とても良い / 口コミ件数 : 22件
価格 : 819 円
著者が弁護士であるだけに、現実的な問題を投げかけている。問題を深刻に捉えすぎているのではないかとも思ったが、現在の労働環境が続くことにより将来の日本が壊滅的な状態になると言う著者の主張には、かなりの説得力がある。もし、すべての日本で働く労働者がこの本を読めば、政府・企業も動かざるをえないほどのパワーにつながると思うのだが…。 個別の内容に関しては、コンパクトな本であるにも拘らず、正社員の過剰労働、職場における男女差別、パートタイム労働者、派遣労働者の問題等、今ある労働の現場の問題をすべて取り上げていると言っても過言ではないほど充実している。 強いて欠点を挙げるとすれば、専ら現体制の批判に終始していて、著者の考える解決策が見えてこないということ。しかし、私はこれで良いのだと思う。著者は学術論文を書いたわけではないし、答えは1つではないだろう。具体策は労働者たる読者が考えるべしとの著者の思いを感じ取ったが、それは私の思い過ごしだろうか…。
「いざなぎ景気」を超えたと時の政府は発表するも、庶民に少しも好況感がない。それは男女雇用機会均等法、労働者派遣法制定から20年、いや『新時代の「日本的経営」』から10年あまりに、より急峻に進んだ「労働ダンピング」ゆえであった。 労働の「非正規雇用化」が、その短時間労働性(家計補助的低賃金)、雇用の有期性(契約更新ごとのダンピング)、雇用の間接性(雇用責任の曖昧化ないし不在化)、ゆえに、賃金の低価格化、労働条件の悪化をもたらし、正規雇用が非正規雇用で代替化され、やがては正規雇用の値崩れと労働条件の悪化が産み出された。レモンの定理の雇用市場版である。 性役割の解消とジェンダー平等の視点によって、「隠された差別が可視化」され、働き方の男性モデルから女性モデルへの転換なくして、現実の壁に立ち向かうエネルギーは出てこないとする著者の視点は、とても斬新に思えた。 1986年労基法の大幅規制緩和に著者らが反対した理由のひとつが、女性に関する規制は何も特別なものでなく男女双方に適用されるべき普遍的な水準である。青天井の残業が許される男性の労働時間規制こそが差別、というものだった! 本書は、すべての労働者にとって闘いのバイブル足りえるだろう。いや、それは結局、持続可能な社会を創出する、使用者にとっても有り難い書となるはずである。
ひどすぎる。19世紀のイギリスの炭鉱労働者の長時間、低賃金、過酷な環境の過去の時代へ先祖帰りでもしているような労働環境だ。ホワイトカラーだけでなく、今の日本の労働環境ならイグゼンプション(除外)されるのは全業種になる可能性を著者が悲観視するのもわかる。 労働法は死んだのか?労働組合は何をしているのか?過労死、自殺、メンタルヘルス、家庭崩壊、セクハラ、パワハラ、ワーキング・プア。労働者の人格否定の実例の列挙に息を呑む。弁護士の著者は、学者の書く、机上の事ではない現実の生々しさを書くがゆえに、胸に迫る。 ここまでひどい状況にあるとは知らなかった。勉強になった。
雇用の多様化とは、労働者側がいろいろな形態を選べることだと思っている人は今時点ではいないだろうが(以前はこのような観点から派遣労働について書かれた本があった)、雇用の多様化の名の下で、いかに企業が横暴に振舞い、また、労働者がいかに苦しめられているかが書かれた本である。 帯に書かれているもののほかに、隠された差別(ジェンダー差別など)、公共サービスの市場化による労働条件の悪化、ILO条約との比較など、考察が結構広いのも良い。 経営者側の論理に対する理解が欠けているようにも思われるが、労働者に奮起を促す本なので、星を減らすほどでもない。 以上のように、現在の雇用の場で起こっている差別について幅広く、かつ鋭く書かれたいい本なので、星5つ。
中小企業で働いてるけど、年収ベースで見れば限りなくフリーターやワーキングプア に近い立場なのでここに書かれてることが他人事ではないなぁと感じた。 単なる下請け的立場の企業なのでいつでも置き換え可能という点で常に危機感を感じる。 いくら働いたところで何年も居た所で将来開ける訳じゃないしね。