とても良い / 口コミ件数 : 11件
価格 : 660 円
前の2作は筋立てや風景描写などがよかったが、これはどちらかといえばドキュメンタリータッチ。評者の気づいた限りでは、フィクション部分はきわめて少ない。エンロン事件になじみのない読者は、どこまでが事実かわからないかもしれないという問題はある(インドや日本でのエンロンの行動は、ほぼここに書いてある通りで、著者の作り話ではない)。
著名なビジネススクールでワンセメスターつかってエンロンケースを研究する例があるなど、スキームの複雑さが強調される事件であるが、著者のスキーム説明、および、営業収益(ここは基本的に赤)と営業外収益(ここで粉飾)の組み合わせ、という大枠がわかっていると、わかりやすさが全く違うと思う。ともあれ、エンロン問題を知りたい者にとって、きわめていい手引きである(添付の参考文献も有益である)。
ブライアン・クルーバーの「内部告発エンロン」が、いきなり粉飾会計を知らされた社員の視点からであるのに対し、こちらはエンロンの設立・発展・倒産を通して上層部の視点から、なぜこのような粉飾会計をしなければならなかったのか、その粉飾が徐々に明るみに出ていく様子が記されています。タイトルにもあるように、小説として書かれており、巻末に簡単な用語集もついているので金融やエンロンについて全く予備知識のない私でも一気に読めました。
内容については他の方が書いていますのでおいといて、この本は巻末に用語集が付いているなど値段以上の価値があります。小説形式のビジネス書としても読めます。お買い得です。
米国資本主義社会の現実、厳しさを実感できる一冊でした。ストックオプション、高給を得る為に、法律を犯してまでビジネスを行う姿勢は、道徳的には悪であろうが、人を引き付ける輝きを感じました。登場人物達の自分の目標に向かって邁進する生き方は、一日一日をただ何となく過している私達に刺激を与えてくれると思います。また、作者の時間を費やした詳細な調査は、この本の内容を尚一層深いものへと転嫁してくれたと思います。
アーサーアンダーセンのエンロン担当の会計士、社内弁護士、そしてエンロン社の幹部そのもの。そしてエンロンに融資している金融機関の担当者。 それぞれが目の前のことだけを考え、問題の先送りでしかない対応をとってしまった選択の行く末を小説という形をとることによって、読みやすく分かりやすく、興味深く示してくれています。 この出来事がほんのつい5,6年前のことととは全く不思議な気がします。 今もまだどこかに、「エンロン的」な会社が世界、日本にあるに違いないという気にさせられます。 情報を生でつかみ、分析することの大事さも実感できます。