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競争やめたら学力世界一―フィンランド教育の成功 (朝日選書)

競争やめたら学力世界一―フィンランド教育の成功 (朝日選書)

良い / 口コミ件数 : 16


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1.  とても良い Eddyさん 書き込み日: 2006年06月14日

一人歩きする「低学力」

2006年6月,あるマスコミは某シンポジウム記事の中で,PISAで好成績を挙げているフィンランド、英国を講演者が紹介した,と書いていた。フィンランドは確かに「学力世界一」であろうが,英国はPISA2003に参加したもののサンプル数が少なくて統計からは除外されている。また英国は,PISA2000に参加はしているが,総合読解力や数学的リテラシーなどで日本とそれほど違いがあるわけではない。

このように講演者が曖昧なことを述べているだけでなく,記者もまた不正確な情報をそのまま載せている。こうして正確な情報が伝わらないまま「低学力」という言葉だけが一人歩きしていった状況が今も続いている。そんな中で本書は,PISAの中身を明らかにすることはもちろん,行政府などへ出向き調査し,いくつものフィンランドの学校をまわって「世界一」の秘密を解き明かしている。

「地域によっては自治体の予算が余ると教育費にまわすという原則がある」「人口56万人のヘルシンキ市には図書館が38ある(船橋市には10,東大阪市には6)」などというフィンランドと,真っ先に教育費や図書予算を削る日本とでは「読解力」が違ってきて当然,と思われた。



2.  とても良い ばななさん 書き込み日: 2006年07月04日

社会に出て必要な力を

本書を読んで、フィンランドの教育がいかに成熟したものであり、
社会との深いパイプを持っているかと気付かされ、
教育が社会を写す鏡であるとするならば、その社会全体の成熟度にも感心させられた。


そして読み進めるほどに、日本の教育について案ぜざるを得ない気持ちになった。
教育とは社会と密接に関係しているべきものであり、社会に出て本当に必要な
力をつけるための場所が学校であるはずだ。
しかし、日本の教育は社会と切り離されていて、それまでは数字での判断が主だったのに、
それでいて社会に出る際には、「個性」を要求されると言う、とてもチグハグな状況である。


本書を読んでとても印象深かったのは、フィンランドの教育が自由であり、
教師による強制なしに一人一人のやる気を引き出すというやり方の背景として、
「自分が社会に受け止めてもらえるという安心感」があるということである。
日本に置き換えて考えてみると、自分の存在を認めてもらうための努力の一つとして、
いかに数字をあげるかということに力を注ぐのではないか。
そして、そこにうまく乗れなかった子どもたちが出てくるのも仕方ない。
しかしフィンランドの教育方針は、
「教育と言う船に乗った子どもは、一人たりとも落とさせない」
というものであり、根本的な考えの違いに気付かされ、感心させられる。


フィンランドの教育から我々が学び、考えるべきことはとても多い。
教育に関わる方、またそうでない方にも一読をお勧めします。



3.  とても良い ひらりさん 書き込み日: 2006年06月07日

一読の価値あり−中身が濃いのに、読みやすい!!

学力調査PISAで明らかとなった、フィンランドの学力の高さ。
私にとってフィンランドとは、ムーミンやサンタクロースの印象しかない国であったが、本書を読んでフィンランド教育への関心を抱くようになった。
本書の中にある写真を見てもわかることだが、のんびりとした授業風景がこの国にはある。
一体それのどこに学力世界一の秘密が隠されているのだろうか?
その答えが知りたくて読んでいくうちにこの本に引き込まれてしまった。

「…人間を単純な点数で一列に並べたりしないということだ。」(本書より)

読み進めていくうちに、フィンランドでの子育てに憧れてしまった。
フィンランド教育を紹介する素晴らしい本である。

著者は他にも日本と世界の子育てについて「子育ての比較文化」という本も出している。こちらもとても勉強になった。
併せて読んでもらいたい一冊だ。



4.  とても良い 桂川 想さん 書き込み日: 2006年05月30日

競争やめて、教育を変えよう

日本の教育のあり方を この本を読み、振り返るべきです。
 まず、考えもなしに習熟度別に子ども達を分けて教えていること(あるいは、この事実に異議を唱えないこと)を反省すべきです。子どもを選別し続けることによって、いわゆる「学力」が下がることをフィンランドの現実からこの本は教えてくれます。
 そして、教師ばかりか家庭までも「百マス計算」のような30年も前の教育方法で子どもを縛っていることを恥ずかしく思うべきです。著者は、自分で考える自律的人間を育てる教育哲学を社会全体で共有しているフィンランド社会のように、成熟した社会を目指すべきだと説きます。
 さらに、業者のテストに出るところだけ、ただ暗記させているような専門性の無さを日本の教師は猛省すべきです。せめて「自分でテストをつくり」専門家としての尊厳を取り戻すべきと著者は提案します。(フィンランドでは、教師は専門家として社会で認められている・・・日本との大きな違いはここかもしれません)
 日本の教育を考え直す、何より興味深い示唆は「社会構成主義」という考え方です。客観的な知識が存在するのではなく、子どもたちは目的に応じて構成されたものを学ぶのだという考え方で学校を見直すと子ども達は学校を今以上に楽しむことができるでしょう。
「社会構成主義」という考え方を日本の学校に広めることが変革の足がかりのような気がします。ぜひ本書を読み、考えてほしいと思います。



5.  とても良い かるうあさん 書き込み日: 2007年04月18日

社会環境に影響されず良質の教育が受けられる国。

フィンランドが学力世界一とはいっても、人口の少ない国だから日本の参考には・・・という意見はよく耳にする。フィンランドはサンタとムーミンの国いう知識しかなかった。が、国別競争力2003−2005年1位(日本は11.9.12位)平均家庭月収がイギリス、ドイツ、フランスを上回るヨーロッパの中で4位。というような、意外な統計結果に驚く。教育内容は、「一人たりとも落ちこぼしを作らない。」という理念の下に教師にゆだねられ、教科書作りから現場の教師も加わるという。成績不振のものには特別支援教師がその都度補習授業を行う。1970年代から習熟度別クラス編成をやめ、統合教育のなかで「底辺上げ」のために労力を注いだ結果が世界一の学力となった。このようなきめ細やかな教育がどのようにして可能なのか。教師の勤務時間に占める授業時間の割合は日本がOECD各国の中で最低に位置している。フィンランドの教師の勤務は4時まで。クラス人数は自治体や学校裁量。20〜30という少人数制が可能。教科書検定はもちろんない。 教育がいかにあるべきか、理念、制度、システムを考え直す材料として多くの人に読んでもらいたい。



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