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ウォーター・ビジネス (岩波新書)

ウォーター・ビジネス (岩波新書)

とても良い / 口コミ件数 : 10


価格 : 819 円





クチコミReview一覧
評価の高い順 評価の低い順 書き込み日の新しい順
口コミ件数:10 1 2 次ページ
1.  とても良い yoshi_inoueさん 書き込み日: 2005年04月08日

本書は世界的な規模の問題を活写して余りある

東京渋谷区恵比寿で水を飲ませるバーが登場した。山梨県白州町では、サントリー、JA熊本、シャトレーゼなどが南アルプスの豊かな水源で事業展開している。日本でのボトル入りの水(ボトルウォーター)の消費量が急速に伸びており、消費量トップのコーヒーを何時しか凌駕する勢いである。現在の日本人一人当たりのボトルウォーターの年間消費量は11リットル。しかし、この消費量はまだアメリカの7分の1、フランスやイタリアの14分の1。

また、世界的には水は偏在している。この点、石油と同様である。米国中西部の穀倉地帯では農業用の地下水が減少している。中国では北部での水不足を補うため、幅50メートル、長さ約1,500メートルの運河(「南水北調」)を建設中である。仏ヴェリア(旧ヴィヴェンディ)は日本での事業展開を模索中である。

日本の年間降雨量は1,700ミリ。これは世界的には非常に恵まれている。日本は石油では偏在の不利益を被っているが、水についてはその偏在の利益を得ていると言える。

本書はこういった世界的な規模の問題を活写して余りある。数十年前はこういう書籍は翻訳ものが多かったのではないかと思う。著者はあとがきで取材先に取材を断られることも多かったという。著者の取材力、構想力に敬意を表する。文句なく星5つ。 



2.  とても良い sonojordanさん 書き込み日: 2005年05月02日

ガソリンより高い水

日本が資源の無い国だと思っていたら大間違いだった。水は今後どのような経緯をたどるのだろうか?
本書のまえがきに「現代人 水を汚して 水を買う」という川柳が冒頭に書かれている。
よく考えてみたら日本では水よりガソリンが高いことのほうが不思議だが、水で戦争が起るような国(そのような国のほうが水資源は乏しい)ではガソリンより水のほうが高いのがあたりまえだと言う事をあらためて認識させられた次第だ。
今後世界の名だたる大資本が水を求めて日本になだれ込んでくることは必然であるようにおもう。
本書を読み終えて、素直にこれは「ウォーター・ウォー」であるとおもった。



3.  とても良い STZXさん 書き込み日: 2007年07月07日

水はタダではない。

 日本が水と安全はタダというのは、すでに過去のお話。
日本は島国なので、今まで水の争いということは起こらなかったが、
果たして、今世紀中はどうであろうか?

本書では、世界的な人口増加傾向で、特に開発途上国の水不足に警鐘を鳴らしている。
海に囲まれている、我が国では考えもしなかったが、
地球、1国だけでも「水」というものは、偏って存在しており、
不平等な分配による、戦争・紛争の懸念や、水不足が深刻化した際、
砂漠化の恐れを危惧している。

ボトル・ウォーターの売り上げが、日本でも欧米諸国に追いつくぐらいに、増加傾向であり、普通であれば、
安価に入手できるものを、消費者はより多くのお金を払い購入し、企業は儲けているなど、
「水」は誰のものか?
という事を問われた入門書的な書籍である。



4.  とても良い ひまじんさん 書き込み日: 2004年06月01日

「商品」としての"水" と「資源」としての"水"、このギャップに光を当てた好著

 同著者の「狂牛病」では酷評してしまったが、この本は素直に評価できる本である。

 しばしば、地球は「水の惑星」と呼ばれる。しかし人間にとって「資源」となる「水」は実は、ほとんどないということはよく指摘されることである。人口増加が著しい昨今、この「資源」争奪戦が歴史を刻むかもしれないという予感らしいものが出てきてさえいる。

 一方で先進国では、最近では水資源に恵まれている日本においてさえも、水は「嗜好品」として市場に出回るようになってきた。面白いことに、そこでの水は「資源」としての側面をほとんど現さない。代わりに出てくるのは「消費」に即した「商品」という側面である。この本の中に記載されているアメリカでのボトル詰め水、実は水道水をボトルにつめただけのもの、これはまさにそのことを象徴しているといえる。

 気候にも経済的にも恵まれている日本は、幸いにして「水」と言えば後者をさす。しかし、だからと言って2つの「水」の間のギャップを無視していて良い訳はない。同様にギャップが存在している石油などのエネルギー資源が20世紀後半の紛争の背景にあることが多かった。解決へのアプローチを怠ることはエネルギー資源と同じ轍を「水」でも踏むことになりかねない。それを避けるためにも、「水」を我々自身の問題として考えることは今まで以上に重要になったと言えるであろう。

 しかし一方では残念ながら「水」をめぐる問題は、なかなかクローズアップされてこなかったことも事実である。取り上げられたとしても、たとえば水資源供給、環境問題などのひとつの側面から取り上げられることが多く、全体観の把握は困難であった。問題が単純でないことも、このような状況を生む背景になったのであろう。

 そういった中で本書は、その「水」の問題に果敢に取り組んだ好著である。そして、多くの側面を持つ「水」を、多角的な視点から丁寧に追跡し、問題を冷静に指摘することにより、消化不良に陥ることなく「水」の周辺を巡る問題を、分かり易く提示することに成功していると言う点において良著といえる。

 パリの街中でパンを寄越せと主張する民衆に対して、旧来のルールを元に「パンがなければケーキを食べればよいのに」と言って何の疑問を持たなかったマリーアントワネット。その間に横たわったギャップが現在では滑稽話となった。「水」の間に存在するギャップについて何も疑問を持たずに放置したなら、後世それは愚かさの象徴とされてしまうだろう。それを回避するために、我々は何をなすべきなのか?と言うことを考える際に、この本は大きなヒントを与えてくれる。



5.  とても良い ヨットクラブBBさん 書き込み日: 2008年07月29日

資源は偏在している・・・

多くのレビューの方々は水資源のビジネス化に疑問を抱いているようですが、
石油・ガスや、金・銀などの資源を有することで
そうした資源を経済的な価値に変換して国富としているのを鑑みると、

改めて日本の水資源の豊富さに驚きを覚えるとともに、
ビジネス化することで、新しいお金の流れができるのでは、と思います。

現在は石油よりも高額なペットボトル版輸入水が売られていますし、
実際そうした水を購入している消費者がいることを考えれば、
日本ブランドの水を海外で売ることも今後視野に入ってくる気がします。

そのさい、何でもかんでも反対という路線ではなく、
地下水を育んでいる森林の整備や取水の厳格な管理などに
新たな投資のお金を民間が費やすことができれば、
林業などの再活性化を税金を使うことなく、達成できるのではないか?



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