とても良い / 口コミ件数 : 9件
価格 : 714 円
単なる感情論から脱却し、政治を冷静に論じるには、架空世界の舞台装置を用いるのが効果的。時代小説の形式をとることで読み手に判りやすく「構造改革」の必要性を説くのがこの小説である。目先の景気対策や失業率などの指数に政策が左右されて、根本的な構造改革をせずにいた近未来の日本の姿が描写されている。「消費税20%」「1ドル=230円」「収入4割=税金・社会保険」「財政赤字+貿易赤字+企業総損益赤字の赤字3兄弟」などのショッキングな事柄が1947年生まれの団塊ジュニア、43歳の経済閣僚の主人公を中心とした人間関係の中で語られる。著者の経済閣僚としての経験が活かされ「具体的な数値にこだわる」姿勢で「構造改革をせずに済ませた日本」が描かれるので、かなりの説得力がある。例えば「就業者予測」であるが、この数値推移自体は確証性が不動のものであり、この数値をきちんと踏まえて著者は予測する。「10年間で600万人、10%の激減」というのは今後すぐに起きる事実であり、これに合わせた構造改革がたった今必要なのだと痛感させられる。「大量生産型の製造業」の日本をいつまでも想定していては明るい未来はない。「知価社会」が重視される近未来に合わせた「構造改革」を是非とも断行して欲しい。著者の叫びが込められている。「構造改革」とは何なのかがよく理解できる。お勧めの本である。
この本が、最初に朝日新聞に掲載されたのが平成7-8年ごろです。その後、12年経って改めて読み直すと、恐ろしいほど実現しています。平成30年まであと10年、改めて読む価値があると思います。
構造改革が叫ばれる現在であるが、では、「改革」を行わず、「何もしなかった」ら、どんな未来が日本に待っているかを描いた予測小説である。この小説は、小説という読みやすくわかりやすい形を取ることによって、現代日本が抱える問題点と対立軸を炙り出すことに成功している。そして、その未来は、決して明るいものではない。自分ならこの平成30年をどう生きるか、何をしているのか、思わず考えてしまう。
この本には、もう一つの楽しみ方がある。歴史小説のマニアなら、思わず微笑む遊びがされている。主人公の名前が戦国時代末期の武将や豪商のそれから取られているが、それだけではない。細かいエピソードやセリフが、歴史小説マニアなら「わかる」しかけが施されているのだ。改革者織田信長が意識されているのは誰でもわかるとして、松永弾正の動きなどは、思わず笑ってしまった。読み返して、作者の仕掛けを見つけるのが楽しみである。でも、「初芽」は誰なのだろう?
平成30年に私は44歳。この本の主人公である木下氏とほぼ同じ年代で、いわゆる団塊ジュニア世代です。それだからこそ15年後の日本の状況がどのようになっているのかに興味があります。少子高齢化という必ず訪れる現実にどのように対応していくのか?規制の緩和はどこまで進んでいるのか?など興味は尽きませんが、この本ではこれらの疑問に対する答えを漏れなく用意しています。平成30年ではなく来年にでもこれらの規制緩和を行ってほしいと切に感じました。
近未来小説で一気に読めました。ただしストーリーとしては登場人物が戦国時代の武将の名を使っておりその後の行動が読めるところが難点。16年後にまた読み返したいと思います。