史

 1943年生まれのドイツ近代史研究者(成瀬治の弟子)が、1996年に刊行した、1〜18世紀の西洋(および明治日本)における普遍史の内容の変遷史。普遍史とは聖書の記述に基づき書かれた世界史であり、明確な始点=天地創造と、近い将来における終点=神の国の実現=終末を持ち、四世界帝国論に立ち、化物世界をも含む三大陸から成る平円盤状の世界観と結び付いていた。古代のそれは、キリスト教護教活動の一環であり、異教徒を説得して聖書の優越性を示すために、異教徒の歴史の古さの否定や、ときには聖書の読み替え・一部無視も行いつつ書かれた。中世のそれは、基本的には古代的普遍史を継承し、第四帝国=ローマ帝国の存続を前提とした(皇帝と教皇を2つの焦点とする楕円的世界像)。また、創世紀元を基本としながら、キリスト紀元の緩慢な普及をも伴った。しかし、ルネサンスにおける人間の力量の発見や、古典・聖書(三系統)の批判的比較研究の興隆、植民地支配・対中国交易の開始(球体・四大陸世界観の勝利、化物世界の否定)、科学革命による時空間の無意味化の中で、普遍史記述は危機の時代を迎え、それが教派論争とも絡まり合いながら、年代学論争という形で現れた。18世紀には、ゲッティンゲン大学を中心として、科学知識の援用、世俗化されたキリスト紀元と古典的三区分法の普及、西洋史の相対化(ただし優越的地位は維持)といった特徴を持つ、啓蒙主義的世界史が成立し、ここに普遍史はついに自己崩壊する。本書は普遍史(歴史学前史)を焦点とした西洋の聖書解釈史を扱う、専門的な内容でありながら、叙述は平易であり、多くの図表を掲載している。大局的な流れと共に、興味深い個別事実も多く紹介しており、お薦めできる本。



5.  良い まくまくさん 書き込み日: 2007年06月09日

読み終えてじわじわ満足

細かい記述が多いので、はじめのうちはちょっと退屈に思いました。たくさんの数字や人名が出てくるところでは、斜め読みしてしまいました。私のような素人読者はつい、文章に単純なメリハリを求めてしまうので、問題点や結論が複数あるときは箇条書きにしてもらえたらな〜と思いましたが、それはあまり美しくないやり方かもしれませんね。
というわけで、読んでいる最中はそれほどでもなかったのですが、読み終えた時には衝撃と深い満足を味わいました。「これを読んでよかった」という気持ちがじわじわ広がってきます。読んでいるとき面白くても、読み終えるとすぐ忘れてしまうような本もありますが、これはその反対でした。細かい数字や人名をさておいても、得るべきことがたくさんある一冊でした。



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