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価格 : 1,155 円
本作は河合氏の悲願であるという。 世界でも類を見ない日本の昔話に触れることで、日本心情を再確認できる。 また河合氏の解説もわかりやすく、ユング心理学の知識がなくても楽しめます。 ユング心理学を通して昔話の新たな姿が見える。
西洋人の意識構造に基づいて成立したユング心理学を日本人の心に直接あてはめることはできない。まず自我のあり方が違う。そこに普遍的無意識から生まれた昔話が日本的な特性を表す原因がある。河合さんはユング心理学を日本人の意識体系に翻訳した。この書で著者はユング心理学の難解な用語はあまり使用してないから、ユング心理学を知らなくても十分読めるだろう(ただし、難しいことは確か)。そして著者は日本の昔話を外国の昔話と比較することにより、日本人の心(自我象)を見事に明らかにした。このとき日本的自我を西欧的自我へ至る一つの段階としては見てはいない。河合さんは言う「昔話は…、人間の精神史における過去、現在のみならず、未来の萠芽をも含んでいるように思われる」。そして日本の昔話に出て来るあるモチーフの中から、(自我と無意識の関係を強調した場合、相対的な意味で)日本人が獲得することが望まれる、ひとつの自我像を提示する。その自我像は他の国の人々にとっても意義あるものだという。ユング派の論法に独特(?)なダイナミックな論展開や解釈に読者は酔わされるだろう。そして、ふと昔話を読み直したくなるだろう。話は変わるが、先日河合氏は脳こうそくで倒れた。文化庁の長官でもあり、高松塚古墳の件で謝罪された矢先のことだった。責任者がただ頭をさげれば気がすむ現代の日本社会に対して、河合氏は何か深い考えがあったはずだ。ひとえに人間の心を助けるため、人間の心の探求に生涯を賭けた河合氏は、素晴らしい。御身体の回復を心から祈る。
河合氏は童話や神話、昔話、ファンタジーなどオハナシを通じ、ユング心理学をツールに使って、人間の心を、日本人の心を、日本文化を解き明かそうという本を何冊も著している。 本書はその代表的な1冊である。 日本各地に伝わる昔話を豊富に例示しつつ、昔話に出てくる(主に)女性像を、日本人の心(どちらかというと無意識の領域)のありようを象徴する存在と捉え、その様々なバリエーションを示すことで、日本人の心を、日本文化の姿を解き明かしている。 昔話をもって日本文化の深層を探ろうというアプローチは民俗学の領域のようにも思えるが、そこで「心」「無意識」といった心理学の切り口を用いているところが本書のオリジナリティーである。 あわせて、昔話を分析することで、人の心や文化のみならず、物語の「構造」まで理解できるオマケつき。 かなり学術的な本だが、それでも語り口の平易さは河合氏ならでは。 ご興味ある方はご一読を