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受容として死を受け入れたもの、呆然とした者、抵抗した者それぞれの人生模様が描かれている。死刑廃止論者、賛成論者、両方の立場の人に読んで欲しい。死刑になるからには、それなりの罪を犯している。まあ、いってみれば死刑になって当然の連中である。人を平然と殺しておいて、自分が殺されるときにはものすごい抵抗をして反省することなく処刑された死刑囚にはまったく同情できない。が、罪を悔いて、十分に反省して償った死刑囚が受容として死刑を受け入れて喜んで死んでいった姿には考えさせるものがある。いずれにしても、一つしかない命をめぐる人間模様としては「死刑」と言う命題はあまりにも重過ぎる。
法務大臣が署名したので死刑が執行された。とか、死刑が確定したといったように「死刑」というキーワードはニュースで耳にしたことはあるが、それはその瞬間だけ通りすぎる多くのニュース達に紛れて、長い記憶に留まることはあまりない。それは、一人一人の死刑囚の顔も見えず、事件も時間がたっているせいもあるだろう。
この本では、それぞれの紙幅は少ないものの、死刑囚の生い立ちから事件の経緯、裁判の様子、そして最後の瞬間まで追いかけている。無味乾燥だった「死刑」という言葉がリアルに感じられるようになり、人知れず訪れる「死刑囚の最後の瞬間」に立ち会ったような気がした。
事件の背景から詳細に書いてあり、非常にわかりやすいです。 死刑囚が変わっていく過程もよく書かれています。非常に有用な情報を 提供してくれている書籍と言えます。また、著者は廃止論者ですが、幸い、 そのスタンスがこの書籍では前面に出ていません。客観性は保たれています。 主題は「真人間になっているのになぜ殺すのか」ということですが、私は 「死ぬ前に真人間に戻れたのはすばらしいことだ」という解釈をしています。 死刑囚自身の言葉にもそういう内容があります。死刑制度の光と影を両方 見せている書籍なので、読者の主義主張にかかわらず読むことができます。
筆者は死刑廃止論者のようであるが、私はこの本を読んで改めて死刑は廃しすぺきではないと思った。まずこの本は死刑囚、又はその家族の視点でしか書かれていない。被害者やその遺族については触れられていない。確かに真摯に自分の罪を反省し、立派に刑死していった人が多いようだが、だからといってその人の罪が軽くなるわけでは決してない。 この本とほぼ同時期に新潮文庫の「新潮45」編集の犯罪ドキュメントの本を数冊読んだのだが、その中に書かれている犯罪は本当にひどいもので、被害者は本当につらい、苦しい思いをしながら亡くなっている。その家族もつらく悲しい思いをしている。 おそらく、筆者も、被害者側の視点から事件を見ていたなら、そして被害者や遺族の気持ちを考えることが出来るならば、死刑廃止などとは言ってられないのではないだろうか。
犯罪を犯した人間が裁かれるのは当たり前の事と思っていました、そして、今もその考えに変わりはないけれど、その事とはまったく無関係にこの世の中は人間対人間で造り上げられています。死刑確定を下すのも人間、執行される側も人間。みんな心があることをこの著書で再確認しました。執行前に心が洗われている人間もいっぱいいることを知りました。仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、この作品を拝読して、どんな人間でも、人を殺める権利はないはずだという持論に達しました。